AIヒーロー
大怪獣が現れた!
「AIヒーローが来るまでに我々の力で倒すんだ」
科学防衛隊は急いで出撃した。
町にはもう大怪獣が上陸していた。
破壊の限りを尽くしている。
そんなことをしても何も得はないだろうに、ただ血の気があり余っているDQNの若者のように、暴れたいだけ暴れていた。
そこへ科学防衛隊『KBT』の戦闘機がようやく到着する。
「撃てーーーッ!」
ズダダダダ、ズダダダダダダダ!
ガトリング砲が火を噴いた。
相手がゴリラだったらもう三十体はバラバラにしているところなのに、大怪獣の硬い皮膚には傷ひとつつかない。
「畜生! かすり傷ぐらいついたっていいのに!」
科学防衛隊隊員たちが歯噛みする。
「それなら爆撃だ!」
とはいえあんまり威力の強い爆弾は使えない。
放射能をまき散らすやつとかを使えば世論から後で叩かれる。
仕方なくふつうの爆弾を投下した。
どーーーん!
何事もなかったかのように、大怪獣は破壊活動を続けた。
そこへ空の彼方から、キーンという音も立てずに、何かがやって来ると──
「あっ!」
「AIヒーロ……!」
あっという間に怪獣を倒し、破壊された町を元通りにし、巨大ゴミと化した怪獣の体を横抱きにして、空の向こうへと帰っていった。
KBTの隊員たちが、気の抜けた声で、無線を通じて会話を交わす。
「……また、AIヒーローに倒されちまったな」
「相変わらず……速すぎてどんな姿をしてるのかもわからなかった」
「強すぎるわ……、アイツ」
「来るならもっと早く来いよ」
「そうだそうだ! 来るなら大怪獣が出現する前に来とかなきゃだろ!」
みんなAIヒーローのことが大嫌いだった。
人間の仕事を奪うどころか、なんか気に障るからだ。




