第一章 第七話 「コソコソやるぞ作戦、と突入作戦」
そろそろ一時間におきにまとめてトイレ行かせる時間だ。
手はず通りあらかじめ決めたメンバーでトイレに行く。
見張りを倒すのもいいかなと思ったけど万が一連絡されたらだめだ。
そして僕たちがとトイレに入って数分が経過した。
「長いな?…女子だろうが開けさせてもらうぞ」
だが開けようとようとした瞬間、トイレから学生達が出てきました。
「あ!っとすいません、そのさっきの戦闘で水洗トイレが壊れて一個しかなくて順番待ちしてたんです」
「…そうか、まあかなり派手に壊したから仕方がないのか…」
再び見張りの男と生徒たちは大ホ-ルに向かって歩き出す。
もちろん嘘だ。
トイレに入ったらまず自分たちの複製を作り出した、美術部の石膏で形を整え色を付け演劇部で声のコピー埋め込んで写真部で幻覚をかける。
そしてメイド隊の持つ千のスキルの腹話術で乗り切るという内容だった。
後は偽物をおいた僕たちは頃合いを見て脱出するという。
「う、うまくいったね」
「…うまくいかなきゃぐるみたちが困る」
僕達は目的に向かって足を進めた。
消費が激しいけど監視カメラに映らない魔法をかけたり、お約束ともいえる通気口を使って移動している。
まず爆弾の位置を調べることからだ。
こういうときロボ子の出番だ。
「こういう時ロボちゃんの出番だよー」
「もしかして、ロボ子さんてコンピュータを映画みたいにハッキングできるのですか?」
「ああ、そういえば鳳君と棘ちゃんは詳しく知らなかったね、……まさかーないない」
「ワタシはポンコツですのでそんなことはできません」
そうロボ子の出来はお世辞にはいいとは言えなかった、ハッキングだって一般のオートマタは標準装備だったり広範囲なさっきみたいなレーダをもってたりするしゴレームみたい命令に忠実でもない。
「半径一メートル以内の服の中を透視シマス…ア…じゃなくて建物でしたティヘヘ……ポッ」
えー…知らない間に裸を見られたのか…。
腐女子にもなるのも納得と思った。
隣の棘ちゃんは分かってなそうだな、分かってほしくない。
「一メートルだからね…地道に全エリア回るしかないね、それでも一個づつよりけっこうな時間短縮になるよ」
「それでもって地味にこのパンフレットに位置を書きこんでいく…だよね太郎君」
我ながら雑な作戦だなと思った、まあいいか。
そうこうしてる間に一個目を見つけた。
「あった…ご丁寧に解除するのに超時間かかるやつだし、無理せず処理は突入する人達に任せようか」
解除に一時間も10分以上もかかるやつじゃ仕方ない。
まずここは人任せでいいな、次を探そう。
僕達はこうして三十分地道に探し回ってほぼすべてのエリアを回ることができた。
これでも探し漏らしてるとこは普通にありそうだから、最後は犯人たちが起爆しないよう神頼みしかない。
「次はこの位置を外の人に知らせなくちゃね」
「よし屋上だ」
とりあえずうまくいったけどこの地図をみんなに伝えなきゃ意味がない。
一行は電波を流すため屋上に向けて移動を開始した。
ほどなくして美術展の屋上にたどり着いた。
着いてそうそう僕達は驚いた。
ここの屋上の隣には、特設展示として昔東京スカイツリーと呼ばれていたの物の実物が展示されていた。
電波塔に妙な機械がたくさん貼り付けられてた、たかだか数メートルほどの規模だが本格的な装置だった
そしてそれは、隣の施設へとケーブルが有線で繋がれていた。
それは、元々「京」と呼ばれた大規模なスーパーコンピュータ施設だった。
今はスパコンとしての役目を終え、ネットワークサーバとして運用されている。
周りが海に囲まれた島はコンピュータの冷却に適してるから。
予想をして、予想通りだったのはちょっとホッとしたけど。
「やっぱり、こんだけ大規模な電波障害だ、それなりに大型な物が必要だと思ったけど」
「この美術館の…いやその隣のインターネット回線の…旧スパコンを使って通信設備を丸々利用しちゃってるね」
「よし壊そう」
僕達は手っ取り早く各々魔法や手りゅう弾を使って電波塔に向かって放つ。
電波塔に張り付いてる装置は跡形もなく吹っ飛んだ。
「でも壊したらデータを送れませんよ?」
「いやこれで近くの基地局から携帯回線の電波が届くはずだ、復旧もできなくはないけど時間的にね」
「まずは地図のデータが入ってるメモリーをロボ子に差し込んで」
太郎はロボ子の背中に先ほどの地図を画像化したものが入ったメモリーを突き刺した。
「ワタシの数少ない機能の二つ目、困ったときにWi-Fi中継器アンテナになっちゃうぞ…デス」
「ロボ子はな…ちゃんとキャリアと緊急時Wi-Fiアンテナ……になる契約もばっちりだ」
「ハッキングはできませんが欠陥品なのでWi-Fiにつながった瞬間大量に画像を送りつけるウィルスを生成することなら…バッチシデス!」
「パッケト量を節約するためにキャリアの無料Wi-Fiに自動的につながる人もいるからねー」
そう言い自信満々で(無い)胸をはるロボ子さん
ひ、酷い迷惑すぎる!とんだっ欠陥品だよ!…はっ僕は今ロボ子さんになんてことを!
