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シリーズ『徒然草的な何か』

小泉劇場とは何だったのか?

作者: 鶴鴇屋徳明

――何の事はない、デマゴーグの一例。

 つい先日、私が気に入っている『なろう』小説のうちの1つ、

『現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変』の書籍化版が発売された。

 非常に喜ばしく思う。

(もちろん、私も書籍化版を買った)


 この小説自体については以前レビューを書いたので、今回は小説の内容そのものにはあまり触れない。


 今回の内容は、表題通り、『小泉劇場』についてだ。


 冒頭で挙げた小説(※1)では、主人公である公爵令嬢・桂華院(けいかいん) 瑠奈(るな)と対立する登場人物として、『恋住 総一朗』(※2)なる人物が現れる。

 言うまでも無く、我々の世界の実在人物・小泉 純一郎元首相がモデルである。


(※1:この小説の略称、何が良いだろう? 『現代悪役令嬢』? でもこれだと、今後出てくるかも知れないなろう作品を含め、似た設定の作品と紛らわしいかも。

 主人公の名前を入れて『令嬢瑠奈』シリーズ、とかどうだろう? よし、私が自分の文章で使う分に限り、暫定的にそうしよう)

(※2:原作Web版では『恋住 総一朗』、書籍化版では『恋住 総一郎』。誤植か意図的なものか、現時点では不明)


 小泉氏に対する評価は現在でも割れており、毀誉褒貶(きよほうへん)が激しい人物である。

 そのせいであろう、彼をモデルとした創作上の登場人物でも、『善人』として描かれる場合と『悪人』として描かれる場合の落差が激しい。

 前者の例が『令嬢瑠奈』や『アクメツ』、後者の例が『S -最後の警官-』と言えるだろう。

(後者の例での『警察庁長官官房審議官・天城 光』が邪悪な笑顔を見せる場面と言ったら、もう……)


 さて、「小泉 純一郎」と言えば『小泉劇場』。

 『小泉劇場』という用語自体、元々はマスコミの造語であるが、小泉劇場とは何だったのだろうか?


 私が思うに、それは「外圧あるいは世間の不満を誘導して、任意の標的に収束し、ぶつけて攻撃する事によって生じた、歴史上の出来事」である。

――何の事は無い、古代ギリシャの時代から時折見られた『デマゴーグ』(※3)の一例だ。


(※3:『デマゴーグ』(demagogue)とは、煽動的民衆指導者の事。デマゴーグによって引き起こされた政治上の騒動が『デマゴギー』(demagogy)あるいは『デマゴーグリー』(demagoguery)。

 だから、もう少し正確に言えば、『小泉劇場』は『デマゴギー』の一例、と言う事になる。

 なお、『デマゴーグ』は日本語の『デマ』の語源でもあるが、“demagogue” , “demagogy” , “demagoguery”といった単語には『煽動』という意味が含まれていても、『虚言』という意味は元来含まれていない事に留意されたし)


 デマゴギーが功を奏する場合も有る。例えば、小泉政権下で行われた外交により北朝鮮が日本人拉致の事実を認め、「北朝鮮による日本人拉致なんて無い!」と党を挙げて言い張っていた社民党に多くの日本国民の反感が集中し、社民党が大幅に議席を減らしたのは良い例と言えるだろう。


 だが、一般論として、デマゴギーは危険な劇薬でもある。

 それは、デマゴーグの典型とされる古代ギリシャのクレオン、あるいは20世紀ナチスドイツのヒトラーの例を見れば明らかだ。


 デマゴーグとされる人物の、指導者としての資質あるいは倫理観が実際に優れている場合は、上手く行く場合もある。

 しかし多くの場合、デマゴギーは容易に衆愚政治につながり、国の破滅すらも招きかねない。


 小泉氏は外圧や世間の不満を上手く利用する事で長期政権を築いた。その政治手腕は確かに一流と言えるだろう。

 小泉政権を上回る長期政権となった安倍政権の場合、「野党があまりにもダメ過ぎた」事が長期政権となった主要因の1つであるので、小泉政権と安倍政権を比べると、長期政権化した理由は明らかに違う。


 しかし、小泉氏が利用したもの、特に『外圧』の源や、その外圧の源がどれだけ得をしたかという事、それは有権者一人一人がよく調べ、よく考え、よく覚えておくべき事だと思う。

(その意味では、黒船来航という『外圧』がきっかけとなった明治維新についても、同じ様に吟味する必要が有る)

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