ただのハッピーエンド
昔々、あるところに仲のいい夫婦が住んでいました。
二人はとても幸せに暮らしていましたが、なかなか子供が生まれず、困っていました。
ある夜、二人は空にきれいに光るお月様にお祈りをしました。
すると、それからしばらくして、二人に子供が出来ました。
お月様が願いを叶えてくれたのでしょう。
生まれてきたのはかわいい女の子です。
二人は一生懸命育てました。
女の子はすくすく育ちました。
女の子も二人のことが大好きです。
しかし、なぜか二人の顔を見てくれません。
三人は幸せに暮らしていました。
しかしある日、お母さんが亡くなってしまいます。
お父さんと女の子はとても悲しみました。
それから数年、女の子はとても美しく育ちました。
その噂は国中に広がり、偉い人やお金持ちの人たちが、次々と女の子に結婚を申し込みました。
その中には、賢い人も強い人も優しい人もたくさんいました。
でも、女の子は申し込みをすべて断りました。
そんな話を聞きつけた王子様が、なんと女の子に直接会いにきました。
王子様はとてもかっこよくて、女の子は王子様のことが好きになりました。
王子様も、自分のことを見てくれない女の子の奥ゆかしさが好きになりました。
しかし、王様の反対で、二人は結婚することを許されませんでした。
二人は泣く泣く別れ、王子様は王様を説得することにしました。
ある日、お父さんと女の子の家に盗賊が押し入りました。
お父さんと女の子は縄で縛られ、盗賊は家にある物を漁っています。
お父さんは必死に縄をほどこうとし、女の子は盗賊を睨んでいました。
盗賊たちは家じゅうを荒らしまわり、二人を殺そうとしました。
すると、何ということでしょう。家に兵隊を引き連れた王子様が駆け付けたのです。
彼らによって盗賊たちは殺され、二人は無事助けられました。
この話を聞いた王様は、王子様がどれだけ女の子のことが好きなのかを知り、ついに結婚を許しました。
結婚式の前日、お父さんが女の子と話していました。
王子様と結婚すると、なかなか会えなくなってしまうのです。
二人は長い間話していましたがある時、女の子はお父さんを見て、今までのお礼を言いました。
お父さんはとても喜びました。
次の日、王子様と女の子は国中の人々から祝福されながら、結婚式が行われました。
二人はとても幸せそうに、見つめあっていました。
***
結婚式の次の日、女の子のお父さんと王子様は突然死んでしまいました。
女の子はとても悲しそうでした。