第五章 第九話 「私はレインだ!」
氷裏との戦闘からしばらく、僕達は何度も地面を転がされていた
まるでおもちゃで遊ばれてるみたいだ
今、僕は氷裏に背中を踏みつけれていて起き上がれずにいる
氷裏の右手には首を締められて宙に浮いてる音海さん
佐野さんや他の皆も同様だった
氷裏の使う重力の魔法で地面に押さえつけられてる
「・・・白木雪菜とエメロードが離脱したからね、あいつらが来る前に君たちを殺せば友人の素敵な顔が見れそうだ」
そう言うと氷裏は、手に持ってる剣で音海さんを刺すため剣を後ろへ引く
「切り札なら・・・・ある」
僕は一か八か、地面に対し軟化を発動させ地面を不安定にさせる
僕は地面を横に転がり離脱
音海さんはそれに合わせ、地面に向かいクリアーハート(円盤の魔力)を撃つ
音海さんは氷裏の捕まれた右手を押しのけ頭上に飛ぶ
それに合わせてさらに斬君の裁断とぐるみちゃんの裁縫が発動
手裏剣で氷裏の足部の皮膚を薄く切ったとこに、裁縫針が飛び氷裏を軟化で柔らかく不安定になった地面へと縫いつける
そこへ、頭上へ飛んだ音海さんが手をかざし氷裏の額へと手を当てた
そして、音海さんは放出を発動させた
「な・・・に?」
すると、とてつもない勢いで氷裏の体から黒色の魔力が放出されていく
これが「一つ目の切り札」
「氷裏の魔力を放出」させたのだ、全て空っぽになるまで
音海さんの果実は人の持つ魔力を一度で全て放つ能力だから
使えば、膨大な魔力の放出に体が耐えきれず破壊される
それは本人だけにも関わらず、放出させる対象が相手の人間でも同じことだ
簡単に人が殺せる能力故、音海さんは今まで人に使うことは絶対なかった
僕と出会う前、果実のコントロールが上手くいかなくて友人に事故で放ったこと以外
それ以来、使わないと決めていたが
相手が氷裏なら多少のためらいはあっても音海さんは使うということを心に決めて
今放っていた
「ぐっ・・・・があああああああ!」
放出された魔力に体がバラバラになるほどのダメージを受けてる氷裏は
苦悶の表情と叫び声を上げながら呻きのたうち回る
やがて、体のあちこちから吹き出す魔力光でその姿が光で見えなくなる
僕は、落ちてきた音海さんを受けてめて、重力魔法から開放された全皆は距離をとる
普通の人間だったら、これで体がバラバラになって死んでる
光がやがて消え行く
だが・・・
氷裏はそこに平然とした表情で立っていた
「なーんちゃって」
「これで君たちの切り札は終わったかな」
まるで何事もなかったかのように
小馬鹿にしてるような薄ら笑いを浮かべながら、裁縫で地面に縫い付けらた糸をブチブチと皮膚ごと血を吹き出し引きちぎり体を再生させながら
そう無感情に言い放った
「まじか・・・・人間でいいんだよなあいつ?」
万事休す
打つ手がない
その時だった
「みんな、おまたせ」
「姫ちゃん達、グレーテルさん達も」
姫ちゃん達やグレーテルさん達が駆けつけてくれてきた
頼れる仲間達が来てくれたことで僕達の士気は戻る
いやそれ以上だ、全員そろえば負けるがしない
恐らく、白木雪菜やエメロード・メロディと
「今更来たのかい」
「まぁいいや、暇つぶしも飽きたし」
そう言うと、氷裏の背後に紫色のぐにゃぐにゃとした空間の歪みのようなものが作られていった
「結締姫乃、君にぴったりな相手を見つけたよ」
氷裏がそういった直後、その空間から数人の男女が現れる
その誰もが、少しの違いはあれど無表情で同じような顔をしていた
その人形のような少年少女達が一斉に僕達に襲い掛かってきた
僕らは応戦し、乱戦状態になる
やっぱり・・・
氷裏の作り出した人造人間だ
この世界のエンジェルグループだけじゃく、他の世界にもそのような少年少女を量産する施設が存在しているということなのだろう
さらに、その中にあのオリガヌもいた、ロザリー・コクトォースやキリヤもだ
表情がないから恐らくコピーなんだろうけど何とかクルス町長とかゴールドバーグとか白金騎士団とかいる
「やっほぉ久しぶり」
「だから、同窓会かっての」
その中に紛れていた、明らかに人形のような少年少女と違う風貌をしていた男女四人が
姫乃に襲い掛かる
一人は銃を持った男でもう一人は剣をもている
銃を持った男が発砲、続けて剣を持った男が接近
「あなたは達は・・・!?」
姫乃は二人の早すぎる攻撃に対応しきれず、銃弾にアクアリウムを破壊され
衝撃で吹き飛ばされる
姫乃は尻もちをつき、地面に倒れる
その時ようやく理解できた、彼ら二人は
「・・・永野未来・・・アスウェルさん」
「アイナさん・・・デティシアさん」
姫乃がマギクスで幾度なく関わってきて同じ道を歩む目標がありながら道が違えた人達
くせ毛の少年・永野未来とロングコートの銃を持つ成年アスウェルだった
短く説明すると姫ちゃん達から聞いた分には彼ら二人は同一人物だけど違う人物といってもいいらしい
彼らは、操られてる?自分の意思で?コピーか?
