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姉の婚約者を奪う妹に転生したので与えられたものだけで生きてお姉様の結婚も祝福します! その後は革命を起こします!?

作者: 城壁ミラノ

 私が転生したのは、恋愛小説のヒロインの妹だった。


 グローリア王国ギリム伯爵家の次女プリムローズ。


 ふわふわの金髪と、アクアマリンのような瞳に、桃色の唇のお人形のような顔。白い肌はぽっちゃり気味。

 転生前の私は貧乏でガリガリだったので、貴族の美味しい物を食べられるならぽっちゃりも嬉しいけど。


 そんなプリムローズは可愛く言えば、とんでもないほしがりさんで、小さい頃から姉ユリセーヌの物をほしがり、最終的にはユリセーヌの婚約者、美貌のアルバート伯爵までほしがってしまう。


 一言で言うなら迷惑な妹。


 そんな妹になりたくないし、なるわけにはいかない。

 私はずっとお姉ちゃんがほしかった。せっかく妹に転生できたのだから、仲のいい姉妹を目指す!


 そう鏡に映る5歳くらい?の自分にうなずいた私に、さっそく試練が訪れた。


「プリムローズ、お姉様と同じリボンが欲しいんじゃなくて?」


 振り返ると、着飾った美しいお母様と、髪に赤いリボンを結びオシャレを楽しむお姉様が長椅子に座っていた。


 お姉様はサラサラの金髪にサファイアのような瞳に白い肌。そこまでは姉妹だけにそう違いはないが、これからのお姉様は貧しい人達の支援活動のために教会に通い、乗馬も得意になるので、家でゴロゴロする予定の妹とは反対のスラリとした美しい女性に育っていく。


「ほしくない? プリム」


 お母様がまた聞いてきた。


 ここから恐らく、自我が芽生えたプリムローズは自分から姉の物をほしがって生きていくのだろう。


 ここから、変えていかなければ。


「いいえ、いりません」


「えっ」


 驚いて私の顔を見下ろすお母様。


 慎重に答えるあまり、子供とは思えない口調になってしまった。


「……リボンより、ぬいぐるみがほしいですー!」


「まぁ、プリムローズったら!」


 抱きあげられ、ギュッと抱きしめられた。


「可愛いっ」


 お姉様にも頭を撫でられた。


 完璧な出だしだ。


 それからの私は決してお姉様の物はほしがらず、両親や侍女達が勧めても断った。

 与えられる物だけをもらい、選ぶ時はお姉様とは違う物を選んだ。

 前世が祟って、食べ物だけはお姉様の分も与えられれば遠慮なく食べてしまうことがあったし、おかげで順調にぽっちゃりになっていったけど。


 ここまでは順調だが、10才になった私にまた試練が訪れた。

 国が実施している、魔法発現の儀。

 これで、私はギリム伯爵家の何世代かにひとりが使えるという(せい)魔法を発現する。

 聖魔法は攻撃の無効化や治癒力の増大やバリア強化など、自分だけでなく他者にも与える有り難くも神聖な魔法だ。

 それをプリムローズは自分を誇示するために使い、他者のためにはなんとも恩着せがましく使う。

 それでも聖女ともてはやされ、両親も自分をさらに大事にし始めることを利用して、私はお姉様より優位な立場なのよと振る舞い出し挙げ句は婚約者を奪うのだ。


 私はそうはならない。

 聖魔法は人々のために使い、今まで通り生きるのみ!


 そう誓いながらも、役人と両親が見守るなか、魔法を出すために伸ばした両手は緊張に震えていた。

 聖女ともてはやされたら、正気を保っていられるかわからない。そんな不安を振り切るように魔法を出した。


「……ハッ!」


 ボゴオオオ!!


