この世界の仕組みを知ったら、神様の闇も知りました
一夜明けた。
私の感知範囲内に動物や人間等の生命反応が無いことに気付いた。
恐らく、周辺に街や村、小さな集落すらもないだろう。
感知できる森の一部に人が通った形跡は無く、変わりに恐ろしい気配を感じる。
この世界魔物的な奴はいるのだろうか?その辺の説明を神様に受けていなかった。どうしよう、今問い掛けても無駄かな?
「どうかしましたか?」
あれ?神様?
「そうですよ。どうかしましたか」
神様とお話できるんですね。
「ええまぁ。気まぐれではありますが、気分転換になるので」
なるほど。神様に寿命とか無さそうですもんね。暇つぶし位は必要か
「それで?何か聞きたかったのでは?」
あ、はい。この世界について教えて欲しいなって思いまして。
「確かに説明していませんでしたね。転生時はリソースの影響で時間がありませんでしたから」
リソースってそこにも影響してたんですね。
「この世界を支える大事なエネルギーですからね。それなのにあのクズ共…」
神様?闇漏れてますよ
「これは失敬。最近仕事の疲れが抜けなくて」
お疲れ様です。温泉入ります?
「せっかくだから入りますか。こちらを見ても平気ですよ。服着たまま入れるので」
濡れ透け?
「いえ、魔力で編んだ服は水や火の影響を受けないんですよ」
着衣入浴が可能と?
「はい。これから頻繁に来るのでお願いしますね」
構いませんが、人が集まったら変に思われません?
「ご安心ください。私の姿は、貴方にしか見えてませんので」
それなら大丈夫ですね。
「えーと、話はなんでしたっけ?」
この世界についてですね。それでリソースが大事な物と言うとこです。
「そうでした。リソースと言うのは、この世界を豊かに成長させていくためのエネルギーです。これが枯渇すれば、全ての土地が枯れ、海や川と言った水場も枯れます。以前そうなったことがあるというのに…人間はまた同じ歴史を繰り返すのですね」
…私も元人間でしたから、耳が痛い話です。
「話を戻しますね。そのリソースですが、勇者召喚を行った事で八割が消費されました」
八!?
「特定の世界から、生きている人間を、人数を絞って召喚する。本来の勇者召喚は、魔物の王が産まれ、この星の人間では対処出来ない場合に使用する物なのです。それをこの世界の人間共は、魔物の王が産まれてすらいないのに、他国が魔王の存在を隠蔽しているだの、魔王が人間に化けた国だのと無いことばかり並べて勇者召喚を行う」
勇者という存在欲しさに…ですか。それ程までに勇者は強いのですか?
「いいえ。はっきり言えば雑魚です。恐らく、今の貴方でも勝てます」
私、土地ですけど!?
「土地に負けるほど弱いのです」
勇者ってなんでしたっけ?
「今でこそ勇者と言う呼び名ですが、過去召喚された方々の呼び名は応じた者、もしくは亜人と」
応じた者、亜人…応じた者は、勇者召喚に応じた人間だから?
「そうです」
では、亜人は?同じ人間なのではないのですか?
「亜人と言う呼び名は、この世界と異なる言葉を使い、髪色や瞳の色がこの世界に存在しなかったことからつけられました」
黒髪黒目で日本語を使っていたから?
「はい。詳しくは後程説明しますが、召喚された人物は、1番初めはこの世界で会話が出来ません。それは、元の国の言語とこの星の言語が違うから。そして、こちらの言語を知らないから」
言語を知らないなら、会話も無理ですね。
「応じた者、亜人はやがてこの世界の言語を覚え、彼等と意思疎通を行い、彼等の願いを叶える為に行動するのです。そして、目的を達成した時初めて、彼等は勇者と呼ばれた」
つまり、呼ばれた時から勇者なのでは無く、呼ばれた後の活躍によって勇者になると?
「そういうことです」
じゃあ、神様が言っていた最近召喚された人物が勇者云々って
「彼等人間に合わせた言い方です。召喚された男は、勇者になってすらいない一般人です。スキルも異世界言語しか持ってませんし。今、勇者ともてはやされている男は、近いうち魔物の纏う瘴気に精神をやられるんじゃないですかね。可愛い女の子をパーティーメンバーに入れたところで、男の戦闘力は上がりませんし。あぁ夜の戦闘力は上がるかもしれませんね」
……
「リソースに関する大事なことに、リソースを消費して召喚された人物の功績では、リソースが回復しないと言う制限があります」
それって?
