タイトルは面白そう、ルームメイト
6月の早朝、新聞配達をしている早見さくら。19歳。最後の家の新聞を郵便受けに入れ、自転車に戻ってくると自転車の籠に少し大きめのブタと女の子の人形が入っていてびっくり!!
とりあえず小雨が降ってきたため人形達を中に入れた。
さくらという少女は一人暮らしをしていた。
彼女は人形達を隅々まで点検した。2つの人形達は薄汚れており、大量生産製の粗末な作りの肌、金髪の髪の毛の女の子人形の服の裏に"ジョシー"と書かれており、桃色のブタは電池を入れたら動く仕様になっており電池を入れるプラスチックの所に黒のマジックインキで"チェルシー"と書かれてあった。
いつもなら、落とし物に届けたりするのだが、今回は届けなかった。配達の一瞬の隙間に籠に入れる…入ってる。しかも早朝。誰かが私にこれらを託したのだろう。変質者の盗聴機などはないはず。これからは彼らとずっと【ルームメイト】だ。
さくらはなぜかそう感じた。
「ジョシーとチェルシーって言うんだね。私はさくら、よろしくね。これからは三人で暮らそうね。」
ブタの中の電池を出してから、さくらはお風呂でジョシーとチェルシー人形を洗い、部屋の窓際に新聞紙を敷いて置いておく。人形2体に日光浴を浴びさせるのだ。
さくらは朝食の後、ジョシーに合いそうな新しい洋服を安い子供服売り場か、100円均一ショップを周り見つけだそうと1人出掛けた。
さくらはバイトの掛け持ちをして生活をしており、今日は昼間のバイトは休みだったのだ。
黄色いひらひらのスカートのワンピース、乳幼児用の服がセールで600円位の格安で売られていたのでそれを買ってきた。それでも、貧乏生活のさくらには奮発した買い物だったが、手作りで洋服はうまく作れないので(以前他の人形で作ったことがあったが失敗した。)
ジョシーに着せてみると、なかなかぴったりでかわいらしかった。
近所の同級生の遅見銀杏という男子。彼はさくらの友達で、その人形達が怪しいと思い、盗聴機がないのか調べてくれたが大丈夫だった。
さくらや銀杏の見ていない所で何とジョシーとチェルシーが動き出したのだ。そして話し出した。
「長い旅だったが、これからはこの娘に世話になろう。」
ジョシーが言った。
「これからは呪わないのかい?」
チェルシーが言った。
「この娘次第だろう。この娘がこれから私達を大切にしてくれれば呪いはもうやめることにする…。」
何と彼らは呪いの人形達だったのだ。