 出てきたのは、白く輝く聖魔法ではなく火魔法だった。


「火いいぃ!!??」


 尻もちをついた私に、役人と両親が走り寄ってきた。


「大丈夫か!? プリムローズ!」


「ああっ、私のプリムローズ! 怪我はない!?」


「は、はいぃ」


 私の無事を確認すると、役人が言った。


「火魔法ですね」


 両親は、私にため息を浴びせた。


「私と同じね。一瞬、聖魔法を出してくれるかと期待したんだけど」


「火の勢いは凄かったんじゃないか? まぁ、聖魔法に比べればあれだが」


「あなた!」


「げふんげふん」


「ごめんなさい……お母様、お父様」


 立ち上がった私は、うつむいていたがニヤリとしていた。


「仕方ない。ユリセーヌでも無理だったのだから」


「そうね、あの子の方が、聖魔法を出せそうなのにね」


「ダリアンヌ!」


「コホンコホン」


 私は深くうなずいた。


 お姉様の方が聖魔法を使うに相応しい、そのことに私を転生させた神も気づいたのだろうか。原作ではラスト近くで気づくのだけど。


 なんであれ、私は転生者なら与えられるはずのチートまさかのなしという加護を与えられたことに感謝した。


 こうして私はただの妹となり、火魔法も料理やお菓子作りにしか使わず、のんびりと過ごした。

 時にはお姉様について行き教会で奉仕活動をしたので、周りには素敵なご姉妹ねと高評価をもらい続けた。

 乗馬はどう頑張っても馬に乗るのも一苦労で無理だったけど、ふたりでお菓子を作って食べたり、仲よく過ごせる日々は前世の夢が叶い幸せだった。


 いつしか最大の誘惑者であったお母様も、お姉様と同じものほしくない?とは聞かなくなっていた。

 姉妹だから可愛いからと、なにかとお姉様と同じものを与えたり同じ格好をさせようとしていたけど、私はお姉様のものはほしがらないとわかってくれたみたい。


 しかし、お姉様の方がお母様に感化されてしまったようで。


「このドレス、レースが沢山ついて綺麗でしょう?」


 お姉様は着ているドレスのすそを摘んで見せた。


 繊細な模様のレースで飾られた光沢のある青いドレスは、清楚で可憐なお姉様にとてもよく似合っていて。

 その姿は、若干15歳ながらまさに気品に満ちた貴族令嬢。


 原作のプリムローズはこのユリセーヌの姿が忘れられず、同じドレスを着て奪った婚約者の隣に立ち、


「アルバート様は、お姉様より私の方が綺麗とおっしゃってくださったのよ」


 とマウントを取ることになる。


 なんとも……私の語彙力では嫌味な妹ということしかできない。


 私は素直で可愛い妹道を行こう。


「綺麗です! そうですわ、シグルドに見せに行ったらいいですわ!」


 シグルドは家のお抱え騎士で、後々重要になる人物だ。


「プリムったら、からかわないで」


 お姉様は顔を赤らめたが、すぐに気持ちを落ち着けた。


「そんなことより、このドレス、プリムも欲しくない?」


「…………」


 本当は自分も着たい。同じ格好をしてみたい。だけど……。


「いりません」


「そう……」


 お姉様は困った顔で小さくため息をついた。


「プリムは、本当に控えめな子ね。私のお友達は、妹によく自分の物やドレスをほしがられて困ってるそうなのに」


 そう、それが本来の妹だろうけど。


「私は、お姉様を困らせたくないのですわ」


「少しくらい、いいのよ? 可愛い妹なんだから」


 よしよしと頭を撫でてくれた。


