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パフェ : 桃色の帝王

赤と緑のステンドガラスから差す光は優しい。


うっすらと聞こえるジャズ風のBGM。革製の椅子がなんともレトロを感じさせる。吊り下げられたライトを包むガラスの細工も一つの芸術である。


喫茶店の効きすぎた冷房はアイシーに心地を与える。


サラたちは注文したデザートを待っていた。彼女は肘をついて場の雰囲気に浸る。


カイは腕を組み、隣でソワソワしているアイシーを無視していた。


「本当にアイスクリームよりもカロリーがあって、うまい物があるのだな?サラ。」


「ほんとだよ。」


アイシーは目を輝かせている。どのような破壊的菓子が届くのかと待ち侘びていた。


「ところで、なんで宇宙船を操作しなきゃいけないの?」


「私が数日間戻らなければ星雲に緊急信号が送られてしまう。それを止めなければならないのだ。」


「なるほどね。今度乗せてよその宇宙船。」


「中の映像は全て星雲に届けられるから無理だ。」


「えー残念。こういう時のためにSFをいっぱい履修したっていうのに。」


腕を組んで、目を閉じたままカイはフッと笑う。


「腹食い破られたりモノリスに連れて行かれたいのか?」


「バカだね。わたしはその対策を考えたってんだ。そもそもボーマンが連れて行かれた理由知ってる?」


「何を言っているのだ2人とも...。」


まるで言語が理解できない。アイシーは困惑の表情を見せるのだった。


「お待たせしました、こちら桃色の帝王(ピンクロード)でございます。」


「うぉぉぉ!!」


アイシーは歓喜した。彩られたベリーの芸術性と肌でも感じるアイスの冷気。天体の層を彷彿とさせるミルフィーユ。その上にそびえ立つバベルの塔のようなクリーム。


目に映るものの全てが完璧、アイシーは無我夢中でかぶりつくのだった。


店員がサラとカイのクリームソーダを置く頃には、アイシーは満足そうな表情を浮かべている。


あれほど豪勢なパフェが、空の器となっていた。


「はやっ!!」


---



結局サラとカイのクリームソーダのトッピングは彼女に奪われていた。


アイシーが要求した日が傾く時間までは時間がある。とくに何もすることがないので3人は商業施設内を歩き回った。


そこで遭遇するのであった。ポニーテールに髪を束ねた若い女性とサラは目が合う。


「ニーナ、なんでここに?!」


サラの家のメイド兼警備員、ニーナであった。いつもとは違った現代的な服に身を包んでいて。いわゆる“オフ”であった。


「ごきげんようサラ。私も本日は休日ですよ、何かおかしいですか?」


サラの恐怖する、この世でたった1人の人物。今や魔王級と呼ばれる兄のスイをたった一撃で葬るような、そんな化け物である。


「何もおかしくない...ですよ。」


「あら、ご友人?」


ニーナは連れのカイとアイシーに目を向けた。


2人はサラが焦っている様子を新鮮に思い、目を丸くした。


「そそそうだよ!友人のカイくんとその妹。面倒を見て欲しいって言われたんだけど...。」


「また違う男性とデートですか?この前うちに来た人は確かクローg...。」

ーー「まあいいじゃん!ねっ、ニーナも休日楽しんでね!」


ニーナの発言を遮るようにサラは主張をした。


「ああそうですか、ではまた。」


ニーナはとくに何も気にせず、サラの元から立ち去って行った。


「へえ...サラってクローガとデートしてたん?」


意地悪くカイはサラを揶揄う。ついでにアイシーも嫌味な表情を彼女に向けた。


サラは背を向けて赤面を隠すのだった。


「ゆっくりと...ご説明いたします。」

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