第11話 王都の中へ
俺は朝日が昇るのと同じぐらいの時間に師匠に叩き起こされた。
「師匠……こんな時間からどこに行くんですか……」
「ん?昨日言ったじゃろ?この国の中央部に行くのじゃよ……もしや、お主今居るこの場所が王都じゃったなど思っとらんよな?」
「え……ここ王都じゃなかったんですか」
「バカなのかお主は……まず王都がこんな南にあると思ってるのかたわけ……それに王都はもっと栄える」
「そこまで言わなくても……やっぱり地理の勉強しないとなぁ……」
「まぁ良い。北上するぞ?」
「ハイっ」
俺と師匠は、全速力で走って王都に向かった。
小さい村や平原を越えたりしたが、特に何も起きなかった。
途中師匠が「ここには何も無いか……」と呟いて居たがどうしたのだろう……
4時間ほど走り続けたら、一際目立つ大きい街が視界に入った。
「ここが王都ですか……大きいところですね」
「そうじゃな。ワシが昔来た時はもうちょい小さかったんじゃが……まぁ良い。中に入るぞ」
「はいっ!」
俺と師匠は門の前に行って門番さんと数度会話を交わして王都の中に入って行った。
「師匠。そろそろいきなり王都に来た理由を教えてくれませんか?」
「わかった、絶対に他の場所に情報をもらすなよ?」
「もちろんです」
「ここ王都に向けて、Aランク含む魔物が多数来とるらしい。情報はワシの知り合いで信用のおけるものからじゃから殆ど確定じゃろう」
「えっ!情報を回した方がいいんじゃ……」
「声が大きい。少し落ち着きなさい。仮に情報を回すとしても一般人に広めたら混乱を招くだけじゃ。
今回ワシ達がすべきことは、この国で地位が高い人間に情報を渡して、兵を動かしてもらうこと。そして、ワシとお主が魔物の数を減らすことじゃ」
「貴族の方と喋るのですか……それに魔物の数を減らすと言ってもあまり何も出来ませんよ……?」
「貴族と喋るのはワシがやる。お主はお付きの人とでもしておけ。魔物についてはワシが高ランクの魔物、お主はCランク前後の魔物を多数落とすのじゃ。
大丈夫、ワシが教えたことはレベルが近けりゃそうそう破られることは無いじゃろう」
「は、はい……頑張ります……」
「時間が無いからの?急いで貴族に話を取り付けてもらわんと行かん。初めに話をつけるなら伯爵位レベルじゃなけりゃのぉ」
「何故伯爵様なのですか……?どうせなら公爵様とかに言った方がたくさんの兵を貸してくれると思うのですが」
「お主は詰めが甘いのぉ。公爵位の人間と喋るとなると時間がかかる。伯爵位なら1週間もせずに喋れるじゃろう。魔物の進行速度的にここにくるのは2週間後ぐらいじゃ」
「なるほど……では、今から伯爵様の元にお話をしに行くのですか?身分証的なものは……?」
「まぁ、ワシにも知人は居るからのぉ?ここの王都で働いてる有権者が居るから其奴からの紹介状を使用させてもらう予定じゃ」
「なるほど。では、参りましょうか……?」
「うむ。早速貴族街に向かうぞ。なーに、そんなに怯えんでも魔物が攻めてくるまでまだ時間がある。と、言うことは修行する時間があるんじゃから、お主ももっと強くなれるわけじゃ」
「確かに……そう考えるとまだ安心できますね?」
「そうじゃろ?次に教えるのは実践で使いやすい技にしておこう。他にも単純な力の強化もしておいた方がよかろう。」
「ありがとうございます」
俺たちはそんな会話をしながら、貴族街へと歩いて行った。
途中で見たことない珍しいものを見つけたりして、寄り道したのは仕方がないことだろう。
今回も楽しんでもらえたなら嬉しいです。
誤字誤植含め何かありましたら色々教えてください。