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【祝2000pv!】ケモミミ傭兵お仕事日記   作者: 広報部のK
【第二章】ケモミミ傭兵、お次は脱出が任務です
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【第六話】不幸中の幸いとはこれのこと

 人というのは十人十色、一人ひとり中身が違う。それは怒る理由もそうだ。例えばうそをつかれたり、ものを返してもらえなかったりと……ではドジおおかみはどうだろうか?

「てめぇ!人をよく見ろ!僕はオス、否男性だ!勝手に女性にするな!奴隷でもねぇぞ!」

 僕に関しては女性と間違われる。特に初対面で敵対してる人から言われるととくにイラっとくる。

『また始まった……いい加減慣れろ』

「慣れても無理なものは無理なの!」

「いったん落ち着け!下手に暴れたら音を聞きつけてカルトが寄ってくるかもしれねぇぞ!」

「とりあえず中に入りましょう。ここの区域を管理している勢力はカルトとは敵対的です。意外にも話は通じますので身の安全のために入った方がいいです」

「フー!……フー!……」

 バンパーやドラファさんに抑えられ、ようやく落ち着いた。いつの間にかあの‘‘オーガー‘‘というやつも後ろに下がったらしい。そのまま無抵抗になった僕を彼らは引っ張って工業地帯の正門から中に入っていった。

                 △△△

「武装は解除したな。通行料は……50ドルだ」

 どうやらドラファさんの言う通り、ここの勢力は話がしっかり通じるみたいだった。ちなみにこの工業区域はここはトラスト市の中で限られた安全の確保できる区域であり、敵対するやつでない限り(カルトとか)誰でも通行料を払えば入れるようだ。