アイナ・ティレネットとデティシアはすぐにただのコピーだと分かった、表情がない
姫乃のとこへ永野未来が来て姫乃に剣を向ける
アイナとデティシアのコピーも姫乃背後に現れ魔法陣を出現させ魔法を放つ前動作をする
横に飛んで避けれる?
ダメだ、遠くからアスウェルさんが狙ってる
一歩も動けない
一歩でも動いたらその先に待ってるのは死だ
「結締姫乃・・・君を消して未来は変わる・・・?」
「アスウェル!・・・やめて!」
「俺は・・・お前を守る、それでいいんだ」
未利が遠くでアスウェルさんに対して叫ぶ
しかし、アスウェルさんは引き金を引き
永野未来さんは私に向かい剣を振り下ろす
その時、離れた銃弾と振り下ろされた剣は・・・
「音程を刻め、ペンデュラム!」
突如現れた、二人によって弾かれた
そう、二人は私が異世界転移したことで運命の輪が回ってしまい戦ったそして救えたかもしれない同い年の子
「十字君・・・神柄さん」
十字音也と神柄真白だった
二人は私を守るように前に立ち、近くいた永野未来さんとアスウェルさんを魔法で退ける
「どうしてここに・・・」
二人は、行方不明で人目のつかないとこで静かに暮らしてるんじゃ
私の問いに十字君はこちらを横目で見て
「借りを返しに来た」
「結締姫乃・・・俺はお前たちの友達として」
そうぎこちない笑顔で言った
笑顔が苦手なのか、そぐにぷいと前を向いてしまった
神柄さんはまだ喉は完全には治ってないらしく、ぺこりと頭を下げた
「ちっ・・・誰かと思えば失敗作君じゃないかいまさら邪魔するなよ復讐?・・・戻ってくるかい?まさか君達とはね・・・ツバキとルミナリアが姫乃助ける予定だったはずなのにな」
二人を見た、舌打ちした後氷裏は無感情に吐き捨てるように言った
「復讐?・・氷裏・・・俺は借りを返しにきただけだ、両方に・・・な」
「ふぅんまいいや」
氷裏は興味ないように、少年少女達に攻撃の合図を出す
国会議事堂衆議院議場は再び乱戦の場となる・・・はずだった
突如、全体が黒く重たい霧に包まれる
「なんだこの霧?」
急に空気が重く冷たくなったかのように、体に虫が這ってるかのように
体中をぞわぞわとした感覚に襲われる
この霧が晴れたら何かが現れる
そう思わせるような感覚だった
霧が晴れたその先にいたのは
「ベルさん達!?どうしてここに」
「狛犬君達か?しかも・・・・・やばそうな奴らと戦ってるな」
ベルさん達だった
向こうの方も、いきなり僕達が現れたかのような反応がうかがい知れる
でもいきなりどうして
ベルさん達は、朱色の世界で戦ってたはずじゃ・・・
「それに・・・メロンちゃん?じゃない」
「ああ、あの子はメロンちゃんの魔王の人格だ」
目の前にメロンちゃんがいた
だけど、その魔王の人格のメロンちゃんは
冷たく敵意に満ちた目でこちらを見ている
メロンちゃんがこんなになってるということは事態は凄く深刻なことになっているらしい
紫姫さんの様子もおかしいし・・・
それに・・・
ここにベルさんがいるということは
「クソ破壊神、てめぇ・・・」
「やぁ、紅蓮じゃぁないかぁ♪」
橘紅蓮もいた
橘紅蓮はオリガヌに対して敵意を向ける
「・・・魔王か」
「久しいな、氷裏」
当然、ここに魔王も僕達の目の前に現れていた
ごつい鎧を着た紫目の黒い肌の銀髪の壮年の大男、という容姿しか資料でみたことしか知らないけど
合致してる、それに・・・
あの黒いオーラは以前メロンちゃんが内に秘めた魔王の人格を現した時と同じだ
あいつは間違いなくテラーという化け物達の親玉、魔王ブラド・エルドと呼ばれる存在だ
だけど、様子がおかしい
その体はボロボロで、息は荒く手足は欠損して宙に浮いてる
そして
魔王のしてる行為に僕達は驚いた
「何しにここへ来たんだ?君の役目は勇者一行を朱色の世界で倒すことだろ」
魔王が現れた場所は、氷裏の後ろ
魔王は手で氷裏の腹を後ろから貫いていた
仲間割れ・・・?このタイミングで?
