バルド
マファスは、メイドのプルテに服を頼み誰に会うか考えをめぐらせた。
(最初に作ったマキナに会ったし、2番目に会いに行くか!バルドは…訓練所かな?)
なんとなく順番に会うことにしたマファスはメイドに着せてもらったいつもの純白の法衣を着て訓練所に向かう。今の部屋からだいぶ離れているが、部下の作ったブレスレット型の転移装置で簡単に向かうことが可能だ。
(訓練所なんていつぶりだ?い、1万年…くらいかな?普段ダラダラしてるやつが行くところとしては少々ハードル高いが仕方ないよな…それに、呼び出して仕事の邪魔したくないし)
「訓練所に向かう」
「かしこまりました」
なんとなくメイドに声をかけてから、転移装置を起動させた。
神のダンジョンの下層区域には複数の訓練場が用意されている。例を挙げると、超巨大かつさらに空間魔法で内部空間を広げ、ドラゴン同士が飛びながら戦っても有り余る空間が用意された部屋。重力が調整可能な部屋。海が広がる部屋など、多種多様である。
他にも併設して温泉や食堂、診療所等があり、訓練のための最適な空間が用意されている。
バルドは約6億年前にマファスが己の身を物理的(マキナは精神)に守るために創造した生体ゴーレムだ。性別は男性で、角ばった輪郭に短い髭が生えそろい鋭い目つきに黄色の瞳を持った筋骨隆々かつ身長は3メートルと、どっからどう見ても強いと教えてくれる見た目をしている。服装は普段黒スーツを着ているがぴちぴちだ。
彼は毎日訓練しているため、大体訓練所に行けば会うことができる。
マファスは訓練所受付に転移し、やたら目を見開いている受付に口を開く。
「バルドをここに」
「はっ!」
美人な受付さんから軍隊じみた返事とともに、受話器をとり連絡を入れた。
数秒して、隣から風が起きた。
「お呼びでしょうか、マファス様」
筋骨隆々の男が頭を下げ片手を地面につき、そこに待機していた。
「様子を見にな、元気にしてるか?」
「はっ。御身を守るため常に万全の状態であります」
「そうかそうか。実は少し時間を持て余していてな、バルドの訓練を見てもよいかね?」
「御身のご希望とあらば」
「では行こうか」
こうして、バルドの訓練を見学することになったマファスだが
(バルドこわ!デカ!けどこれでも小さくなってんだよなぁ。暇つぶしに見よう思ったけど、1人の鍛錬を見るって暇では?)
自分から言い出しておいて、とんでもなく失礼なことを考えるマファスはこの時間をどうしようか考えていた。
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≪訓練所の受付視点≫
どうも、受付嬢です。インタビューですか、わかりました。名前?今言う必要あります?
ここ、受付では数ある訓練場のすべての管理を行っているため非常に多忙です。10人ほどの受付に、いろんな方が予約を入れに来たり、訓練内容等の報告に来られます。そのため、タイミングが悪いと受付内に多くの人が集まってしまい、てんやわんやになることもあります。
そんな、非常に忙しいところではありますがいいこともあります。それは、バルド様を筆頭とする、軍関係者や幹部の方々に直接お話ができることです。気に入っていただければその方と結婚することもあります。
我々、訓練所の受付は時に興奮覚めぬお客様をだま……冷静になっていただくために武力行使を行うことが許されているため、全員それなりに戦えます。
……何ですかその目は。ケンカしてる軍人や実力者複数を一人で制圧する受付嬢がそれなりのわけがないって?…黙りなさい。所詮、10人のメイドに勝てない女です。
ゴホン。話がそれましたね。今日の話ですよね。今日はとても光栄な一日になりました。
ご存じの通りマファス様にお声をいただくことができ、さらにバルド様との会話も聞くことができました。マファス様がくるにあたり、憎きメイドによって人払いされているので私だけが聞いていたことになりますね。ふふ。
それにしても、すごかったです。鍛錬中だったこともあり、バルド様からは強烈な武の気配が出ていました。私は普段とは違うその圧倒的な気配に体が震えておりましたが、マファス様は全く気にすることなく会話をされていました。並みの者なら、口を開くどころか気絶していてもおかしくはありません。
会話の内容も話していいのかしら。許可はもらってる?…あまり深く聞かないほうがよさそうね。わかった。内容としてはマファス様がバルド様の訓練を見るとのことで、2人で訓練所に向かわれました。マファス様は何か考え込んでいる様子でしたので、バルド様の訓練は何かあるかもしれませんね。
ここにいてよいのかって?当然、見に行きます。
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「智神マキナ」&「力神バルド」
マキナは、マファスの頭脳の化身である。
星が生まれ、生物が生まれ始めてからの記録を全て蓄えており、神のダンジョンの運営など内政もこなしている。
全知全能と言われる主人に近づこうとして頑張っているが、本人はいまだ足元にも及ばないと思っている。
バルドはマファスの肉体の化身である。
星が生まれ、生物が生まれ始めてから様々な生物と戦い、また様々な武を極め主に防衛や戦争、軍の訓練等、神のダンジョンの武を担っている。
そんな彼も、主人に近づこうと努力を続けているが、武にかんしても足元にも及ばないと思っている。
≪マファス≫
(俺の側近が優秀すぎて怖い。組織のこと聞かないで…模擬戦誘わないで…僕死んじゃう…)
マファス自身の戦闘能力は成人男性未満です。




