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リヴァーシ  作者: 脱色生物
2章 商業国編
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第10話 修行2

翌朝、俺はベッドの上で目を覚ました。

太陽はもう既に昇っており、部屋に置かれていた時計は、もう少しで9時を刺すところだった。



「ヤベっ。師匠のところに行かないと」


俺はそう言って、荷物を持って部屋の鍵を閉め、隣にある師匠の部屋へと向かった。



「師匠。遅れてすいません!」


「やっときおったかヴァース。やっぱり昨日の修行は体への負荷がかかりすぎたようじゃのぉ」


「うっ。そのようです」


「まぁ良い。今日も近場の森に行くぞ。良いな?」


「ハイ」



そう言って、俺と師匠は昨日修行した場所の付近に向かった。


修行した場所に着くと、昨日俺が『薙ぎ払い』の練習に使用した、木の葉がそこらじゅうに落ちていた。



「木の葉が邪魔になっておるの。一旦どけるとしよう」



そう言った瞬間、師匠が剣を地面に突き立てた。

師匠の周りの木の葉が師匠を避けるように、遠方へ飛んでいった。



「これで良いな」


「師匠。今のは?」


「何、剣技の応用じゃよ。いずれお主にもできるようになる」


「本当ですか?なんというか信じれないっていうか……

師匠、俺とは次元が違う気がするんですけど。

師匠より強い人って居るんですか?」



俺は、疑問に思ってたことを率直に師匠に聞いてみた。



「そうじゃのぉ。ゴロゴロとおるぞ?」


「本当ですか?誰かお聞きしても?」


「良いぞ」



そう言って、師匠は指を一本ずつ伸ばして説明を始めた。



「まず、ワシが所属している惑星プラネットのリーダー。ザルトゥスじゃ。

今生きてる人間種の中なら、多分1番強いじゃろ。

ワシが何人おろうが、あの人に敵う気がせん。

もちろん100人居れば勝てるじゃろうが、数人程度では、瞬殺されて終わりじゃよ。」


「なるほど。それほどなんですか……人間種以外なら、誰が1番強いんですか?」


「まぁわかりきってると思うが、魔王じゃよ。

その昔、ある人物とワシらのリーダーが、協力して魔王の力を封印したんじゃが、後5年もしないうちにその力が解けるとワシらは予想しておる」


「えっ。そんな重要なこと僕に教えて大丈夫なんですか?それにある人物って?」


「ある人物については、完全に守秘義務じゃよ。

喋った瞬間ワシの首が飛んでしまうのぉ。

5年後に復活することは、分かる人にはすぐに分かるじゃろう。それに、お主がワシの弟子である以上、ワシらの情報は少しずつお主に教えておかないとの」



師匠は、そう言って腰をかけていた岩から立ち上がり、自分の剣を握った。



「さて、あまり時間はかけておれんからな。ほれ、昨日の復習じゃ。突きと薙ぎ払いをしっかりとできておるか見せてみい」


「はい」



俺は顔を縦に振って、剣を思いきり前に突き出した。

俺が突き出した剣は、ブレること無く俺の腕が伸び切るまでその速度を加速させて進んだ。



「ふむ。突きについては、問題が無いようじゃの。

習得するときは時間がかかっていたようじゃが、その分しっかり記憶に定着してるようじゃの。

次は、薙ぎ払いじゃ」


「はいっ!」



俺は、師匠に返事をしてから、剣を首の左側に寄せた。

そして、剣を握る力を強くして、剣がブレないように横に一直線に振った。

俺が振った剣は、音を建てて横に進んでいった。



「ふむ。薙ぎ払いの方は、今度もうちょっと練習するとしようかのぉ。今日は基礎連撃の残り2つ。

振り上げと振り下ろしについてじゃな」


「先に質問してもいいですか?」


「ん?なんじゃ」


「薙ぎ払いについてなんですけど、僕自身どこがダメなのかわからないんですけど……」


「ふむ。本来なら自分で考えろと言いたいところじゃが。今は時間が惜しいのでな。少しだけ教えてやろう。

お主の剣は、構え方が浅いんじゃよ。横に素早く振るためには、重心を落としてブレないように、振り切るんじゃな」


「なるほど」



俺は軽く頷いて、膝を少し曲げて重心を落とし、体をねじる勢いで振り切った。

全力で振り切った時ほどの力は出なかったものの、俺が降った剣は手に馴染んだ。



「ふむ。そんな感じじゃな。改善点はまだあるが、今は他のことをするとしよう。

次は、薙ぎ払いと同じで、剣技同士を繋げる技だから大事じゃぞ。まぁ、結局全部大事なんじゃがな。

さて、振り上げじゃが、薙ぎ払いを横振りから縦振りに変えるようなものなんじゃがな。

さて、取り敢えずワシが1発やってみるから、その後同じようにやってみなさい」



そう言って師匠は、自身が持っている剣を地面と水平に持った。そして、地面を強く踏みしめた。

その瞬間、師匠は天高く飛び上がった。同時に、あたりの木の葉が宙に舞った。



「どうじゃ。これが振り上げじゃ。注意するときは、剣の持ち方、地面の踏み方、飛び上がり方の3点じゃ」



師匠曰く、剣の持ち方は、地面と垂直であること。

地面の踏み方は、膝を使って力強く踏むこと。

飛び上がり方は、踏み込んだ力を上手いごと反射すること。とのことだった。

俺は、教えてもらった内容を頭で復唱しながら、一度実践してみることにした。


剣を構えて、地面を全力で踏み込んで天高く飛び上がった。

近くの木の高さを超えたあたりで、それ以上飛び上がれなくなった。そうして俺は、なすすべもなく、地面に一直線に落ちていった。

地面に落ちると思った瞬間、師匠が俺と地面の間に入り込んで、受け止めてくれた。



「ふむ。この技については、特に教えることは無さそうじゃの。反復で練習すれば、降りてくる時も慣れるじゃろうし。それまでは、8割程度で飛ぶようにしておけば、特に問題は無かろう。それに、この技は次に教える振り下ろしと一緒に使うことが多いから、基本的に上空から降りてくる時はバランスは保たれてるじゃろ」



