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第8話 ごめんなさい



「何だかお疲れみたいね」


翌朝、アレッサ姉様と朝食を食べていると急に声をかけられました。疲れを隠していたつもりでしたが簡単に見抜かれてしまいました。


「うん、昨日色々あって...」


「噂は耳にしたわ」


「うわさ.....?」


噂とはなんのことかしら?私に関すること?


「本当に覚えてないのね」


「何のこと?」


「酔ったミルが」


「私が...........?」


「セレスト様にべたべただったって話」


「べっ、べたべた?!?!」


どっ、どういうことですか?!?!

酔った私がセレスト様に.....?!

私、まさか公衆の面前でありえないことをしたとか...?


「その、アレッサ姉様...。詳しい内容とかは...?」


「詳しい話は聞いてないわ。気になるならセレスト様に直接聞いてみるのがいいんじゃない?」


直接...!!!流石に気まずいというか恥ずかしいというか...。


「今日は騎士団の訓練は早く終わると言っていたわ。昼食も必要ないと言っていたし、そろそろ帰ってくるんじゃない?」


「でも私、屋敷ではほとんど話したことなくて...!」


「良い機会じゃない。帰ってきたら聞いてみるのよ。わかった?」


ど...どうして.......。

ただでさえ話しかけるのも勇気がいるのに、こんな恥ずかしい話なんてできません.....!!!!





―――





セレスト様が帰ってきて1時間が経ちました。

セレスト様は今は部屋にいらっしゃるのですが、私はどうしたらいいのか分からず、ずっと彼の部屋の扉の前に立ちすくんでいます。

何度かノックしようと手を挙げたのですが、どうしても扉を叩くことが出来なくて.....。


だって、昨日酔った彼を見てから、本当にどう接していいのか分からないのです!!!

あんなのまるで私の事好きみたいで.....。

私は人の事好きとかそういう感情がよく分からないので合ってるかどうかわからないのですが、恐らくセレスト様のあれは.........。

わああああああ!!!

そう思うとノックする勇気が出ません!!!


そう思い、ノックしようとあげた手を下ろしました。


今日は、帰ろうかしら.......。


そう思い、ふぅっと短い息を吐き、扉の前を去ろうとした時でした。




―ガチャ




目の前の扉が開き、セレスト様が出てきました。


「ミル?!どうしてここへ?」


なんてタイミング...!!!

いちばん気まずいやつです!!!


どうしようと思い、しどろもどろとしていると、セレスト様が私の前へ手を差し出してきました。


「話があるなら、部屋の中で聞きます。」






――初めて家族以外の男性の部屋に入りました。


私は緊張しすぎてソファの上で縮こまっています。

ちらっと顔を上げると、向かい側に座るセレスト様が丁寧な仕草でお茶を入れてくれています。


昨日の表情とは違い、今はいつも通りのセレスト様です。無表情です。


しばらく無言でお茶を飲みました。

話しかけるタイミング、話の切り出し方、何もかも分かりません!!!


ちらちらセレスト様の表情を伺っていましたが、ずっと無表情なのです!!機嫌が悪いのですか?

私、今日は帰った方がいいのでしょうか?!

どうすれば.........。


「昨日はすみませんでした。」


急にセレスト様が頭を下げました。


「.......え?」


予想外の行動に、私は唖然としてしまいました。


「何の事ですか?昨日とことでしたら私は何も気にしていないので...」


「その事もそうなのですが、ミルが酔った時に言っていたことです。」


「私が酔っていた時に言っていたこと...?」



セレスト様は気まずそうに口を開きました。


「その.....。どうして屋敷でほとんど話してくれないのですか、とか。婚約したのに婚約式も婚約指輪もまだなのですか、とか。他にもその、色々...........。」


「言っただけ.....でしたか?」


「いえ、その、抱きついてきたり、その.............。」


セレスト様の声はどんどん小さくなり、どんどん俯いて行きます。


その後セレスト様が話してくださったことを簡単にまとめると、昨夜私は、セレスト様に抱きついた挙句、ワガママ言って駄々こねた。らしいです。


もしそうだったら.....謝るのは確実にセレスト様ではなく私の方です。


「それと、私の方からミルに聞きたいことがあるのですが。」


セレスト様が私に聞きたいこと...?


「昨夜、酔った私がミルに不敬なことなどしていませんでしたか?」


昨夜、酔ったセレスト様.......。


「不敬なことはなかったです!敬語を使われていなくて、一人称が俺だったのはびっくりしました!でも、私に愛称で呼ばれたいって言うだけ言って、最終的に私の肩にもたれてお眠りになっていましたよ!」


言い終わり、セレスト様に目をやると、耳まで真っ赤にしながら下を向いていました。


「ミル、それは、本当ですか...?」


「嘘なんてつきません!」


「どう償えば.........。」


「えっ、」


償い.......?そんなの必要ないのですが!

それに私はセレスト様の一人称は俺の方が似合っていると思ったのですが.....。正直に伝えちゃっていいのでしょうか?うーん、迷ったらとりあえず言っちゃいます!!


「私はセレスト様の一人称は俺の方が好きです。敬語じゃなくても全然いいです。だから、不敬でもなんでもないですし、償いなんて...。」


「本当ですか?だったらこれから、ミルには敬語も使わなくていいのですか...?」


「はい!もちろんです!!」




なんとか上手くいったみたいです!




.......とはいえ、酔った私が言ったこと...あれは私の本心なのでしょうか。


本当に私が、セレスト様ともっと話したいとか、婚約式を挙げたいとか、言ったのでしょうか.....。


でももしも式を挙げれるとなったらとても嬉しいとは思います!だから本心ということなのですか...?

最近は自分の気持ちがよく分からなくなってきています。しっかりしないと.....。



「あ、ミル、もう1つ話があるんだ」


「どうされました?セレスト様。」


私が部屋を出ようと立ち上がったタイミングで、セレスト様が私の前へ立ち塞がりました。


「昨日の夜、セスと呼んでくれたのに...もう、呼んでくれないのか?」


そ、そんな話?!?!

でも、私だって、愛称で呼びたくない訳では無いのです。でも慣れないというか、恥ずかしいというか.....。


「これから愛称で呼んでくれると言うまで、ここを退かないから。」


「そんなことを言われましても...!何か焦っておられます?」


「!!それは.........。」


これは...図星なやつですか?

何か焦っておられる...??

セレスト様は、何かを隠しておられるのでしょうか。


「セレスト様は隠し事ばっかりです。私はもっとお互いのことを知りたいです。だから、今どうして焦っておられるのかも、話してほしいです。」


「ごめん、ミル。でもどうしても俺の口からは話せない...。」


「どうして.........?」


「君に、嫌われたくないから.....。」


それは...どういう意味でしょうか?セレスト様が話したら私が彼を嫌う?今の私は彼のことを嫌うなんてこと、ありえないのに.....。


「セレスト様。今話してくれない方が、嫌いになると思いますよ。」


「それは.........。分かった。話すよ。」


セレスト様はそう言うと、もう一度椅子に座りました。

どんな話、なのでしょうか.......。


















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