「無論倒すさ、勇者どもを確実に倒すための万が一の保険」
「あーあ、してやられれた」
その瞬間、氷裏の体が駒かい四角いブロック状の物質になり
飛散した
かと思えば、また
集まり、今度は絵具みたいないぐちゃぐちゃな色が混ざった空間のひずみみたいになったりし
「その体、貰った」
最終的に、氷裏の絵具みたいな物質は魔王の手の平に吸収されていった
そして、ついでかのように氷裏の人形の少年少女達も引き込まれ吸収されていく
「なにが起ってる・・・?」
「簡単なことよ、我が奴の力を食いたのだ」
「まじか・・・ここに来てパワーアップって」
いきなりで頭が混乱してたけどようやく追いつてきた
ベルさん達は、朱色の世界で魔王を倒せそうだったけど土壇場でここに転移してきて
氷裏を利用して二人が合体してパワーアップしたってことか
単純にこそ説明できる、倒すのはさらに難しくなったな
それにこうもいとも簡単に魔王があの氷裏を吸収できたのは・・・
直前に放出で氷裏の魔力をゼロにしたのも影響してしまったのか
なんか全部手のひらの上だな
そして、氷裏が吸収されたことで
「う・・・ここは?」
「結締姫乃・・・何故ここにここは?」
今まで姫ちゃんに武器を向けていた永野未来とアスウェルの様子が変わった
困惑しているようだ
「面白そうだから、私達はそのまま紅蓮達の敵ねぇ」
オリガヌ達、魔女たちはそのまま敵継続
「孫娘の体も食こうか」
そして氷裏をい吸収した魔王が次に標的したのは、メロンちゃん
の中の魔王の人格の魔力が目当てか・・・!
「みんなメロンを頼む!」
僕らは、メロンちゃんを魔王へと近づけさせまいと魔王へ対し攻撃する
魔王の力は強大で、腕の一振りで部屋が黒い炎で炎上し衝撃波で立ち向かう僕らは吹き飛ばされる
「ベルさんはその間に、メロンちゃんを頼みます」
「ああ、分かった」
俺とウルルと灰姫は、魔王の娘ヴラド・メロンと紫姫と対峙する
まずは動きを止めないとだが、どうする?
彼女らを下手に攻撃して傷つけたくない
そう考えてる内に、魔王の人格のメロンは魔法で攻撃してくる
ギリギリで魔法防御で受け止めるが防戦一方だ
ウルルが隙を狙って、横から拘束をしようと手を掴もうとするが
するりと抜けてしまう
その時、紫姫が魔力剣を抜いて走り
俺を切りつけてきた
「ベル!」
魔王の人格メロンに集中しすぎてた
横から紫姫の魔力剣の一撃脇腹に食らってしまう
続けざまに切られる、防御魔法が耐え切れず割れ崩れる
その隙、魔王の人格のメロンがすぐ近くにいた
彼女は魔法を放つ、かなりの大きさの
黒い魔力の塊、食らえば体が存在ごと消滅するレベルの上級魔法か
一か八か、体を無理にでも捻って飛ぶか・・・?
「そのままベル」
灰姫は冷静に、動くなとこちらに支持を出す
灰姫にはなにか考えがあるのか?
