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魔法少女とワニ

「ルフトです、私にまた用ですか...?」


「あぁ。もう時期完成だというのに、渡ってしまう可能性があるからな...”太陽“。」


青年ルフトは唇を噛み締めて、声を震わせる。


「わかりました。すぐに行きます。」


青年の瞳は欲する。引け目は憎悪となって心を蝕んだ。


”ツーツー“


通話は畳まれた。その気配は電話越しでもわかるものだ。


ラウルスという名の紳士は言い捨てる。


「悪魔め...。」


1人の少女が会議室の扉を勢いよく開けて訴える。走ってきたのだろう。息を切らしつつも続ける。


「お父様!!研究所から煙が出てるのがみえた!」


「本当か....アズキ。」


  ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


まばゆい火がサラを巻き、やがて収まる。


「魔法少女...?なにを言っているんだ?」


サラはにやりと笑う。サラの服装は先ほどの作業着とは異なり、黒色のドレスに包まれていた。繊維蟲の能力だろう。


「なにがしたいんだ、こんな時に...。」


クローガは状況を見ろと言わんばかりに訴えかけた。


「まあ、夢を叶えたついでにいい考えがあってね...わたしの能力はそもそも火を出す。」


サラはそういうと、手のひらを向かい合わせる。すると彼女の両掌から火が噴き出る。


「あれ、こんなに強かったっけ。」


間違いなくライター以上の火力であった。それどころかガスバーナーよりも華麗に燃え盛っていた。


「ふんっ!!!」


サラは目を瞑り手に力をこめると、炎は更に大きくなる。そして念じているとやがて火柱のようになり、細く輝く炎の熱線となった。

 

そして加減が十分だと察知したサラは、素早く右手のひらを鋼鉄の扉へと向けた。


熱線は扉の一部を激しく焼いていて、橙色に変色してから溶け出す。


「おぉ。」


クローガはアドリブで能力の応用を導き出したことに気づき関心せざるを得なかった。


「条件は...ちょっと厳しいけど...。」



<アルトラ>

ーこの服装でのみ火を熱線に変えることができる。

ー熱線使用中は体力を消耗する。

ーカロリーを著しく消費する。

ーサラマンダーを体に纏う等の行動が制限される。

ー発動から15分以内にアルトラの解除はできない。



しばらくすると鋼鉄の扉には拳が通るくらいの穴ができる。サラは熱線の炎を止めた。蛇口を閉めたホースのように段々と火力が引いてゆく。


クローガはその穴を除いて呟く。


「このくらいなら...。」


「まって。」


能力の発現に条件が必要な彼をサラは止めた。このくらいの穴であれば能力、小さなサラマンダーを通すことができる。


「出てきて。」


そういうと目の前に姿を現したのは、小さなカナヘビサイズのサラマンダー....ではなく...。


「でっっか!!」


赤色のそれはバイクほどのサイズで、トカゲというよりむしろワニに近い重量感であった。


クローガはしゃがんでサラマンダーの頭を撫でる。それは嬉しそうに目を細めた。


「これがサラの能力か?」


クローガが感心したように問いかける。


「いや...。」

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