【プロローグ】現在地はトラスト市上空です
目を覚ましたらヘリに乗っていて上空にいたり…なんて考えたことはみんなにはあるかな?目を覚ました瞬間にヘリってことはないと思うけど、ヘリに乗ったことのある人だったら、いてもおかしくないだろう。ちなみに自分に関しては……
ババババババババババ…
乗ったことあるどころか現在進行形でヘリで上空にいた。
《もうすぐで作戦区域上空に到達する。各自装備の最終チェックをしろ》
ヘリパイロットのアナウンスとともに、機内で様々な金属音やものがこすれ合う音が鳴り響き始める。
《ラぺリングしたら迅速に周囲のクリアリングを行うように。地上の安全は完全には確保されてはいないからな》
僕らは今、中国大陸沿岸部にある企業国家「トラスト市」上空にいる。任務は財団トラスト支部から機密情報の回収だ。回収後は直ちに撤退と計画されていたが……第一章を読んだ人だったらどうなるかわかるだろう。任務とはそう一筋縄ではいかないものだ。
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ここでいったん説明。特別企業国家都市「トラスト市」とは1980年代から企業国家としてアドラスグループによって建国・管理されて《《いた》》国家である。過去形になっていた通り、ここ数年間では今やレギュラー枠の世界真理教やその他テログループによって支配されたのである。今となっては「死の街‘‘トラスト‘‘」という不吉な名前を付けられるぐらいだ。
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『また任務か?』
「うん。ただ嫌な予感がするんだけどね。一筋縄でいかなさそう……」
『一つ教えてやる。お前の嫌な予感は9割的中するんだ。無駄口はたたくな』
「もう遅い気がするけどね」
《それでは諸君。ご武運を》
ヘリにいる他の仲間がラぺリングするのを見届けながら、僕は持ってきたスナイパーライフルのMPPR‘‘アーリー・グリック‘‘のコッキングレバーを引いた。中には一発の弾丸が、ヘリ内部のランプの光によって赤く照らされていた。
「さてと……そろそろ行くか」
それでは、お仕事開始と行きますか




