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第3話 とてもいい場所じゃないですか



私の部屋には、どうやらバルコニーがついていて、そのままお庭に出られるそうです。お天気のいい日はお花に囲まれて、バルコニーでお茶.....!素敵です!!

そのあと、私の専属メイドとなったアレッサさんがお屋敷の案内をしてくれました。アレッサさんは綺麗な赤い髪に、紫がかった瞳で、とても綺麗なお方です。この方が私のお世話をしてくださるなんて...!!


ですが、このお屋敷を探検していて気がついたことがあります。


人が全然居ません.........!!!!


とっても広い御屋敷を案内してもらいましたが、誰ともすれ違いませんでした.......!そんなことあります?!私のお家ではちょっと歩くだけで2、3人の使用人さんとすれ違ったのに...!財力も、侯爵と伯爵ではそんなに差がないはずなのに、どうしてなのかしら?


そんなことを思っていると、何だかいい匂いがしてきました。


「カルミールお嬢様、そろそろお夕食の時間となりましたので案内させていただきます。」


「ありがとうございます!!」


夕食.....!!!確か兄様が、違う土地に行くと、採れる食材なども変わってくるから、口に合わないかもしれないと言っていました。私の口に合えばいいのですが.........!


そう意気込んで、案内された席に座りました。


向かい側にはセレスト様がもう座っておられました。

そのお隣には少し幼い、可愛らしい男の子が座っておられます。黒い髪に赤い瞳のセレスト様に対して、お隣の男の子は薄い青い髪に紫色の瞳です。


見た目が全然違う.......。一瞬兄弟かなと思ったけど、違うのでしょうか!!!


男の子をまじまじと見つめていると、私の視線に気がついたのか、にこっと微笑みかけてきました。


かっ.....かわいいっっっ.......!!!!!!!


その可愛さに悶え、胸の当たりを押さえていると、別の視線が正面から注がれているのに気がつきました。


セレスト様?!え、視線が怖すぎる.......!!!

何を考えてらっしゃるの?!


冷ややかに見下ろされる視線に私の背筋はゾクゾクっとなりました。


可愛いとか思ってたけど、やっぱ怖いかも.........。




「ご夕食をお持ちしました。」


怖すぎる視線に震え、どうしようと思っていると、救世主の如く、料理人さんが夕食を運んできてくださいました。40歳くらいに見える料理人さんはなんというか、料理人と言うには大柄過ぎませんか?と言いたくなるくらいガタイのいい人でした。こっちが本物のセレスト様で、目の前の方は替え玉じゃないかなと疑うほどの筋肉。料理人にしておくのは勿体なくないですか?!


ですが運ばれてきたお料理は繊細な盛り付けがされています。


図体に見合わぬ器用さ?!ギャップ萌えというやつでしょうか!


ちらっと料理人さんを見ると、目が合ってしまいました。彼はにこっと笑うと、一礼してお部屋を出ていかれました。





手元に出していただいた料理があります。

兄様の予想は的中でした.......。私の普段食べているものとはぜんっぜん違います!!!


「カルミール様、お口に合いませんでしたか?」


お食事に口を付けずに固まっていると、正面に座っているセレスト様に声をかけられました。


「いっいえ!そんなことはございません!ただ、私の領地とは食事が全然違うのだなと.....。」


「そちらでは肉料理は出ないのですか?」


そう、手元にあるお料理。それは、全て肉料理でした。


「私の領地は海があるので、魚や、あと農地が多くあるので、お野菜が多かったです。お肉は高級だったので滅多に食べません。」


「そうなのですね。ここは海がなく、気温差が激しいので野菜も上手く育たないのです。慣れないかも知れませんが、肉料理が多くなってしまいます。」


「いえ!大丈夫です!お肉は大好きなので!」


嘘では無いです!本当にお肉大好きです!

年に一度、誕生日にお肉料理を出してもらっていたのです。それがとても美味しくて、毎日食べたいなと思っていたほどです!!


「姉上は本当に美味しそうに食べますね。」


あっ、姉上?!?!


セレスト様のお隣に座っている男の子が急にそんなことを言うのでびっくりしました。


「あ、僕は兄上の弟の、アレシアです。カルミール様は、兄上と婚約されたので、僕の姉上ですね!」


あ...................。


そうでした!!!目の前のセレスト様、私この方と婚約したのでした!!!!ついさっきまで何となく実感が湧かず、御屋敷綺麗だなーとか、ご飯美味しいなーとか思ってましたけど、婚約したのでした!!!!!


そんな感じで大慌ての私ですが、ちらっと前を見ると、セレスト様はそんな私にはお構い無しで、もぐもぐとご飯を食べてらっしゃいます。もぐもぐもぐもぐ...........。すごい食べるのですねこの方.......。

私がじーっと見ていると、その視線に気づかれ、彼は口に入っているご飯をごくんと飲み込んでこちらに顔を向けました。


「カルミール様、何かありました?」


「あの、えっと、セレスト様.........。」


これは.........言ってもいいのでしょうか!!!


ぱっと顔を上げたセレスト様に、お口の端にご飯がついていますよ、と。これは、言ったら不敬罪とかになりませんかね!!!


でもセレスト様、さっきまでたくさん頬張ってもぐもぐして、顔を上げたら口の端についてるなんて、可愛すぎませんか!!!!!

なんというか.......。


「セレスト様はリスさんみたいです。」


「「.............え?」」


部屋に沈黙が走ります。


あああああああああ!!私は何を言っているのでしょう!!!!ぜっったい不敬罪!!!!お父様お母様親不孝な娘でごめんなさい!!!


出ていけとか言われてしまうかしらと恐る恐る顔を上げると、セレスト様はびっくりされていて、硬直してましたが、アレシア様は大笑いされています。


「兄上のこと、リスさんみたいって.......。変わった人だなぁ...!!」


そんな、変わった人って笑わないでください!!!


セレスト様はまだ動きません。


何とか言ってくださいよ!!!


アレシア様はしばらく笑い続けたあと、先に戻るねーと言って部屋を出ていきました。正直、置いていかないで欲しかったです...。今はセレスト様と私の2人きりです。


...............。無言は気まずいです!!!!何か話を.................。


「あ、えっと...。リスさんって言ってごめんなさい。」


いや、ぜっったい違いますよね!!!私!!!!今言うことじゃないです絶対!!!はっと顔を上げるとセレスト様はぽかんとされています。そうなりますよね!!!私も意味わからなくてびっくりです!!!


「貴方は.......私の事、怖くないのですか?」


「怖くないですよ!」


怖いわけないじゃないですか!リスさんみたいですし。もしかして、私が怖いのに変に強がっていると思われているのですか.....?誤解されているのでしょうか?


「でもこの婚約は望んだものではないのですよね。それなら.........。」


「もちろんこの婚約は王太子殿下の命令だから、仕方なくお受けしました。セレスト様は正直、いい噂をお聞きしないので、最初は少し怖かったです。」


セレスト様は少し悲しそうな顔をされています。ですが誤解を解くためには.......!


「ですが、盗賊から助けてくださった時はとても格好いいと思いましたし、ご飯を食べる姿は可愛いなと思いました。今はもう、全然怖くなんかありません。」


「か.......かわいい?」


「可愛いです!!!」


セレスト様はちょっと困惑した顔をしていますが、誤解は解けたみたい(多分)のでよかったです!!









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