「っと、50ドルぴったりだ。いかさまはしてねぇぞ」

「しっかりCO(カミングアウト)するんだな。戦闘民族(ロシア人)だから脳筋で来るかと思ってたよ。よし、入れれ」

 ガラは悪そうだが、中身はよさそうだった。ただそれとは別に、身なりが軍事従事者に見える少し気になるが……

「ところでお前らは傭兵か?」

「そうだ。WBFのものだが?問題はあるのか?」

「いやない。俺も元傭兵だから親近感を抱いてね。ただ、最近のPMCは奴隷も雇うようになったのか?意外だな」

「あの~……僕奴隷じゃないんですけど。これでも地元では愛されているんだよ⁉」

 この世界は人間以外に亜人も住んでいる。そして科学技術が人間よりも劣っている亜人、とくに獣人はアフリカや南米で奴隷にされがちだ。

「すまんな、狼くん。それと入り口でオーガーというやつに絡まれただろ?」

「そうですけど……メスの奴隷と言われました」

 横を向いて呟く。あいつの発言に関しては相当根に持っていた。

「そうか……もし喧嘩を売られたら常識の範囲内で殺ってもいいぞ。あいつはただ自分がギラの直属の部下だと勘違いしている下っ端野郎だからな」

「いいのか?ここは非武装区域だった気がするが?」

「売られた喧嘩は買ってなんぼだよ。まぁ、頑張りな」

 そう言って男はどこかに行ってしまった。

                 △△△

「ここのマーケット、いろんなものがそろっているねぇ~機銃もあるし……いくらでs、グエッ!!」

 ギュウ←後ろから襟をつかんだ時の音

「金はない。早くここをパスするぞ」

「ガスターに賛同。俺らには時間がない」

「私も賛成です。すぐに行きましょう」

「分かったよ……」

 フリーマーケットに売られていた機銃を買おうとしたハスを止めた僕らは、そのまま工業地帯を抜けるべく、裏ゲートに歩いていく。が

「みんな?」

「なんだ?」

「一つ聞きたいことがあるんだけどさ」

「言ってみろ」

 裏ゲートまでたどり着いた僕は足を止めて、苦笑いでメンバーを振り返る。

「あのクソ野郎(オーガー)はどうしましょうかね~」

 僕が向いていた方向には工業地帯を抜けるゲートとオーガーがいた。

「そこの野郎ども!命令に応じなければ攻撃を仕掛ける!」

「Oh……めんどいやつに絡まれたな。そもそも何で絡まれてんだ?」

「多分……反亜人勢力の人じゃない?」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

反亜人勢力。その名の通り、亜人族に対する差別を行っている勢力。

 彼らの思想によると、亜人は人間の下に存在しなければいけない生物であり、現代社会に紛れ込んだ亜人を排除する必要があるとのこと。そしてその他の勢力に亜人がいるとわかると、その勢力は亜人を差し出さないといけないと勝手に決めているそうだ。一言でいえば‘‘クソ野郎‘‘の集団だ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「どうしますか?常識の範囲内で喧嘩を買ってもいいと言ってたけど……相手は銃を武装しているからねぇ~」

 威嚇なのかそれとも何なのか、武装してはいけないというのにオーガーはAK-47を構えていた。それに対してマリーは苦笑いしていた。

「ハスの機銃で吹っ飛ばすか?」

「いつでも準備OK!」

「いや、仁にちょっと戦ってもらうか」

「え?僕ですか?あおられそうですけど……」

 そう言って僕はバンパーの顔を見上げた。身長が高いバンパーは僕から見たら巨人のように見えた。

「ジェイド。俺が昔教えた信条を言ってみろ」

 「『撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ』、銃を撃つならそれぐらい責任を負う考えを持つのは当たり前ってことだろ?」

「とのことだ。仁、思いっきりぶっ放してこい」

 なるほどね。どんな発言、行動でも責任は生じる。あいつは僕にひどいことを言ったからひどいことをやられ返されるだけの覚悟はあるということになる。そして銃を今にも撃ちそうだから撃たれる覚悟もあるっていうことだ。

「なんだ?奴隷本人が戦うというのか?やっぱり獣人は馬鹿だな!いいだろう、俺が相手してやるよ」

「……何秒耐えれるかな?」

「は?これ以上近づいたら戦闘開始だからな!」

「……撃ってみろよ」

 あと少し。あと少しで相手がトリガーを引く。みんなはすでに射線から外れている。あとは挑発して撃たせるだけだ。

「撃てるんだったら撃ってみろよ」

「あぁ、撃ってやるさ!!」

 ダァァァンダァァァンダァァァン!!!

 工業地帯に銃声が三発響き渡る。さすがは7.62mm、銃声が大きい。そしてそんな弾を発射するAK-47の向こう側には驚いた顔をしたオーガーが立っていた。

「な……当っていない⁉」

 悲しいことにも彼のエイムは明後日の方向に向いており、放たれた三発の銃弾は工業地帯のどこかに飛んでった。

「はい……撃った♪」

 すぐさまスナイパーライフルと構えて彼の懐に滑り込む。なに?スナイパーが戦う距離じゃないだろって?

「でもお前は狙撃銃!この至近距離では逆に不利だ!」

「大丈夫。僕の戦闘区域は全距離(オールレンジ)だよ」

 スパァァァァン!!

「――――!!!!!!」

 ラプアマグナムが銃口から飛び出し、奴の口から叫び声が漏れ出す。それもそのはず、左腕が吹き飛んだからな。すぐさまコッキングして次弾装填、今度は右足を狙った。

「二発目ド~ン」

 スパァァァァン!!

「―――――!!!」

 叫び声が高すぎてなんて言ってたかわからなかった。だけどそんな彼の顔が好きだった。僕を見下し、挙句の果てには撃ってきた野郎。ラスト一発、僕は彼の顔を狙うようにした。

「こ、この野郎!!!!」

 最後の抵抗なのか、右腕だけでこっちにAKをぶっ放す。が、馬鹿デカ反動を抑えれるはずもなく、銃弾はむなしく空のかなたに飛んで行った。

「ラスト、三発目」

「お、お願いだ!見逃してくれ!」

 彼はバランスを崩し、地面に倒れた状態でこちらに願い出た。そんな彼の顔は捕食されることにおびえている草食動物そのものだった。

「う~ん。君は三発以上撃った。だから三発以上撃たれる覚悟があるってことでしょ」

「だ、だが!」

「三発目ド~ン!」

 スパァァァァン!!

