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【祝2000pv!】ケモミミ傭兵お仕事日記   作者: 広報部のK
【第二章】ケモミミ傭兵、お次は脱出が任務です
16/45

【第三話】夜戦は僕のダンスホール

 タッタッタッタッ

「な、なんだお前は!ギャっ!」

 ザクッ! バタン

 敵歩兵が僕のナイフによって息絶えていく。夜戦は人間にとって恐怖がいつもの倍になるような戦い。でも僕にとってはまるでダンスホールだ。踊るようにして敵を次々となぎ倒していく。

「敵襲だ!」

「どこだ!」

 カルトらの怒号が聞こえる。まったくうるさい野郎だ

「3時方k、ぐはっ!」

「どうs、ガハッ!」

 一人二人と切り裂いていき、処分完了っと。ところでこいつらが持っている無線はどうしよう…

『……状況報告を』

 無線の向こうにはおそらくモーテルにいる野郎の声が聞こえる。どうせなら何か爪痕を残しますか。

「やぁ、カルトたち。訂正。やぁ、この世の汚物たち」

《おい、誰だお前は!》

「こっちに答える義務はない。それじゃあ!」

 ガシャン!

 好きなだけ言ってから、誰かに拾われるのもめんどいからすかさず無線を破壊した。ふぅ……スッキリ☆

 おっとすまないすまない、話が脱線していたね。軌道に戻すために今のところまでの状況を整理しようか。

 トラスト中心区域から抜け出してモーテルに来た僕たち「α-0 」はその後カルトから襲撃された。撃退した後、モーテルから脱出したところまで今はお話が進んでいる。

「まじでUAV飛んでるとかだれが想像できるんだよ!早く合流しないと!」

 先に移動した部隊メンバーを追いかけるように爆弾付きのUAVが追いかけていく。おそらくそのまま自爆特攻するだろう。その前に撃墜しないと大惨事になってしまう。

「ど、どこから来てるんだ!ぐはっ!」

 でもやっぱり夜間戦闘は楽しいな。敵は見えてないのに狼の僕ははっきりと見えるっていう優越感が大量発生してしまう。

「いや~……闇の中でもくっきり見える狼っていいねぇ」

 自分自身への……いや、種族そのものへの誉め言葉を述べながら僕は遠い場所にいる味方に向かって全力疾走した。夜の風が耳の横を横切っていく。暖かい風といっても若干冷風が混じっている感じだった。冷え防止のためにパーカーを着てきたが特に意味はなさそうだったが

「これはこれで風が心地いいね♪」

 パーカーが程よく防寒機能を発揮してくれるため心地いい風が感じることができた。ここが戦場ということを忘れてしまいそうなほど……ふと前を向くと、敵がきょろきょろしながら出てきた。

「君に恨みはないけど!」

 タァァン! バタン

「あの世へ行ってらっしゃい」

 心は忘れていても体は覚えている。敵を視認したと同時に僕の体はホルスターからガバメントを抜き出して敵の頭を狙い撃ちした。静かな森の中に銃声がとどろき、カルトらは慌てふためく。いくら満月が出ていても森の中は木々が月光を遮っているため暗かった。それでも僕には何の支障もなかった。そのまま走りながらカルトを狩っていった。

Broooooooooooooooo!!

 ふと遠くからけたたましい銃声が鳴り響いた。

                  △△△

 トトッ……

「みんな~大丈夫?銃声なっていたけど……」

 森の中をカルトを狩りながら走ってきた僕はようやく部隊のメンバーと合流できた。

「なぁお前……顔についている返り血を拭いたらどうだ?」

「見てて怖くなる」

「あぁ、ごめんごめん。合流することに集中しすぎていたからね~」

 ふきふき……

 どうやら周りから見たら、ただの殺人鬼のようだそうだ。傭兵なのに……

「ところでUAVはどうなったの?かいくぐれた?」

「それがねぇ……」

「ハスの野郎、UAVが急降下した瞬間に背中に担いでいた機関銃で撃ち落とした」

「うんうん……なるほどわからん」

 頭では何となく理解できていそうだが、いくら考えても理解ができていない。どういうことだ?対人用の機銃で対空したのか?