俺は、師匠から1発で合格を貰えたのがとても嬉しかった。その為、基礎連撃の最後の技振り下ろしも早く学びたいと、師匠に声をかけた。



「わかりました。次の振り下ろしについても教えてもらいたいのですが……」


「うむ。中々いい目をする様になったじゃないか」



目?師匠はなんのことを言ってるのだろうか。

この時の俺は、師匠が何について喋っていたのか分からなかった。



「では、最後の振り下ろしについて説明するぞ。

この技は、基礎連撃を形成するうちの最後の技じゃぞ。

他にも、振り上げから振り下ろしのコンビネーションは、他のところでも使うからしっかりと練習するんじゃぞ。では、毎度お馴染みじゃがワシが手本を見せよう」



師匠は、振り下ろしをする為に、振り上げの準備に入った。師匠は、先程よりもゆったりと上空に向かい、俺が届いたところよりも、さらに高く飛んだ。

そして、空中で一瞬止まって、飛び上がった時の倍以上の速度で降りてきた。

師匠が地面についた瞬間、剣の先が地面につき、そこが少しだけ割れた。



「おっと、いかん。調子が上がってちょっと本気で降りてきてしまったのぉ。まぁそれでも、充分視認できるはずじゃが……まぁ、取り敢えずやってみなさい」



俺は師匠の発言に乾いた笑いをこぼした。



「では、やらせてもらいます」



俺はそう言って、一歩踏み込んで振り上げをした。

そして、自分のジャンプの最高点に到達したところで、剣を振り下ろしながら自身の体重を全て剣にかけて地面に向かった。

流石に、師匠と同じレベルで地面に穴を開けることはできなかったが、少しだけ剣が地面に刺さった。



「改善点が多そうじゃな。まず一つ目、振り上げ、振り下ろしをしている場所がブレブレじゃ、一直線に上に上がってから、一直線に降りてくるのが正解じゃが、お主のいまのは、降りてくる場所が約3歩分横にズレておる。

これじゃ、まともにこの攻撃のコンボが決まらんからのぉ」



俺は師匠に言われて、自分が飛び上がったところと、最後降りてきて剣を突き刺したところを交互に見た。

自分ではまっすぐだと思っていたが、上空に行って降りてくるだけで、体がブレていたことに気づいた。


やっぱり、それに一瞬で気づく師匠はすげぇ。



「二つ目、降りてくるときの剣の角度じゃな。パッと見た感じじゃが、お主がしっかり振り下ろしを使えるようになれば、今でも十分力は足りておるじゃろ。しかし、剣の角度がやっぱり浅い。45度から60度を目指して剣を振り下ろしてくるのが理想じゃ」



師匠の方を向いて俺は再度頷いた。

師匠曰く、他にも気になる点があるらしいが、取り敢えずは反復練習でこの2点を直せと言われた。



「では、ワシは森の中で使えそうな道具がないか探してくるゆえ、しっかりと練習しておくんじゃぞ」



そう言って師匠は、その老体に見合わない速度で森の中へと消えていった。

俺も練習しなければ……


そして、俺は数分休憩した後、数回振り下ろしの練習をした。

振り上げ、振り下ろしを連続でやるこの技は、想像していた以上に体力を使った。

そのため2回、3回と練習すると、すぐに休憩を挟まなければ行けなかった。


そんな風に練習すること1時間。森の中から師匠が帰ってきた。



「すまんのぉ。長いことあけてしまった。っと、結構ボロボロのようじゃな。今朝みたいなことが明日も起こると、生活リズムが崩れそうじゃからな。ラスト一本じゃ、見せてみなさい」


「ハイ!」



俺は師匠に対して返事をして、自分の剣に手を伸ばした。そして、地面を勢いよく踏んで天高く飛んだ。

何回も練習しているのにも関わらず、俺のジャンプ力は衰えることが無く、そのまま自身が飛べる中で最大のポイントに到達した。そして、バランスが崩れないように、自分が踏み込んだ場所を狙って、剣を少し下げ、全体重をのせて地面に向かった。

1回目と比べ物にならないぐらい大きな音が鳴った。

あけた穴も、1回目とは違って大きく深かった。



「ふむ。1時間でそれだけできれば上出来じゃろ。じゃが、慢心して反復練習を怠ると一瞬でできなくなるから、しっかりやるんじゃぞ」



俺は師匠にそう言われて軽く頷いた。



「そうじゃ、明日の朝1番で、ここ商業国コルマスの王都

に向かう予定じゃから、しっかり休んで明日朝早くにワシのところに来い。遅いと無理矢理叩き起こすか置いていくから、しっかり来るんじゃぞ?」



俺は、いきなりのことでびっくりしていたが、師匠の言葉にはしっかり頷いた。


そうして、俺と師匠はいつも通りホテルに帰って行った。道中でもいつも通り何もなく平和に会話していた。


ホテルについて俺は師匠と別れてベッドに飛び込んだ。

頭の中で、今日のトレーニングを思い出していると、一瞬で深い眠りに落ちて行った。


バトル系はスラスラ書けるんですけど、修行シリーズだと、師匠の助言に迷ったりと大変なんですよねw

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