我妻
週一ペースで頑張ります…
「マスター起きてください」。
4度寝をしようとしたらマキナに起こされた。目を開ければ端で頭を下げているメイドを背景に水色の髪と目が特徴的な自身の好みドストライクの女性がお茶を持ってこちらを見ている。
彼女とはもう6億年近くの付き合いで、その正体は最初に作成したゴーレムである。
改良に改良を重ね今では生体ゴーレムとして人と何ら変わらないが、昔はザ・ゴーレムといった見た目をしていた。今でも初めて「こんにちは」と挨拶をした時のことを思い出せる。昔もあれはあれでかわいかったが、今はもう直視するのも照れるくらいかわいい。
「どうされました?」
そんなことをマキナの方をぼーっと見ながら考えていると、また声が飛んできた。
「あぁ、かわいいなと…いや、なんでもない」
「…そうですか、ありがとうございます」
反射で動いていた口に理性が追いつき恥ずかしさから口を閉じる。彼女は少し間をおいてから礼を述べた。……昔はもっとかわいい反応を示していたのに、いつからか社交辞令のような返事しかしないようになってしまった。僕悲しい。
そうこうそている間にお茶の準備を終わらせ、退室するマキナとメイド達を見送りベットから起きる。一度日記の置いてある机に目をむけ、日記をいそいそと金庫にしまい、次の行動を考える。
(過去のことを思い出したらみんなに会いたくなったな……暇だしあうか!)
1人、退室せず端で静かに待機しているメイドに服を頼み、この後のことを考えるマファスであった。
△△△△△△△△△△△△△△
≪メイド視点≫
どうもメイドです。ただのメイドじゃないですよ?何十万といるメイドの中から幾多の試練を乗り越え、トップ10に入り見事全知全能たるご主人様のメイドとなったエリートメイドなのです!
そしてそしてそしてなんと!ただ1人のお付としてご主人様の部屋にいます!幸せ!早くお声をかけてくれないかなー。あ、4度寝した。おやすみなさいま……ん?この気配!マキナ様!先に扉を開け入室していただきます。
ご主人様の最初の挨拶は必ずマキナ様が行います。マキナ様にとってご主人様との挨拶は特別なんです。たまに、ご主人様が先に起きて部屋のメイドと話していたりすると、見た目は何も変わりませんがものすっごく不機嫌になります。見てて怖いです。ご主人様は気づいているのでしょうか。
今日はちゃんと挨拶できてニコニコです。…えっ!い、い、いまご主人様の口から…カワイイと…!言われたい!…じゃなくてマ、マキナ様のご機嫌メーター振り切ってます!初めて見た!めっちゃかわいい!カメラプリーズ!
心で騒いでいる間にマキナ様そそくさと退室してしまいました。絶対照れてますね。いいなぁ奥様は……私もいつか側室に…
「プルテ、服を」
「かしこまりました。ご主人様」
名を!名を!うへへへへへ
△△△△△△△△△△△△△△
ダンジョン
現代でも人間界において謎だらけの存在であり世界七不思議の1つとされている。
なぜ、人知を超えたアイテムが出てくるのか。なぜ、倒したモンスターは死体が残らず溶けて消えるのか。なぜ、このような方法で生物を誘い込むのか。なぜ、人類の到達点であるレベル99の攻撃でもダンジョンの壁は傷つかないのか。話を挙げるときりがない。
そんなダンジョンについて記載された本がダンジョンからたった1つ発見されている。
その本は『真実の書』と名づけられ、中身は謎の解明という名目のもと公開されている。しかし、かんじんの中身は参考にならず、発見されてから数十年たったが、いまだに謎は解明されていないままである。
≪真実の書≫ 抜粋
ダンジョンの正体は神のみぞ知る。
≪ファマス≫
ん?ダンジョンについて?あれはスライムの果てだよ。
昔、飼っていたスライムがダンジョン化しちゃってさびっくりしたよ。
大丈夫だよーって本人言ってたから気にしてないけど。
レベル1万超えるとなる子が出てくるんだ。ダンジョンコアはスライムの核で、アイテムはスライムが直接作り出してる。出現するモンスターはスライムが自身の粘液から作り出したやつで、死んだら体に戻るんだ。壁はスライムの肌?みたいなもので見た目が違うだけで実際はみんな同じらしい。中に入ってきた獲物を捕食して生きているんだよ。
この話、レベル80を超え幹部入りした子に話すと毎回びっくりして何故か青い顔するんだよね。スライムより君達のほうがよっぽど怖いと思うけど。
あなたの住んでいる家は絶対に勝てない怪物の体内です。