「簡単に言っちゃえば車載機銃を対空機銃よろしくUAVに弾幕貼って迎撃した、っていうこと」

 アイサが横から解説を入れる。解説してくれるのはありがたかったが、やっぱりわけわかんなかった。

「……ごめん、頭が追い付いていない」

 やっぱりハスはぶっ飛んでやがる。UAVを機銃打ち落とすなんて普通はしないよ。まぁ、普通じゃない僕が言うのもあれなんだと思うが……とりあえず、そんなことを置いておこうか(インパクト強すぎて忘れようがないけどね)

 そこから僕らは仮拠点を見つけるために歩き出した。UAVが落とされたためカルトも僕らを探すのは困難になるだろう。そう考えていた時遠くから爆発音が聞こえ、地面が揺れた。何事か!と慌てていたがカルイの一言によってそんなのは吹き飛ばされた。

「そうそう、モーテル爆破し忘れたから今爆破した」

 おそらくカルト部隊はそこを一時の拠点にしていただろう。確かに僕らは爆薬を設置して、カルトを爆散しようとしていた。それでも二階の一室に爆弾をいくつか設置した程度で、地面が揺れるほどの威力はない。そう考えるとカルイが恐ろしく感じてきた。

「「「「「「|Oh…… my goshまじかよ……」」」」」」

 威嚇程度で二階の一室に爆弾をいくつか設置したが地面が揺れるほどの威力はない。

「ついでに車のガソリンとクレイモアをモーテル内に仕掛けまくったから、今頃大炎上だな」

 「ついでにお菓子を買ってきた」というレベルの口調で、さらっととんでもないことを言う。

「お前にはやっぱり爆弾魔(ボンバーマン)の名称が似合っているよ

「同感」

「異議なし」

「テロリストって呼んだ方がいいかも」

「こいつが大統領になったら世界が終わる」

「終末時計が1秒を切ってしまう」

「財団にいなかったら、今頃指名手配犯だな」

 バンパーに合わせてみんなからも言われまくったカルイはそのまま地面にガクッと崩れ落ちた。

「おしゃべりは終了だ。少し進んだ先に湖があるからそこでキャンプを立てて夜を越すぞ」

「了解、森方向に機銃を向けて設置しておくよ」

「「「「「「「そこまでやらんでよろしい」」」」」」

 これにはみんなが納得。いくら裏ルートで正規軍並みの装備を付けていると思われるカルト相手でもこれはオーバーパワーだ。そんなわけでぼくら「α-0 」はカルトからの追跡を振り切り、しばらくの間安らぎを手に入れることができた。

 

 ……はずだった

                 △△△

 ダァァァンダァァァンダァァァン!!!

 鼓膜に思い出したくない銃声が響く。ドラグノフだ、しかも三連発……嫌でも思い出させてしまう音だ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 実は僕は首にチョーカーを付けているんだ。その理由としては、雪からもらったプレゼント。っていうのはあるけど普通の人は邪魔だから外すことが多いだろう。そしてこちらが本当の理由「首元の傷を隠すため」

 自分はKRP社にいたころ、任務中に狙撃にあったことがある。その弾丸は三発連続して首元に被弾したが《《本当に》》運良く助かった。だがそれにより、首元に一生消えない銃傷ができた。そしてそれを隠すためにチョーカーをつけているのだ。ちなみにそのせいでのどぼとけがなくなって同年代男子より声が高くなったのは別の話……

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 今の狙撃をしたスナイパーは絶対当時のと同じ‘‘バードアイ‘‘だ。銃声、テンポ、銃火器、全てが当時と一致している。

「…!《《バードアイ》》のやつ……」

                △△△

 少し時間をさかのぼろう。お話は仮拠点を設置した後、ハスが何が何でも機銃を設置しようとしたのを阻止し終わったから始まる(何があったんだよ)

 キャンプで焚火を焚こうと薪を探しに僕らは付近の伐採場に向かった。本当だったら付近の枝を拾い集めればよかったものの、興味半分で伐採場に行ってしまったのがあだとなり、僕らを恐怖のどん底に落とされる羽目となった。

 ダァァァンダァァァンダァァァン!!!