「お友達の妹みたいにしてくれないと、寂しいというかなんというか……」


 そういえば、あまり聞き分けのいい子は可愛げがないと聞いたことがある。

 可愛くない妹になるところだった。

 それに、ほしがらない妹ってホラー感がある。

 不気味な妹にもなるところだった。

 完璧な妹を目指しているわけじゃないけど、それでも上手くやるのは難しい……しかし、上手くやらないと。


「じゃあ、そのドレスだけ」


「ふふ、ええ、お母様に頼んできてあげるわね」


「はいっ」


 私は同じデザインの赤いドレスを着せてもらった。




 私とお姉様の関係は良好なまま、運命の時を迎えた。


 お姉様に、婚約の話が持ち上がったのだ。

 相手はもちろん、アルバート伯爵。


 私はさっそく、お部屋にお祝いを言いに行った。


「お姉様、おめでとうございます」


 窓の方を向いているお姉様が振り返った。


「ありがとう」


 微笑む顔に、悲しさが浮かんでいるのを見逃さなかった。


 やはり、お姉様は婚約に乗り気ではない。

 しかし、今のは見なかったことにして。

 このまま見守るべきだろうか。


 婚約相手は将来を約束された美貌の若き伯爵。

 しかし、本来は私に誘惑されてほいほいなびいてしまう、浮気者の性を持った男。

 それに、私を選びお姉様と婚約破棄したという知らせを聞きつけて成敗しにやって来た騎士団長に、剣を突きつけられて失禁してしまう男。


 いくらイケメンで仕事ができるとはいえ、そんな中身の男にお姉様をあげていいだろうか?


 黙って見ているなんて、それこそ性悪妹だろう。回避だ。


 それに、そんなダメダメな婚約者を成敗しにやって来る騎士団長というのが、家のお抱え騎士だったシグルドで。

 お姉様の想い人だ。

 それは、さっきのお姉様を見てもはっきりしている。

 シグルド、騎士団長になった今はシグルド様と呼ぶべきだろう。シグルド様とお姉様は今も惹かれあう仲。

 そのシグルド様は出世して城の騎士になり会えなくなってしまっていて、もう3年くらい経つだろうか。

 それでも、シグルド様はお姉様の危機に駆けつけアルバート伯爵を成敗し(成敗といっても、剣を突きつけただけでアルバート伯爵は失禁して気絶したが)


 お姉様を白馬に乗せて颯爽と去って行く。


 その姿はカッコいいだろうし、見たくもある。


 ちなみに、その時のプリムローズはアルバートにドン引きして彼との結婚を嫌がり、わがままが過ぎると両親に断罪され、謹慎しているうちにアルバートとの婚約はなくなったが、聖魔法が急に使えなくなり聖女と讃えて降るように来ていた縁談も来なくなり行き遅れENDになってしまう。


 嫌だ! 姉妹揃って幸せな結婚を目指す!


 シグルド様のカッコいい姿を見れないのは残念だけど、やっぱり違う方法でふたりには結ばれてもらわないと。


 そのためには、この婚約が成立しない間になんとかしたい。対処は早いほうがいいに決まってる。


 私は決意して、馬車に乗ると城の騎士の宿舎に向かった。


 シグルド様とは騎士団長室で面会した。


 久しぶりに見るシグルド様は、クール騎士といった感じが強まっていてカッコよすぎた。

 軽くかきあげた黒髪は馬に乗ってなびく(さま)を想像させ、私を見すえるブラックダイヤのような瞳も強くて魅力的。

 なにより、凛々しい顔つきと黒いグレートコートに身を包んだ逞しい姿が理想の男そのもので。


 お姉様から奪ってしまいたいと、薄っすら思ってしまった。


 いや! 破滅フラグだ! 回避!


