表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/71

蝶の音は銀色の福音

聞いた者の20秒間の記憶を一切消すという、シャルテの能力、<直近記憶削除やっぱなし>。


戦闘における優位性が極めて高いため、誰の記憶を消すかは指定できないという代償のもと成り立っていた。


「おれ、何してたんだ?」


“聞いた者”に効果が発揮されるため、当然カイもその対象に含まれていた。


「作戦終了ですよ。」


「あぁ。そっか。」


さらに巻き込まれるような形で鳴らされた指を盗聴していたツイハにも効果が及ぶのであった。


ーー今俺はなにを?尾行していて...あれ、思い出せない...。


彼はなんとも不思議な感覚に襲われた、こうしてキューテストの秘密の犯行はシャルテ以外の誰にも記録されることなく終わった。


ツイハから見たカイとシャルテは何もせずにただ立ち去っていく。


---


キューテストの第二拠点。首都の南部、穏やかな川と自然に面した街”ニコ“。


ここで行われていたことは、“金色の太陽“の研究・解析であった。


ラウルスと皇帝が欲しがるそれの活用法はキューテストにとって一切不明であった。


彼らに雇われた研究員は30名、多くは博士号を取得した後の薄給に苦悩していた者たち。


元は大きな体育館として使われていた廃施設を研究施設として臨時的に設計したもの。


クローガは過去に科学業界にいたことがあったため半ば強制的ではあったものの、責任者としてレイ・リンに指名されていた。


「クローガさん、この波長を見てください!」


ある研究員はいくつもの管に繋がれた金色の太陽の波長を記録しており、ガラス越しに彼女はそこに懐疑点を抱くのであった。


クローガは白衣のまま急いで駆け寄る。


研究員が持つタブレットの黒い画面を覗いた。いくつものの波長を捉えていてその中の特に異質な部分を拡大して見せるのであった。


「まさかだな。この波長の特異性は...。」


画面に羽ばたくような波のグラフは両翼を大きく広げた蝶のような見た目である。


「4日前から記録されています。これはあの“ボッチ蝶波長“であったりしませんか?」


「レイ・リンに知らせる必要がある。再び近づきつつある”二つ目の災厄”に反応しているかもしれない。」


この世界は三つの厄災によって荒れていた。


一つ目は大国同士の核戦争。


そして二つ目は、<宇宙からの侵略>。


ボッチ蝶波長とは宇宙生物が発する特殊な波長であり、金色の太陽はその波長にまるで呼応しているようだった。


135年前と同じように、銀色の空船は近づいていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