第五章 第五話 「人は選んだのか」
4月29日
とある一般市民の家の居間そこには孫から曾祖父の三世代一組の家族が団欒を過ごしていた、家族の一人に暇を持て余せた大学生の男がテレビで流れる政治家の街頭演説を見ながら携帯電話でSNSをみていた
「どうせ選挙に行ったって変わんねーよ」
「毎日同じ内容じゃなぁ・・・昔はテレビの情報が一番新鮮だったんだがなぁ」
そう無気力な感じで言いながらダラダラ携帯を操作し続ける
男の目に、友人のSNSから流れ紹介してきたラジオアプリに興味を向ける
「お、ラジオを聞けるアプリなんてあるのか・・・」
「昔は良く聞いたわねぇ・・・」
彼はそのラジオアプリに興味を持ちインストールした
「今から読み上げるのは・・・・」
そこにはある少女の声が届いていた
4月30日
国会議事堂付近
既に最終防衛ラインでの戦闘は開始されている
遠くから見ても爆発音や火薬の匂いがこちらまで漂ってきそうなくらいの戦闘だとうかがい知れる
正直、歯がゆい気持ちはある
でも、この任務だって大事なことなんだ、自分達に出来ることを今は
空港が占領されて通常のジェット機は滑走路がなくて使えないのでVTOL機、垂直離陸輸送機で送り届けることになる
だが、何やらおかしな雰囲気だ
周りの政府職員があわただしく動いてた
大変なことが起っていた
いないのだ首相の大津がどこにも
「どういうこと?」
「いないって・・・」
こんな時に行方不明だなんて・・・
僕達も何か手伝えることはないかとあたりを捜索する
「みんな、飛行機の中にたぶれっととかいうものがあったなの・・・」
しばらく捜索してるとなあちゃんが輸送機の座席に首相の大津がが使ってたであろうタブレット端末見つかけてきた
「勝手に動画が・・・!」
「ぴぁ・・・なあは何も触ってないななの・・・・」
そのタブレット端末をみんなで見ようと集まった瞬間、いきなり動画の再生が始まった
もちろん、なあちゃんは(おそらく)何も触っていないだろう
もしかしてあらかじめ僕らが来た時に動画が再生する用仕掛けられた物なのか・・・?
その動画には首相の大津が映っていた
しかしそのだんだん容姿が変形していき、違う人物になる
間違いない・・・
これは・・・氷裏
動画の氷裏は言葉話す、僕達に語りかけるように
「やあ、遅かったじゃないか僕の友人達そうさ日本の首相の大津は僕が変身していたものさ今頃気付いたのかい?おバカさん達だね、でもまぁ仕方ないかだってこの世界の人達は愚かだからね僕の正体を見破れないのも当然の結末さ、ところで話は変わるけど何故このタイミングで首相の大津が失踪して何故この時にこんな動画を送りつけたのか
分かるかい?それは今ここで首相がいなくなれば混乱するだろ?面白いじゃないか人の右往左往して必死なっちゃてさ笑っちゃうよそれに首相が逃げたとなれば人はさらに絶望して失望して投票率はさがるだろ?・・・ま、選挙がどちらに転ぼうがもう終わりだろうけど」
「ああ、大事な事を伝え忘れてたよこの世界は「終わりもせず始まりもしない世界」だってね、勇者ベルダットが魔王に勝っても日本が失われればまた新たな戦いが生まれるだろうしね・・・まあこの世界の後の事は任せたよ」
「頑張ってくれたまえよ結締姫乃・・・じゃぁごめんね」
その言葉を最後に、動画は途切れた
動画ファイルは自動的に削除される仕組みになっていてタブレット端末にはもう残っていない、まぁカメラで録画してあるから問題ないとしても
あの政見放送から薄々首相が違う人物と入れ替わってるんじゃないかと思ってたけど
本当に、氷裏だとは
しかも、それが今までずっと日本の首相として国や政府の中心として居座ってたなんてね
にしても相変わらず、人の神経を逆撫でするのが上手い奴だな・・・・くそむかつく
横目で姫ちゃんの方を見てみる
「・・・」
「くそくらえです」
「今は、私達にできることを優先してしましょう」
なんだ、それほど気にしてなさそうだ
むしろまたかという感じで呆れさせ感じさせていた
ていうか、そういう言葉も使うんだ姫ちゃん意外な一面
「それなら私に任せてもらおう」
これから、どうするか考えた時、後ろから足音が聞こえた
大人の男が後ろにいて、タブレット端末には文字がそう書かれていた
「陽神門議員さん!?」
その声の主は、陽神門ミコの父親である陽神門御門さんだった
まだ声は出せないようでタブレット端末普通に歩けてることから、足の怪我は完全に治っているようだった
それでもすぐ病院の外を出るのはいいのかと思うけど
でもなんでここに
「何でここにいるかって、説明は後で」
そういうと、陽神門さんは、政府職員とタブレット端末を介して話を始める
「それは私が簡単に説明します」
するとそこに今まで別行動していたミコちゃんが現れた
「父の政党はたった今衆議院選挙で過半数の得票を得て、大津首相が完全に失踪した情報を聞いて父はたった今首相になりました」
つまり・・・選挙が終わった、陽神門さんの政党が勝った、首相になったってことか
すごい!わかりやすい!簡潔で明快!
