夏がくる
1ヶ月以上前、テレビでイタリアを旅する番組をみた。
その中で、壊れてしまった自転車を、花壇にし、花を植え、おしゃれなガーデニングをしている人がいた。
私は心を打たれた。
実は、数日前、私の自転車がパンクした。
すぐに、決断した。
私も、自転車を再利用して、オブジェのような………誰が見てもステキな花壇にするのだ。
ホームセンターへ行った。
おしゃれな花は、高い事が分かった。
花は、買えなかった。
花のかわりに、80円で、カボチャの苗を買った。
土は買った。
プランターは、一個買った。
家へ帰った。
軒下に、置きっぱなしの自転車を見た。
思い出がいっぱいだ。
特売の米を、買いに行った日。
雨に打たれて帰った日。
子どもを迎えに行った日。
暑い日。
寒い日。
全てこの自転車だ。
きっと、ステキな花壇になるはずだ。
後輪の横へ、プランターを置いた。
カボチャの苗を植えた。
ふと、
以前、子どもが育てた。
アサガオの種が、ある事を、思い出した。
アサガオも植えた。
アサガオの芽が出た日。
一年生だった、頃の、我が子を思い出した。
その隣にあるカボチャは、グングン成長した。
ツルが自転車へ巻き付き始めた。
肥料をあげた。
大きくなるんだよ…
声もかけた。
最近、判明した。
子どもが、私に黙って、ゴーヤを植えていた。
どうりで…水やりに積極的だと思った。
今、花壇には、カボチャを真ん中にゴーヤとアサガオがある…
軒下は、カボチャのツルが、自転車を飛び越え、凄まじい成長速度で、庭に侵入してきた。
黄色い大きな花も沢山咲いた。
思ったより、きれいだった。
壊れた自転車に、巻き付くカボチャのツル。
同時に育った、アサガオとゴーヤ。
全てが、自転車へ巻き付いた。
近所の人が振り向き、誰もが驚いた。
ア〜
目を閉じると、
イタリア地中海…
目を開けると…
隣に、キラキラした瞳の我が子が、
「コレ食虫植物ダヨネ⁉」
と、確信をもって聞いてきた。
カボチャの花を知らないのか?
悲しかった…
何もいえなかった。
黙ってしまった…
そうか…
カボチャは、スーパーで買うからだ。
知らないのだ。
ある日、
カボチャの花の周りに、
子どもの人だかりが出来ていた。
「食虫植物を見せたかったんだ。」
と、誇らしげな我が子…
コレはカボチャ…と、言えなかった。
これから、もっと、もっと、大きな花が咲くと、期待しているのだ。
犬も、人間も、花が食べる。
恐ろしい植物…
現実はこれから実がなる。
人間が食べる実だ。
ゴーヤも食べられる。
我が子と2人、現実を、認めなくては、
夏が来る。
イタリアではない。
食虫植物ではない。




