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第十一話 サンマリアからの出発

 「うー。不覚の三位なのだ」

 「まあまあ、トロフィーを頂けただけでもすごいですよ!」

 「そうです、元気出してください」

 そうティローラに言うのはユリシーとアイであった。

 四人は山菜亭へ来ていた。

 ジークが言う。

 「それで、実際問題、これからどうするんでえ?」

 「ああ、それが話しておきたいことがあってだな。実は最近、ある老人、仙人の夢を見るんだ。名前をアローマという。果ての山脈に居ると言っていた。俺に話すことと渡すものがあるらしいんだ」

 サンガがそう言うと、ジークは驚いた。

 「ゲッ。アローマって言ったら果ての山脈に住むっていう仙人じゃねえか。本当に会いに行くのけえ?」

 「ああ。十二時の魔女の森まで石片を回収に行ってから、その後に行こうかと思ってる」

 「そうかい。あんたがそう決めたんなら、俺に異存はないぜ」

 「ありがとう、ジーク。――じゃあ、次の目的地はサンクルールだな。また魔導列車での移動になるかな」

 「あぁ。時計回りにしろ、反時計回りにしろ、同じ時間かかるだろうよ。ならいっそ、まだ行ったことのない帝国巡りでもしようや」

 「そうだな。そうしよう。――みんなもそれでいいよな?」

 女子三人に聞く。

 「オッケーなのだ」

 「了解です」

 「わかりました」

 ティローラとユリシーとアイが答えた。

 こうして一行のサンクルール行きは帝国巡りの時計回りと決まったのだった。


 次の日の朝一番の列車で帝国へ行くことになった。

 「じゃあ、気を付けて行くんだよ、あんたたち。みんな、アイのことは頼んだよ」

 山菜亭のおばあちゃんはそう言った。

 「ぐすっ。おばあちゃん、行ってくるね。世界を見てきます」

 「ばあちゃん、飯、美味かったぜ。また食いにくるぜ」

 ジークはそう言って笑った。

 他のみんなもおばあちゃんに挨拶をした。

 「では行ってきます」

 サンガはそう言って手を振った。

 おばあちゃんも手を振った。列車が出発した後も名残惜しそうに。


 「――ところで、あたしの分まで乗車券代を出してもらって大丈夫だったんですか?」

 「あぁ、問題ないさ。武闘大会で三位までの者には賞金が出たからね」

 アイにサンガが答えた。

 そうして四人は列車の中でウノをしたり雑談をして過ごした。


 次の日の昼に帝国に着くのであった。五人は列車を降りて軽く帝国を観光することにした。


 観光を楽しむ五人。

 ドカッ。

 「――ちっ、どこ見て歩いてやがる。俺は急いでんだ。気を付けな」

 「あぁ、すみません」

 そう謝るサンガであった。相手は金髪の鋭い目をした若い子だった。


 一行は帝国の観光を済ませて、今度は夜の列車で帝国を出発した。サンクルールを目指して。

 「いやあ、楽しかったですね」

 口を揃えて言うユリシーとアイ。

 「うむ、楽しかったのだ。特に帝国は飛行艇がビュンビュンしていて見ていて楽しかったのだ。飛行艇が飛んでいるのは帝国くらいじゃないのかと思うのだ」

 「へえ。飛行艇ってそんなに珍しいものなのか。どのくらいの距離飛べるんだ?」

 サンガが尋ねた。

 「飛行艇の飛行距離はパイロットの魔力量に依存するのだ。ものすごい魔力の持ち主なら、大陸を超えることも夢ではないのだ」

 ティローラは目を輝かせた。まだ見ぬ大地に思いを馳せているのだろう。

 そして夜は更けて行く。みんなは眠りについた。

 そして列車はサンブレモールに着き、また出発しては、ついにサンクルールに着くのであった。


 夜、サンクルールの街中へ入っていく一行。ジークが言う。

 「みんな、付いてきてくれ。俺がいい料理屋を教えてやるよ」

 そう言われ、着いたところは「三番テーブルへどうぞ」という名前のお店だった。

 (三番テーブルが満席のときは、何番テーブルへどうぞなんだろう?)

 サンガはそう不思議がった。

 ――味のほどは逸品であった。

 これほどの味なら値が張るだろうと思っていたが、お手頃な価格でみんなは驚いた。その秘密は「地産地消」だとジークは語っていた。

 食事の席の話で、アローマの前に、まずは魔女の森へ行くこととなった。


※  ※   ※


 (もしもし、佳代子ちゃん。俺は元気です。最近、武闘大会に出ました。二位でした。褒めてください)

 (あらあら、すごいわねえ源蔵ちゃん。おめでとう。よしよーし)

 (ありがとう。……俺は次は魔女と仙人のところへ行くんだ。なにか楽しいことがあったらまた連絡するね)

 (ええ。待ってるわね。――じゃあ元気でね)

 (うん。じゃあね、佳代子ちゃん)


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