【エピローグ】ようやくふかふかのベットで寝れる......
「ふぁぁぁ......ねむ」
帰りのBTRに揺られながら大きなあくびをする。
『完全に気が抜けたな』
「だって、一カ月以上にも及ぶ任務が終わったんだもん。疲れたよ。ふぁぁ......」
もう一度大きなあくびをし、座席にもたれかかる。
『それと、あの二つについてはどう思う?』
「あの二つ?あぁ、消えたPMC3人組と機甲部隊のことね」
PMC3人組。ライジェンス・ファクトリーにいたと言われたが、結局見当たらなかった。いまだに行方が不明。それとロシア機甲部隊。浄水場にいなかったし、いた雰囲気もなかった。
『協力関係を結んだイヴァンによると、送られた動画はフェイク。任務すらも偽物ってことが判明した』
「問題は結局どこに行ったってことだね。そしてあのPMC達。僕にグレポンぶっ放すだけでどっかに行ったし、工場にいると言われてガルーダさんも無駄に神経使ったのにいなかった......一体なんなんだ?」
体を思いっきり伸ばし、シートに深く座り込む。
『それともう一つ。昔に行ったトラスト市でのことだ。確かあそこでは、アドラスの上層部以外が殺されたことがあったんだよな』
「そうだね。僕らの予想が間違ってなければ、口封じのために殺されたと思う。メカニクスさんがいたところでも同じことがあったしね」
スマホを取り出し、財団のデータベースに分かった情報を次々と入れ込んでいく。これで元から複雑だった相互関係がさらに複雑になった。
「なんならテロも起こる可能性が出てきたし......国連に仕事全投できないかな?」
「流石に無理だな」
横からバンパーが割り込んでくる。
「国連はそんなに簡単に動くことはない。そう易々と動いてくれれば俺らの仕事も減るもんだよ」
「まぁ、収入は減るけどね。それでの平和の方がいいけど」
椅子に座り直して光くんの方を見つめる。そういや彼、トカルストでの仕事で僕のことを「師匠」じゃなくて「先輩」って言っていたことがあったよな......
『言い間違いじゃないか?』
「いや。声の感じもなんか違かった。何か引っ掛かるんだよな」
あの時は援軍がいるかどうか聞いていた。もしいたらさっさと外に出て撤収するつもりだった。
「外になんかあったのか?」
分からない。僕にはむず過ぎる問題だ。
「もう何が何だ......か......」
度々襲いかかってくる睡魔を振り飛ばしていたが、とうとう限界に近づいてきた。
「もういいや......」
帽子を深く被り、包帯に覆われた左目を気にかけながら意識を遠ざける。できれば次の任務までに完治して欲しいもんだ......
『――これで大丈夫だ......』




