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ラッパの音がした

ひっくり返った車両、窓ガラスが砕け散っていてアスファルトは炎に巻かれている。


ここは学園から数百メートル離れた、外濠の一角。道路の中央は抉り取られて、その粉塵が舞っている。


何が起きたかわからない通行車両は、ただただ霧中でクラクションを鳴らし続ける。


---


“ツイハ、もう少し耐えてくれ。”


閃光に溺れた意識の中でそう聞こえる。


ーーなんのために?


“たまにはボクの役に立ってもらうためだ”


ーーそもそもムツキを協力者だと勘違いしたテテンのせいじゃないか。


“いいや。サラ・ムツキは間違いなく協力者だ。”


微睡みの中でツイハは何も言わなかった。


“...ダサく死んだお前をカドモトは受け入れると思うか“


「...うるさい。」


刑事の男は車内で気を失っていた。

額から血を流してツイハはもがく、地面を掴む手にはガラス片が突き刺さる。


だがそれ以上の怒りが体を動かすのだった、彼は車から這いずり出でた。


頭の中で巨大な音楽が流れているかのような頭痛がする。それでもツイハは自らの体を持ち上げて、ついには立ち上がる。


その時、土を踏む音がした。火の少女は舞い降りたのだった。


彼女はツイハの前で立ち止まる。


ツイハは圧倒的強者を前にする。サラの目線はツイハを鋭く貫いている。


言葉は交わさずに彼女はぴんと人差し指を上げると、それをすぐに車に向けた。


すると一瞬にして炎が刑事の男もろとも包み込む。ガスバーナーに炙られているかのように、最も簡単にして見せるのだ。


その熱は車体をドロドロと溶かすほどであった。


...


「捕食して。」


背後に現る巨大な龍がぎらついた牙を見せた、口はがくんと開きツイハに向かう。


「耐えろツイハ、あと3秒は。」


龍の顔が自らを真っ二つに噛み砕く前に、ツイハは動き出した。


崩れ落ちるようにして、土下座をするのであった。


「許してくださいっ!!」

ーー「...え?」


龍の風圧はそこで止む。サラは一瞬の間を躊躇うことになる。


「見苦しいなツイハよ...だがよくやった。」


...


ラッパと大砲の音がした。


サラの腹部には金色に輝く銃弾が螺旋を描きながら、着弾する。


「テテン!どうなってる!」


ツイハは目の前の景色を疑った。まるでサラが狙撃されたかのように見えたからだ。さらには時間の流れが遅くなっている、彼女の表情や弾丸やらがゆっくりと見える。


これはゾーンに入ったからなどではない、紛れもなく時間の通過が緩んでいる。


「いまは油断の時ではない、彼女はお前のような雑魚相手でも警戒を怠らなかった。」


金色の弾丸の着弾部位は彼女の衣装を破いていて、そこに覗かせるのは真紅の鱗であった。


鱗は防弾チョッキのように衝撃を受け止める。


ツイハの肩を掴んだテテン、ふと違和感を感じて目を向けるとその様子も全くおかしいものであった。


間違いなくテテンではあるのだが、大理石のような白い骸骨の体とたった一つの金色の目玉。純白のローブに3対の天使の翼。


「<波の天啓(テテン)>...。」


すぐにその体から衝撃波が放たれる、そして二重の衝撃がサラを後方に吹き飛ばす。


土埃も風となって消え、身をかえして着地したサラとツイハらの間に強者どもの聖域が誕生する。


「答え合わせ欲しいんだろ、ツイハ。

あのサラ・ムツキは”金色の太陽“の所有者だ。


彼女が実際に浴びた太陽(ソレ)の波を、ボクが再現したまでだ。」

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