「どうしました?」


 頭を振る私に、シグルド様は怪訝な顔をした。


「な、なんでもないわ。お久しぶりですわね」


「お久しぶりですね。突然、どうなさったのですか?」


 シグルド様は少し近づいてきて、私の顔をうかがった。

 漂う色香にやられないよう、一歩さがる。


 早く本題に入ろう。


「実は、お姉様がご婚約なさるそうなの」


 シグルド様の表情が一変して険しくなった。

 やっぱり、お姉様を想っている。

 私は攻めにまわった。


「シグルド様には、教えておく必要があると思って!」


「……わざわざ、ありがとうございます」


 シグルド様は感情を隠すように私から顔をそらせた。

 けれど、険しい顔つきは隠せていない。


「おめでとうございますと、お伝えください」


「そんな顔で言われても、お姉様は喜びませんわ!」


 シグルド様はギクリと眉を動かし、片手で顔を覆った。

 けれど、辛いという表情は変えられないようだ。


「よろしいんですの? お姉様が他の方と婚約なさっても」


 手をおろしたシグルド様は、冷静になるためか一息吐いた。


「ユリセーヌ様の婚約者です、素晴らしい方に違いない。私などでは敵わないほどに。祝福するほかないでしょう」


「確かに、お相手のアルバート伯爵は美貌の伯爵と言われているし仕事もできるわ。だけど、私に、いえ、女の人に誘惑されてほいほいなびいたり、剣を突きつけられてお漏らししてしまうような方なのよ!」


