勇者の最期は、それでも幸せだ
昔々、神と神の争いがあった。
全てが自然の成り行きであるべき神と全てを思うがままであるべき神の永き時に渡る戦いに一度は決着がついた。
決着のついた神は人を作り、見守り続けた神を主神として祀り、主神の敵を悪神として神の戦いを語り伝えていった。
それから数千年後、再び悪神が蘇った。
主神は悪神の戦いと人を作るのに力を使ってしまったせいで悪神に対抗する力が無かった。
そこで主神は悪神に対抗する為に人に神の力を授けた。
神の力を授かった人は悪神と戦い、勝つ事は出来なかったが封印する事に成功した。
だが、神の力は人には過ぎた力だった。
人は人として死ねなくなってしまったのだ。
同じ時を生きる事が出来なくなった神に力をもらった人はいつの間にか人の世から消えたのだった。
それから一度もその人を見たと言う者はいなかったと言う。