思えば灰姫とは異世界で一番最初に合った人間だ
信じるに決まってる
「今よ、ベル!ウルル!」
「何・・・放せ!」
そう言うと、紫姫は魔法発動させるはずだった魔王の人格のメロンを羽交い締めにした
魔王の人格のメロンは振りほどこうと暴れるが
羽交い締めする時、紫姫が腕に動きを麻痺させる毒を塗っていたので思うように動かせずいる
「やっぱり、紫姫はフリだったか」
灰姫が呆れたように言う
そうか・・・やっぱり紫姫は操られてなんかいなかったんだ
フリをして、ずっとこの機会を伺ってたんだ
どうやら灰姫は最初から見抜いていたようだ
さすがずっと一緒にいた姉妹だ
「当り前よ、私がこの程度の洗脳・・・なんともないっての」
「紫姫!ありがとう・・・さすが俺の最高の相棒」
「ったくそういう台詞は娘の前で言わないでよね」
「じゃあ僕が愛人でいいのかにゃ~」
「ウルルも茶化さない」
ウルルの茶化しに紫姫は呆れ顔で言う
俺はそんなことに苦笑しつつ
魔王の人格のメロンの前に立つ、隣にウルル
そして、二人で手を伸ばし魔王の人格のメロンの頬を触る
「今まで、君を見つけてあげられなくてごめんな」
「うるさい!今まで誰も私のことなんか見てこなかったくせに気付いてくれなかったくせに!」
「でもこれからは君のことをいっぱい愛せる、君を見て肌に触れることができる」
「触るな・・・!見られると触れると・・・・心の奥が締めつけられて苦しい」
感情を露にする魔王の人格のメロン
対する俺たちは、微笑みかかけながら
「そういえばまだ名前を付けてなったな・・」
「・・・なま・・・え・・・?」
「だから・・・君の名前は・・・」
その時だった
後ろから、魔王が瞬間移動したかのように現れる
きっと、やろうと思えばすぐ出来たのだろう
魔王は、焦っている?
孫娘を懐柔されそうで焦っているのか
あの魔王が・・・
「させぬ!」
魔王は羽交い締めにしていた紫姫を掴み投げ飛ばし、魔王の人格のメロンを
その手に引き寄せる
「魔王っ!・・・・お前は!」
魔王の人格のメロンは、魔王ヴラド・エルドの腹の中へとずぶずぶと入っていく
その時、閉ざされてた眠っていた表のメロンちゃんが目を覚ます
鏡の水たまりが広がる世界、メロンと魔王の人格のメロンだけだが会話できる場所
その雲はまだ曇っていた
「これがかぞく・・・だよ、暖かいよ・・・わたし」
「おむねが苦しいのは、三人といるとここがぽかぽかとあたたくなるからだよ」
「確かにあたたかいよ「わたし」・・・でもそれは「あんた」に向けられてるものわたしじゃない」
「それは違うよ「わたし」・・・このぽかぽかはわたしとあなたに・・・」
「二人で、わたしと妹のあなたに当たってるぽかぽか」
「今まであなたを見つけてあげられなくてごめんね、寂しかったんだね」
「だから・・・あなたは・・・私の妹、あなたはわたしじゃない、でも」
「ベルパパとウルルママと紫姫の一人のあなた・・・」
「すぐ付けてくれるよ・・・・・おなまえ」
「名前・・・?」
「うん私の大切な・・・おにいちゃんとおねえちゃん」
その時、「外」から二人の声が聞こえた
魔王に立ち向かいながら、ボロボロに転がりながら
必死にこちらに叫んでる二人の男女
あの時、雨に濡れてひとりだったわたし最初に名前を付けてくれるた人
タローとオトミ
「君の名前はヴラド・メロンなんかじゃない!」
「あなたの名前は!」
二人はおじいちゃんのつけた名前をやぶりすてた
タローとオトミは私の妹に
「「レインだ」だよ!」
レインと名前を付けた
そういえば・・・最初の時降ってたなぁ雨
まるで付け忘れたなぁってかんじだ
ふたりらしい・・・ふふ
その時、一つだった存在は二つの存在になった
「わたしの名前、レイン」
「・・・・・・」
雲が晴れる、青空に変わる
鈍く反射していた鏡の水たまりはキラキラとまた反射する
だけど・・・
景色が変わるいや変えられてしまった、魔王の心の中にある空間、精神空間
魔王が二人の心に侵食してる証
いくつもの沼のようなどす黒い黒い水たまりが地面にある、コンクリートや木々の瓦礫の山そんあ風景の空間
「何を言っておる、貴様はヴラド・メロンだ・・・我に変わる新しき魔王となる魔族だ!」
「我と共に来い、貴様はしょせん独りだ!だから悪になれる!」
魔王が手を伸ばす
