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前編: 北風さんの決断

 あるところに、かわいそうな北風さんがいました。

 北風さんは動物たちが大好きなのに、北風さんが近づくと、その強い風によってみんな逃げ隠れてしまうのです。


 北風さんは思いました。

「いつもにこにこと明るくて、人気者の太陽さんみたいになりたいなぁ」と。


 それから北風さんは変わりました。

 強く、冷たい風で荒ぶるのを止め、暖かく穏やかに吹くようになりました。

 動物たちは喜び、北風さんがやってきても、誰も逃げ隠れしないようになりました。


 そんなある日、北風さんの友達の南風さんがすごい勢いでやってきて、北風さんは一気に北へ押しやられてしまいました。

 北風さんは驚いて、こう言いました。

「何をするんだい、南風さん」

 南風さんは鋭く言い返しました。

「何をするんだじゃねえよ、北風。おまえ最近、らしくねえんじゃねえのか」

 南風さんは北風さんの風量が落ちていることを非難しているようでした。

 北風さんは、南風さんは何もわかっていない、と思いました。

「南風さん、僕がいつまでも何も考えずに勢いよく吹いていると思ったら大間違いだよ」

 南風さんには確かに、さっぱりわけがわかりませんでした。

「どういうことだよ、北風。それでもてめえは北風か?」

「僕はね、みんなに愛される北風になりたいんだ。だから、冷たい空気でみんなを苦しめるのはやめたのさ」

 北風さんは語りました。今まで自分がどれだけみんなに嫌われていたか。そして、それによって自分がどれだけつらい思いをしてきたかを。

 南風さんはひと通りうんうんとうなずきながら話を聞いていました。そして、北風さんがどうして変わったのか、理解することができました。

 しかし、それでもきっぱりと言いました。

「北風よお、お前の言いたいことはわかったよ。でもよ、やっぱりてめえは間違ってるよ」

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