「召喚された人物が魔王を討伐したとしましょう。多くの国を救った勇者と言う功績は十分すぎるものです。しかし、それは召喚され、魔王討伐に励んだものであれば当然成し遂げられるモノ。ソレを功績と認めたらキリがない。だから、リソースを回復する為の方法は、召喚された側では無く、召喚した側の功績になるのです。それも召喚以降の功績」
つまり、召喚して召喚された人物に全て押し付け、ふんぞり返っていれば?
「もちろんリソースは回復しません」
じゃあ八割消費って話は…
「既に召喚した国々による無駄消費の割合です」
国々…え、まさかの複数?
「そうですよ。国ごとに管理されたリソース。それを統計したのが私の元にあるリソースです。彷徨う貴方の魂をこの世界に定着させたことで、国々リソースはゼロです。国が何か功績を打ち立てない限り、国は滅びに向かうだけです」
…うわぁ。それほぼ確定した未来ですよね?
「当然ですね。リソースの仕組みを完全に継承しなかった王族が悪いのです。こちらが助ける必要はありません。まぁそれは、人間族に言えることで、亜人…つまり過去の勇者の子孫や獣人、エルフ、ドワーフと言った人間以外のリソースの仕組みをちゃんと継承し、むやみに消費しない種族は助ける対象です」
なるほど。…一つ質問です
「なんでしょう」
まさかとは思いますが、その人間の国々は、亜人の国が魔王の手下だの、魔王の情報を隠蔽してるだの言ってませんよね?
「言ってますよ?だからリソース増えないんですよ」
えぇ?なんでそんなことにって、都合の良い事実だけを残してきたからですね
「よくお分かりで」
まぁ元人間ですからね。あ、スキルとか種族というかそんな感じのリソース別って話は?
「基本人物の召喚に国毎のリソース八割を消費。その後、召喚された人物の行いによって国や統括している私の方からリソースを消費してスキルを付与しています。つまり、何もしていない人間にスキルは増えません。それに、そのリソース全て貴方に使ったのでもう意味無いです」
俺恨まれません?あ、土地だから分からないのか
「そうですよ。貴方にスキルを与えると同時に、土地と言う感知されることの無い存在にすることで、リソースが奪われることを防ぎ、飛び火するであろう亜人国の避難場所とする」
私の役目が無いって言いませんでした?
「役目はありませんよ。何せ土地を開拓するのは彼等ですから。せいぜい、貴方はそれなりに地盤を整え、彼等が生活しやすい環境を作る手伝いをするだけです」
それならそうと最初から言っていただければいいのに
「あの時は忘れてたんです。それに、あのタイミングでまた召喚しようとした阿呆がいたので、そっちに介入しなきゃだったんですよ」
…主神様も大変なんですね
「当然でしょう。さて、これ以上質問が無いようなら帰ります。逆上せてしまいそうです」
まぁ、とりあえずは大丈夫です。また何かあれば声掛けますから。
「何時でも応答できる訳ではありませんが、暇があれば対応しますよ。また温泉も入りたいですから」
はい。それでは、おやすみなさい
「おやすみなさい」
神様の姿は…無くなったな。それにしても、勇者召喚…いや言い方違うな……。いや、とりあえず勇者召喚(仮)だ。
それのせいでこの世界のリソースが枯渇。滅びに向かい始めてると…
巻き添えを喰らう種族の為の土地として私が転生…
うーん?思ってたのと違うぞ?まぁ…何も無いよりはいいかな。
「そう言えば…リソースが何か言ってませんでした。まぁ、いいですかね。亜人達であれば、あの土地の価値はすぐにわかるでしょう。逆に人間にはあの土地の価値が分からない。リソース管理装置があって漸く魔力を感じれるくらいですから」
「おや?召喚した国同士での戦争ですか。滑稽ですね。そうだ、亜人国に被害が行く前に神託を行わないと」
「あの森と海にリソースを奪われ、死んだ土地と化していたあの場所。今の状態を見て、彼等はどんな反応をするでしょう?そうだ、彼に人化のスキルをあげましょう。素体となるゴーレムと土地の領域内限定ではありますが…」
あれ?人化なんてスキルあったっけ?また神様からのプレゼントかな?まぁ使う機会なんてないだろうけど!ははははは
あれ?なんか海からリソースが流れて来てる。なんでだ?うーーーーん?こっちは弄ってないから、向こうからってことか?なんでいきなり?
まぁ、領域増えたからいいかな?
後日修正の可能性あります。