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0話「記憶」
それはまだ幼い頃の記憶。
私が愛して止まなかった、影一つない時間。
私は他人に愛され、また、他人を愛した。
気の向くまま世界を闊歩し、希望を連ねまた明日を迎える。
いつか終わりが来るなんて考えずに私は何の疑問も持たず、ただ私は生きていた。
辟易、そして退屈。それが俺の胸中に鎮座し続ける感情だった。
何かに熱中して一時それを忘れてしまっても、またふつふつと浮かび上がって来るのである。
同じ人間と同じ行動をして、同じ終結に至る。
それがこの先の自分であると世界は俺に強要する。俺は別段逆らうこともなく、ただ無益に人生を浪費していた。
環境を変えて、身なりを変えても代わり映えのしない人生であることに変わりはない。
何かを成そうと色々と手を出してみるも、決して深くのめり込まない。
自分のどこかで諦念しているのだろうか。
俺は誤魔化すように惰眠を貪り、思考の尾ひれを撒いた。