さらっととんでもないこと言ってるな・・・
ミコちゃんの様子がちょととおかしかった
額には汗が出てるし、
ミコちゃんの体が少しよろめく
その体をグレーテルが支える
「大丈夫ですかミコちゃん!」
「でも・・・さすがに、苦労もありました・・・私考えたんです皆に声を届ける方法ラジオです」
グレーテルに介抱されてるミコの手にはポケットラジオが握られていた
「ラジオ?」
こういうことらしい
テレビや新聞といった報道機関は現在まで緊急事態宣言下にある政府の規制が敷かれてる
だから、その規制を掻い潜れるインターネットやSNSをこちらも活用させて匿名の文章として草の根レベルで広めていった
もう一つ、政府の目につかないメディアが民間のラジオ番組だ
そして、もう一つの問題である今未成年であるミコちゃんがどうやって言葉を伝えたか
それは父と同じ政党に属してるコーヨデル議員の個人的に放送していたラジオ番組を活用させてもらったらしい
「今から話すのはある少女の旅の話です
女の子は昔政治家のお父さんに連れられ色々な国や地域に連れていってもらいました
そこでは色々な人や考えがって・・・
最後に少女はこう考えました、自由とはなにか?未来とはないか?」
それは一人一人の選択に違いまりません」
選ばなければ未来は自由は遠いものとなってしまします」
「最後に少女はこう綴ってます、皆さんはどうか選ぶことを恐れないで怖がらないで」
「あなたの選択がより良い未来であることを私は願います、神様に」
そうやって、ミコちゃんの思いや旅をラジオ番組に投稿した架空の少女としてコーヨデル議員が読み上げる
そうやって声を届けていた
それが、その一つの行動が人々の胸を打ち
かなりギリギリの所で、若者が投票に行き、お年寄りの考えを変え
投票してもらうことができ今にいたるということらしい
ラジオというものが昔から存在し今なおインターネットラジオが存在しお年寄りにも若にも声を届けれれたことも要因の一つだろう
それに、情報が統制されてる時だからこそ、機材があればだれでもFMラジオを流せること、それにより人々が情報を求めていった結果なのだと思う
さらに、ミコちゃんは今の今日まであの祭りの日以外
自らの能力「念話」で特別な魔力増幅アンテナを使いながら、日本中の人々に語りかけていたらしい
正直、心を打たれた以外の感想がでてこない
ずっと能力を使い続けてたのか
まだ小さいののにここまでのことができるなんて・・・
この小さな体にいったいどれほど力があるのだろう
陽神門御門さんいや・・・陽神門首相は言葉をタブレット端末で書き続ける
僕達はそれを横目で見ていた
「まったく忙しいことだな、大津首相が逃げたのなら結構」
「今から私が日本の国家元首だ」
「今から陽神門御門首相が交渉のテーブルにつくと諸外国に伝えろ」
なんだかよくわからないけど、陽神門御門さんが首相になったこと
ミコちゃんが頑張ったてこと
これで、諸外国との交渉も上手くいくてことか
こういう頼りなる大人がいてくれて良かったと単純に思うよ
「なんだお前ら!?・・・・ぎゃぁあ!」
突然、数人の男女の悲鳴が上がった
振り返った先には、首相の傍にいた職員やSPや警察官が何者かによって
まるで風船のように体の内から空気を送り込まれふくらみ破裂したかのような惨い死に方をした死体が転がっていた
「陽神門お下がりください・・・ここは私がなんとしてでも守ります、輸送機の中へ」
咄嗟に陽神門首相の傍にいたコーヨデル議員さんと護衛のグラッゾと秘書のイフィールが庇うように前に出る
僕達の目の前には、いきなり職員達を惨殺した犯人と思わしき数人の男女がいた