 僕はトリガーを引いて、そいつの顔を吹き飛ばした。跡かたなく頭ははじけ飛び、顔に返り血がかかった。

「ゲームセット♪」

「……まさに逆襲ってやつだな」

ペロッ

 無意識に顔の返り血をなめてしまった。味はというと、決しておいしいものではなく、下手したらウイルスがあるかもしれなかったから舐めない方がよかったまである。

「う~ん……心が汚れ切っている奴は血もまずいんだね」

 そう言って僕は残りの血をふき取った。その後、連行されるとも知らずに悠長にね。

                △△△

「す……すみましぇん(泣)」

 さて、なぜ僕が今正座で座って両手を縛られながら謝っているのか説明しよう。つい先ほどオーガーを三発のマグナムで吹き飛ばした僕だが、無論ばれないことはなく警備員に取り押さえられた。やらかした!と気づいた僕は抵抗せずにただ縛られていくのを待つだけで、周りの仲間は笑いをこらえてみていた。

「武装するなといったのに……さらに発砲までしやがって。お前のでっけぇみみは飾りか?」

「相手が先に撃ってきたのでその……正当防衛というか……」

「オーガーも撃ったていうことか…道理でAKの銃声が聞こえたことだ」

 彼らは僕からいったん離れて無線に対して何かを話した。その間、僕はただただ静かに待つ。

「うぅ……」

『乙』

「今だけは黙っていてほしいよ」

「ていうことで……俺らのリーダーの方に連絡を入れた。後で来るからあの方次第で君の処罰が決まるよ」

「ひゃい……わかりやした」

 それからしばらくの間は縛られたまま、仲間に見られながら正座して待っていた。本当になんでこんな目にあうことやら……

 ~数分後~

「ていうことでお前が問題を起こしたやつっていうことか」

 僕の目の前にはバンパーよりもでかい強面の巨漢の人が立っていた。僕はとにかく巨漢の強面に弱い。なぜなら、ただならぬ威圧が漂ってくるからだ。そんな人がいると僕は固まってしまう。何か粗相してしまうととんでもない形相で睨みつかれそう、そう感じてしまうんだよね。まぁ実際に今睨みつかれている状態なんだけど

「あ……う……あぁぁぁ……」

 あまりの怖さに僕は怖気ついてただ口をパクパク動かす機械と化してしまった。

「こいつ……どうなるんですか?」

 そういってバンパーはギラの顔を覗き込んだ。十分でかいと感じていたバンパーよりギラ工場長はでかかった。そんな彼は難しそうな顔をして数秒考えた後

「……死体を燃やしとけ」

「えっ?」

 予想外の結論を出した。

「こっちも面倒ごとはパス。お前が殺したのはいらねぇ奴だったのが不幸中の幸いだったな。とっとと死体を消し炭にしておけ。そしてさっさと行け」

 そう言って彼は僕の拘束を解いた。しばらくぽかんとしていたが、とてつもない形相で睨みつかれたためすぐさま死体の焼却に向かった。

                 △△△

 ボォォォォォ

 僕は今両手から炎を出してオーガーの死体を燃やしている。オーガーの彼が持っていた装備品はことごとく回収して使えるものを使い、不用品は売り払った。

「あとどれぐらいかかる?」

 横からカルイに聞かれて考える

「う~ん、2分ぐらい……かな?」

 炎を出しながら首をかしげて答えた。

「早くしろよ。お前の嫁さんを助けたいならばな」

「よし!火力を2倍にするぞ!」

 ボォォォォォ!!

 雪を助けるためなら何でもする。そう考えながら僕は火力を引き上げた。

「待ってて、雪。絶対僕のそばに連れ戻すから……」

 目の前の死体はみるみる小さくなっていき、気づけば灰と化した。残った灰は地面に穴を掘ってそこに埋めて処分完了。こうして僕らの工業地帯での波乱は幕を下ろした。次の目的地は地下バンカー。あと数時間で日が暮れる中、工業地帯を抜けてバンカーへと向かっていった。


 現在時刻16:49 日没まであと2時間半

合流済みメンバー:仁、ジェイド、バンパー、ハス、アイサ、ガスター、カルイ、ケイン、マリー、カイン

未合流メンバー:残り6名


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