 森の中にとどろくような狙撃銃(ドラグノフ)の銃声が響き、僕の顔のほほを弾丸がかすめていった。

コンタクト(敵襲)!スナイパーだ!頭を隠せ!」

 ほほからは鮮血が流れていたがそんなの気にしている暇はなかった。今ここにいるのは僕含め、ジェイド、アイサの三人。距離は100m未満、ジェイドとアイサは等倍サイト運用のため、撃破は難しいと思われる。そう来るとこの中で唯一反撃できる可能性があるのが僕だけになる。

「ったく、何で毎度毎度目的地に敵がいるんだよ!」

 どうやらジェイドとアイサはどちらも無事みたい。遮蔽に隠れるときに離れてしまったから、無線で連絡を取ろうとしたとき

 ダァァァンダァァァンダァァァン!!!

 またもやドラグノフが火を噴いた。チラッと横を見ると腕を抑えてうごめいているアイサが見えた。

「っ!」

 どうやったら反撃できるんだ?と考えていたそのとき

《ザ……ザザ……あーテステス、聞こえるか?》

 無線から何かが聞こえた。この声は味方にいない……もしや!と思ったができればそんなことはないと思いたかった。

『よぉ、兵士の…いや、違うな。久しぶりだな、《《傭兵》》の仁よ』

 うん、そんなうまいことはなかったみたいだね()思った通り、無線相手は《《バードアイ》》だった。

                △△△

「…!《《バードアイ》》のやつ……」

 ということで今に至る。正直言ってこいつがここにいるのは驚きだったが、さらに驚きだったのが

「おまえ……無線まで乗っ取るのかよ…」

《これぐらい朝飯前だ。欠伸が出るぐらいにな》

 無線にこいつが入っている以上、仲間と会話ができない。

「そう。ところで聞きたいけど……」

『どうした』

「おまえ、サーマルスコープ使ってる?」

『……!なぜわかった』

「直感」

((なんでだよ!))

 多分、味方にこんなこと言われてもおかしくないだろう。バードアイは人間、こんな真夜中に正確に相手のいる場所をとらえられるのはサーマルスコープを使っているときぐらいだ。実際、一瞬だけ見えたスコープの形が角ばっていたしね。どう見ても通常のスコープには見えなかった。

「しかしまいったな。サーマルスコープで位置を確認されたとすると、動きにくくなった」

 撤退するにも射線が通るから無理だ。サーマルだとスモークも無意味になる。こうなったら殺るしかねぇ。位置は音声で特定済みだ。足音も聞こえない。多分まだ場所は変えてないだろう

「バンパー。マリー呼んで。昔やった《《戦法》》を使うよ」

《おまえ…なんか企んでいるな》

「どうだろうね。ていうことで頼んだよ。バンパー」

《無線に敵の声がした気がするが気にしないでおこう》

 とりあえず、ベースキャンプにいる途中で合流したメンバーのマリーに連絡は入れれた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

マリー。ミトラス・マリー。元々は僕と同じKRP社所属のマークスマン。彼女は僕が脱退したタイミングと同じ時に財団に移籍しており、そのマークスマンとしての腕を買われて機動部隊に所属した。

 愛銃はM110。詳しくは自分でググってくれ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 多分バードアイはこっちをずっとロックしているだろう。とにかくロックを外さなければ反撃なんかできないな。

「反応しないか…」

 帽子投げたけど、撃ってくる気配はなかった。今度はマガジンを投げたが反応はなし。これで次も撃ってこなければすべてがうまくいく。僕はフラッシュを手に取り、上空へ投げた。

「今だ!」

 思惑通り、今度も撃たなかった。そのまま僕は身を乗り出す。ジェイドは‘‘やめろ!‘‘と言わんばかりの顔をしながら見てきたが

「大丈夫」

 気にせずライフルを構えた。スコープを覗いた先には一人の中年の男‘‘バードアイ‘‘がこちらを狙っていた。

《甘い......》

 無線と同時に上空に投げた閃光手榴弾(フラッシュバン)が炸裂し、二発の弾丸が夜を切り裂く。

《くそったれ!》

 ‘‘アーリー・グリック‘のマグナムが火を噴いたが手ごたえはなかった。さすがはプロ。一筋縄ではいかねぇ

 ダァァァンダァァァンダァァァン!!!