「な、に……?」


 愕然(がくぜん)とするシグルド様。


 私はハッと口を押さえた。

 言ってのけたと思うと同時に、羞恥心が湧いてきた。


「貴族の娘が人様の醜態を暴露するなど、はしたなかったですわね。今聞いたことは、秘密にしてください」


「わかりました、しかし」


 冷静さを取り戻したシグルド様が、笑みをみせた。


「聞かなかったことにはできない」


 シグルド様の決心が伝わってきて、私はニヤッとした。


 私達は、馬車で屋敷に戻った。


 お姉様はまだ、浮かない顔で窓を見ていた。


「お姉様、もう一度お祝いに参りましたわ」


「まぁ、何度もありがとう……?」


 得意げに笑う顔に気づいたようで、お姉様は首をかしげた。


「お姉様、私がお祝いしているのは、アルバート様との結婚ではありませんわ。騎士団長シグルド様との結婚ですわ」


 驚きにビクリとするお姉様。私は扉をそっと開けた。


「シグルド……」


「ユリセーヌ様」


 うっとりさせるような微笑みを浮かべたシグルド様がゆっくりとお姉様に近づき、ふたりは見つめあった。


「プリムローズ様からご婚約の話を聞いて駆けつけました」


「プリム……」


 お姉様の濡れた瞳に、私は開いた扉に隠れながら笑顔を向けた。


「ユリセーヌ様」


 シグルド様が片手を胸に当てた。


「婚約は私としていただきたい。それを今からご両親にお伝えしに行きます。お許しいただけますか?」


「……っ」


 お姉様は涙を零し、シグルド様と微笑みを交わした。


「はいっ」


 ふたりが手を取り合うのを見て、私はほっと緊張を解いた。


「よかったですわ、お姉様、シグルド様」


「ありがとう、プリム!」


「お姉様!」


 私達はしっかりと抱き合った。


「プリムローズ様、きっと婚約を勝ち取ってみせますよ」


 力強いシグルド様の言葉に、私も力強くうなずいた。


「頑張ってくださいまし。でも、もしもダメと言われてお姉様が屋敷に閉じ込められでもしたら、その時は私が逃してあげますわ」


「プリムったら」


「頼もしい方だ。では、さっそく行かねば」


 私もふたりについていき、お父様の執務室の扉を少し開けて様子を見守った。


「ユリセーヌと婚約させてくれだと!?」


 まずお父様が牙をむくかと、私は息をのんだ。


「ぐふう!」


 けれど、お父様は攻撃を喰らったかのように前のめりになり、片手で顔を押さえた。


「どうなさったの、あなた!?」


 お母様はじめ、私もお姉様もシグルド様も動揺した。


「……嬉しいのだよ。我が家のお抱えだったシグルドが、騎士団長になって娘を求めてくるとは……」


 お父様は嬉し泣きしているのだった。


「それは、私も嬉しいわ。とてもロマンチックですもの!」


 そういえば、両親は原作でもふたりの結婚を手放しで喜んでいた。プリムローズがやらかさなければ、本来は無邪気に娘達を溺愛するだけの人達なのだ。


「喜んで君に託そう!」


 お父様とシグルド様はがっしりと握手を交わした。


「おめでとう! ユリセーヌ!」


「ありがとうございます! お父様、お母様っ」


「おめでとうございます! お姉様!!」


 私は飛び出して行き、お姉様とお母様と抱き合い喜びを分かち合った。




 お姉様は青いシルクに白いユリが刺繍された美しいドレスを纏い、高貴な花嫁そのものの姿でシグルド様と馬に乗りお嫁に行った。


「次は、プリムの番ね」


「はい」


 執務室に呼ばれた私は、お母様とお父様に期待の笑みを返した。


「そうだ、アルバート伯爵はどうかね?」


「!?」


 目をひんむく私に、お父様は無邪気に笑った。


「綺麗な伯爵様だと言っていなかったかね? ユリセーヌとの婚約がなくなり相手はお前に目をつけているようだ。家柄的にも丁度いいし」


「ただ、ちょっと歳が離れてるんじゃなくて?」


 問題はそこじゃないのですわ。


 これは最大の破滅フラグ。全力で回避!


 私はおもむろに床に大の字に寝て息を吸った。


「やだやだやだあぁ〜っ!!!」


「きゃああっ! プリム!!」


「どうした!?」


 ジタバタと全力で暴れる私は、ふたりがかりで抱き起こされた。


「落ち着きなさい! プリムローズ、わかったから!」


「歳が離れていて嫌だったのね! お姉様のお下がりが嫌だったのね!」


「はいぃ……ハァハァ」


 理由はなんでもいい、回避できたなら。




 それからしばらくして、私は素敵な伯爵と結婚した。

 2歳年上の、エリオット・ルイ伯爵。

 私にはもったいないような方に見えたけど、私のために与えられたので遠慮なくもらうことにした。


 エリオット様はプラチナブロンドにエメラルドのような瞳、笑顔の可愛い優しい人。

 美食家のため、ぽっちゃり気味。

 ぽっちゃりは気にならない。人のことは言えないし。

 エリオット様とは一緒に料理やお菓子を作って仲良く食べている。毎日幸せ。


 今は、運動のために一緒に庭を散歩しているところ。


「シグルドお兄様は剣聖、ユリセーヌお姉様は聖女、おふたりとも凄いと思わないかい?」


 空を見ながら、エリオット様が急に言った。


「ええ、凄いわ。自慢のおふたりよ」


 私も空を見てふたりを思い浮かべた。


 お兄様は騎士団長と剣聖の名を世に馳せている。

 お姉様は結婚後すぐに聖魔法を発現して、今までの教会での働きのように人々のために聖魔法を使い聖女と呼ばれている。

 真の聖女。やっぱり、聖魔法はお姉様にこそ相応しい魔法だった。


「羨ましいくらいだわ」


「羨ましいよ、本当に」


「エリオット様? 急にどうなさったの?」


「私達も、なにか凄いことをしないかい?」


「凄いこと? したいけど……?」


 エリオット様のキラキラした意気込む瞳をのぞく。


「私達の料理で、貴族の食事に革命を起こさないか!?」


「革命を!?」


「そう! プリムローズの火魔法は素晴らしいよ! 火加減の巧みさは国一番だ!」


「エリオット様……」


 私にとって、火魔法は特別な加護だったとわかった。


「エリオット様の調合魔法も、右に出るものはありません! あの正確な調味料の調合なくして、美味しいものは作れませんわ!」


 握りこぶしをつくった私の手を、エリオット様が握った。


「プリムローズ、私達で力を合わせて、まだこの世にない料理を生み出そう!!」


「はい!」


 破滅ENDを回避した私は、革命への道を歩きはじめた。

 愛する人とともに。

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[良い点] 料理が好きな転生者というと、日本がヨーロッパから習った洋食をヨーロッパ風世界にドヤ顔で紹介して大受け&私褒められ、っていう昔の専業主婦の夢かな?みたいなパターンが王道な気はするのですが こ…
[一言] 可愛らしい話で和みました。
[良い点] テンポもよく、景色が見えました。 [一言] とても良きでした。
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