しかし、レインはその手を振り払う
「違う!私はレイン!」
「私はレインだ!」
そうレインは強く言う
「ほぉざぁけ!」
魔王は激昂し、その存在を消そうとてに暗黒の塊を作り出す
「おじいちゃんもうやめて!」
そんな魔王の前に、メロンが現れる
レインの前に手を広げ涙ぐんでいた
「おじいちゃん・・・もうやめよ」
魔王は、手を降ろし
目を細め問いを返す
「何?おじいちゃんだと・・・」
「我は孫である貴様を苦しめ、貴様の母を苦しめてきた悪だ・・・」
「何人も殺して、貶めてきた我を家族などと!」
「それを今更、我をおじいちゃんなどと呼ぶのか!」
魔王は吐き捨てるように言う
自分は悪だと
だけど
メロンは胸に手を当てて言う
「うんだって」
「たとえ悪い人でも・・・わたしのたった一人のおじいちゃんだもん」
「悪い人だってわがままだって家族はたいせつだもん」
「レインちゃんをもどそうとしてるおじいちゃんだって、本当は家族が欲しかったんだよ・・・」
そう笑顔で言う
そうしてレインとメロンは魔王へと手のひらを差し伸べる
「我は・・・・・・・ぬぅ」
差し伸べられた手に困惑する魔王
何故なら魔王は産まれてから、家族というものを知らない
魔王の様子がおかしい
さっきから攻撃してこず、頭を抱え呻いている
メロンとレインの吸収も体の半身が埋まった状態で止まっている
「メロンちゃんとレインちゃんが・・・魔王と戦ってる」
やっぱりそういうことか
内容は分からないが、二人が魔王に対して戦ってるんだ
言葉で
メロンのことだから、きっと魔王のことおじいちゃんとかいってるんだろうな
「ベル今ならいける!完全に吸収される前にに切り離せ!奴は今防御魔法が使えないし氷裏とのシンクロが上手くいかず弱まってる」
灰姫がこのチャンスを逃さんと俺に訴える
どうやら、心が乱れたことで氷裏が裏で何かしてる?
それで弱体してると
「分かった、いくぞ!」
もちろん俺は、それに乗る
「皆、魔力をベルに!」
「全部もってけ」「行けコールベルダット」「私の魔力よベル」「僕のもあげるよベル」「うー」
ウルルの言葉で、俺に皆から魔力が集まってくる
ロキやどら子ちゃんヘイやウルルや紫姫から魔力を全部貰った
「ありがとう、これが皆の力、感じる」
温かくて力強い
ここにいる全員の魔力、今までにない力を感じる
「これが・・・俺の最強の・・・」
これなら魔王を倒せる!
俺は集められた魔力を剣に乗せて放つ―
「夢幻斬・ファミリア!!!」
俺の無限の魔力と仲間達の膨大な魔力を合わせた斬撃
皆の思いを乗せた一撃が魔王を切る
「ぐぅうううううああああああああ!」
強大な魔力による斬撃を受けた魔王は胸当たりで斜めに切り裂かれる
切り裂かれただけでなく、魔力による力の奔流は魔王の体の存在ごと消滅させていった
そして、魔王の腹に吸収されかけていたメロンとレインはそこに立っていた
右目にメロンの緑の目、左目にレインの赤い目を宿しながら
「メロン、レインお帰り」
「うんただいまパパママ」「ああ・・・これってただいま・・・でいいのか?」
二人の声が副音声みたいに同時に聞こえる
偶然分離できた紫姫と灰姫と違った結末
二人は共存することを決めた、姉妹として
「よもや・・・・こうなるとは我も老いたな・・・・」
しかしまだ魔王は生きていた
地面には肉体を失い首だけになった魔王がいた
でもこれなら倒せると思ったその時だった
「ぐぁああああ!貴様ああああ!」
「なんだ家族をなんてものに憧れた分弱くなったね魔王、交代しようか」
首だけになった魔王の顔面がぐにゃぐにゃと歪み氷裏の顔に変わったのだった
黒い肌や、長い銀髪残し顔だけ氷裏がに変わったようだった
さらに、コピーだったアイナやデティシア、クルス町長らを消し
魔王の体を再生させ
「一難去ってまた一難、今度は氷裏か・・・」
「でもあとは氷裏だけだ」
って言っても、オリガヌとか魔女達とか残ってるけど
「魔王の力とその他大勢を取り込んだ僕に勝てるかい?」
僕たちはまた武器を構える
ベルさん達大人組はさっきの夢幻斬で全て魔力を出し切ってしまった
でもまだ、三つ目の切り札がある
「まだ僕達には最後の切り札が・・・ある!」
「へぇ面白いね」
ベルさん達は魔力を全て失いつつも、オリガヌや魔女たちと戦う
僕達も、氷裏へ最後の総攻撃へ向かう