 三発の至近弾が僕の頭をかすめる。視界に映るマズルフラッシュを頼りに、もう一発を撃ちこんだ。

「直感でも撃ってこれるのかよ!化け物か!」

 すぐさまコッキングして次弾装填。左側にダイブしながらマズルフラッシュに向かって撃った。

「あぁもう!」

 横からフルオート射撃の音が聞こえたから横からもジェイドが制圧射撃しているのがわかる。だがそれでも撃破はできなかった。

「うぉっと!」

 またドラグノフの銃声が森にとどろく。今度は僕の方に飛んできてない。そして味方の方から鈍い音が鳴った。

「ジェイド!」

 どうやらジェイドのライフルが弾を受け、弾き飛ばされた。ジェイドは地面に倒れている。アイサが目線で‘‘まだ生きてる‘‘と伝えているのがわかった。

「今がチャンスだな。敵の意識もこっちから外れているはずだ」

 一つの金属音が鳴る。多分、ドラグノフを吹き飛ばしただろう。

《ったく、ドラグノフを吹っ飛ばすんじゃねぇよ》

 貰った!と思ったその時、重厚な銃声がなり、肩甲骨を貫かれた。鎮痛剤を服用していないせいで、強烈な痛みが神経を麻痺させる。

「っ!」

《でも、俺には予備のライフルがあるからな。二回目の戦いもお前の負けだ》

 25m先、いつここまで押し上げてきたか分からないバードアイが見えた。彼の顔は今でも覚えている。とてつもなく腸が煮えたぎるような勝利を確信した顔だった。

「それじゃあ、せいぜいあの世でもがき苦しむだな。大丈夫、お前の仲間も同じように殺すから」

 普通の兵士はここであきらめるはずだろう。逃げれないし、反撃できない。でも僕は絶望しないどころか、余裕に満ちた顔をしていた。

「どうした、怖くて頭がおかしくなったのか?大丈夫、俺がすぐに楽にする」

 ジェイドとアイサは腕をけがしている。まともに銃も構えられないため攻撃をしてくるはずはない、そう彼は思っているだろう。

「ねぇ、本当に勝ったと思ったの?」

「近くに応戦できる仲間はいないから、撃たれる心配もない。勝てると思わない方がおかしいだろ」

「僕はクロスファイアするとも言っていないし、近くにしか味方がいないといっていないはずだけど……何を勘違いしているんだ?」

「っ!」

 バードアイは何かを悟ったかのように近くの岩場に走り出す。でも

「チェックメイト。僕の勝ちだ」

 時すでに遅し、バードアイは逃げようとしたが意味はなかった。一発の弾丸が後ろから僕の耳を貫き、バードアイの心臓の心臓を抜く。

「マリー、ナイスショット」

《それはどうも》

 無線から合流メンバーのマリーの声が聞こえる。僕が素直に惚れるほどの精度だ。

「さて……これですべてが終わりだ」

血を胸から流しているバードアイに向かって僕は一言だけしゃべった。

「人間はやろうと思えばどんなことでもできる。でも……」

 意識が消えそうなバードアイは最後の力でこちらを見る。

「同時に慢心した瞬間、どんな簡単なことでもできなくなる。来世のために覚えときな」

「そう……か……しっかり学んだよ」

 そう言い、バードアイは息絶えた。こうして僕の復讐戦兼遭遇戦は幕を閉じた。


 現在時刻23:54 日付変更まであと6分

合流済みメンバー:仁、ジェイド、バンパー、ハス、アイサ、ガスター、カルイ、ケイン、マリー

未合流メンバー:残り7名

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