そうか・・・もしかしてさっき職員の大人たちが秒殺されてしまったのは裏切り防止のために首相に化けているの時あらかじめ爆弾のようなものを仕込んでおいていたんだ
「氷裏・・・」
その中に、氷裏がいた
「やっほ、姫ちゃん達元気してた?」
「雪菜先生・・・」
白木雪菜もいて
「お母様・・・」
「・・・グレーテル」
グレーテルさんの母親エメロードメロディもいた
「まったく、物語の進行に影響はないとはいえ・・・二度もこうやってひっくり返えされるとはねしかも当事者の一人コーヨデル・ミフィルザエル・・・君はまた邪魔してくれたね後人っていうゴミ虫共の感情ってものには理解に苦しむよ」
「そうやって高い所から見下してる内は一生理解できないんじゃない?」
「ま、ここで二人は消しておこう」
そう氷裏が未利の煽りを無視して苛立たし気に言い放つと
何かオーラのようなものを放出させ、周りにいた職員の大人たちが気絶して倒れていった
狙いはやはり陽神門首相とミコちゃんか
「陽神門首相とミコちゃん達は輸送機で出発を、元々護衛は僕達の任務ですから」
僕達の判断に迷いはなかった
僕達のその言葉を聞き
ミコちゃんと陽神門首相とコーヨデル議員達は輸送機に乗り込む
護衛に鳳君達のメイド隊
輸送機の操縦役に電子機器が得意なうーちゃんも乗り込む
輸送機プロペラが轟音を響かせながらゆっくりと前方傾き発進する
そして、プロペラの音が鳴る中去り際に二人はドアが閉まる前に伝えた
「・・・分かった、年端もいかない少年達に頼る不甲斐ない大人ですまない」
「グレーテルさん・・・皆さん、必ずまた会いましょう!」
「大丈夫、任せてくださいミコちゃん」
ミコちゃんと、陽神門首相はそう言い残し、輸送機で去っていく
氷裏達は去っていく輸送機を特に追ったりしない
「じゃあ、私達は君たちを倒してゆくりといきましょうか」
白木雪菜が余裕綽々といった風で喋る
恐らく、「あんなゆっくり飛ぶ輸送機など君たちを倒してからでもいくらでも追いつける」といった具合なのだろう
完全に舐めてかかってるけど
実際にそれを実行できるだけの事実があるのは本当だ
でもやるしかない
全員、武器を構える
もう、逃げ道なんてない
いや、もう僕達は逃げない
ここまで来たんだ
後はこいつらに勝つだけだ!
これが最後と言わんばかりの両者の気迫がぶつかり合い
戦いが始まる―
都内避難所
ここでは沢山の人間が避難所に詰め寄せていた
その中には羽ツバメの施設の子供達もいた
一人の年少の子が胸の中の不安を言葉にする
「ねぇ・・・おうちなくなっちゃうの?みんなしんじゃうの?」
「大丈夫だよベル達やタローやオトミがきっと勝って戻ってきてくれる」
「紫姫ちゃんにメロンちゃんとベルさんにゼッタイあえるよすっごく強いんだもん」
傍にいた年長の子は、年少の子の手を握り
明日がくることを祈る
神田駅周辺・簡易防衛陣地
最終防衛ラインとなるここでは自衛官・警察官・・・そして学生達がテラーを相手に激しい戦闘が繰り広げられていた
上空では飛行型テラー対戦闘機や飛行魔導士のドックファイト
フレアチャフの光やサイドワインダーミサイルが飛び交う
地上では、戦闘ヘリの対地支援攻撃が地面を焼き尽くす
戦闘車両の砲撃が鳴り響く
それでも倒しきれない何百万単位のテラーが歩兵として押し寄せている
テラーを迎え撃つ先には
「ぎょうさんおりますなぁ」
「無理するなよ嬢ちゃん」
「分かってます・・・狛犬君じゃないけど」
「死なない程度に頑張ってみる」
佐藤勝や新垣瑞樹と道上蓮華が立つ
また別のエリアでは紫姫の親友
小木玲と三島朝子が
そして別エリアに
姫乃達のクラスメイト達やユウを始めとした66小隊の部室の仲間達