マリア・フローレス・クラフの記録書
「今日はマリア様がいよいよ外へ出られる日ですね」
そういいながら、私の髪をいつものように梳かして、嬉しそうに語ってくれているのは私のお世話をしてくれているフィーネこと、フィーちゃんでした
「そうですねフィーちゃん マリアもとても楽しみです!」
そうです、今日は王女として厳重に鍵がかけられていた籠からようやく出れる日です 外に行った記憶もほとんど無く、それも行動が全て制限されていました
でも、今日は社会勉強として、夢に見ていた街を歩けるようになりました!
「街では何をされるおつもりなんですか?」
「正直に言うと、まだ決まってないんです したいことが多すぎて。 屋台のものを食べたり、王宮にあるものより広い図書館に行ってみたり、街で買い物をしてみたり 頭の中で何回も想像しましが、なかなか決まらくて」
「護衛は付くそうなのですが、遠くから見ているだけなようなので、やってみたいこと全てできるかもしれませんね」
全てですかぁ‥‥この日を待ちわびていたマリアにとっては、それは現実ではないように感じるほど嬉しいです!神様に感謝の言葉を伝えたいです!「ありがとうございます神様!」
「何をされているのですか‥‥ところでマリア様、ウィッグの色は何にされますか」
「ウイッグですか?」
「はい、マリア様のライトブラウンに薄桃色がかかった髪とローズピンクの瞳は王族特有ですので、隠さなければいけませんがどうされますか?」
「えぇと、ではこれにします マリアの色と少し離れたこの濃い茶色の」
「かしこまりました!ではこちらをつけさせていただきますね あと、魔法で瞳の色も変えさせていただきます」
そうしてわたしはこげ茶の髪と翡翠の瞳をもったどこにでもいそうな少女の姿に変身しました
「わぁ!マリアがマリアではないみたいですねフィーちゃん!」
「そうですね、それなら誰にも見つかることはないと思いますよ」
「それとマリア様、口調を変えてください。マリア様のような丁寧な喋り方の方はいませんので、浮いてしまいます」
「わかりまし‥‥わかったわ!これでいい?」
「大丈夫ですよ」
「では、準備もできたことだし行きましょう!」