「でロボ子ちゃんをみんなの浮遊の魔法で持ち上げる!」
「すごーい!隠し機能がいっぱいのロボみたいだ!」
便利なんだかそうじゃないのかわかりにくいね…棘ちゃんは目を輝かせてるけど。
こうして後は数分間このまま味方が電波を拾ってくれるの待つが先か、気づかれるのが先かだ。
「なんじゃこりあぁぁぁぁぁぁぁ」
「お、落ち着け…よく見るとなんかの地図だ!」
ちなみにこの時いち早く気づいた見張りの生徒の携帯端末が阿鼻叫喚になってたのはいうまでもあるまい。
第一分隊+鳳と棘がデータの送信に成功したその30分後の大ホール
佐藤勝は訝しんでいた。
窓の外を見るとすでに警察と浮島学園の生徒たちが建物のすぐ近くの壁に身を低くして待機していた。
近くの水道の蓋が空いている…おそらく水道内部をつたってばれずにこちらに来ていたのだろう。
確か浮島学園のリーダーは生徒会それも書記が率いている珍しい子供らだったな。
こんな方法を思いつくとは侮れないとだけ思っておこう。
そして外の大型テラーはドラゴンと大型強化外骨格に睨まれ動けずにいた。
大型たちはどっちかに身を裂けば背中から撃たれるからだ。
そして例えこちらには人質と共にあの世へ逝く爆弾があるのを知っているはずだ、ブラフだと思われていてもそのあとの戦闘の余波で誤爆することもあり得ないというのに。
犠牲を覚悟で突入を決意したということか?…いやそれにしては奴らの目は勝つ気でいる。
佐藤は念のためホールに向かい、おかしいとこはないかチェックすることにした。
歩いてほどなくして。
あれは…確か今日伝説の勇者がここに確実に来ると帽子の男はいっていたな。
どうやら今は新垣瑞樹がやった毒で動けないようだが。
そして…あそこにいる子供の動き不自然だな?姿勢が…。
「テロ犯のリーダーが直々にお出ましとは何か用かしら?あいにく今紅茶は切らしてるのよね」
「ははっ、心配しなさんなお嬢さん…俺はウーロン茶派でね」
「で…そこの奴ら、こいつわぁ良くできた偽物だ、全員が全員同じ姿勢なわけないからな…他の奴はどこいった?」
「あら、ばれてしもたか」
「…知ってたって教えるとと思う?」
「ならば、しかるべき方法をとらせてもらおう」
佐藤と紫姫はお互い睨み合う。
あーう…ひっく、んぎやややぁぁぁぁっぁ!!。
この空気のせいか小さな赤ん坊の目が覚めて泣き始めた。
その沈黙の中レフリーさんはいつもと同じ口調で。
「ちょっといいかしら、おちび達がぐずってね~どうにもならないんだよ、おむつとか哺乳瓶とかほしいんだけど今あるかい?」
まさか、この状況で赤ん坊をあやす物を探してるというのか?。
「…はあ、ばあさん勘弁してくれ…ここにはおしゃぶりもおむつもないんだぞ」
「新垣ちゃん頼むね、あなた今日の当番だったでしょ」
「え?!私ですかええっと…どうしよう?!」
隣の新垣瑞樹はいきなり予想してなかったことを言われあたふたしていた。
…多分彼女は今目の前にこの子供たちとばあさんと仲は悪くない関係だったのだろうな。
やれやれこれがあのばあさんが素で言ってるのか策略で言ってるのかは分からんが、眉間に皺を寄せながら言う。
「待て待て…今はそんなことより…………どうした何かあったのか?」
見ると一人のテロ犯の一員と思わしき男が大慌てで通信してきた。
「大変です!外の奴らが突入してきました!」
ドン!ドン!パリ―ン!ピカッ!カランカラン シュー
まず狙撃で窓で警戒してた二人の意識が昏倒している。
そして警察と学生の突入部隊と想われる人間が扉や窓、天井から入ってきていた。
それぞれ閃光弾や煙幕をし使用してこちらの視界を塞いでいるか。
幸い人質の体調を考慮してか催涙ガスの類は使われてないらしい。
佐藤は冷静だった、こんなにも早く来るということは偽物を置いた連中が何らかの手段で外部との連絡をとったということだ。
試しに普通のネット端末でつながるかどうかチェックする。
「ジャミングもやられていたか、ふっさすが優秀な学生さんたちが集まる場所だ…予想はしていたが早いな」
俺は年甲斐にもなく笑みがこぼれていた、素直に若者の成長を喜んでいた
すぐ表情を引き締め仲間に指示を出していく。
「応戦しろ、遠慮することはない!相手の目的は人質が最優先だ」
「つまり、こうなった以上俺たちの目的は包囲網を突破し次の機会を待つことだ」
「人々に呼びかけることは達成した、むしろ勝利ともいえる…「漆黒の牙」で会おう」
すぐに攻撃が来るかと思われたが。
「…やはり爆弾の位置が知られていたか、この短時間で」
「あったぞ!爆弾だ!」
「よし、作戦通り外に投げ捨てるか処理班に任せて人質の解放に移行するぞ」
施設のあちこちで爆弾が取り外されたり、無力化されていた。
学生たちは人質に防御魔法を張り次々に移動させていく。
300人一気には無理だが5~6人づつだ。
「佐藤勝!テロ防止法の現行犯で逮捕する!」
ベテランの女性警察官3人と紫姫と道上が前に立ち塞がれこれ以上の行動を制限されていた。
「もはや、退路なし…か正直強行突入されたら撤退でもする予定だったが」
「だとしてもまだ切り札と、やるべきことがある」
そうだ大規模な施設を使ったのはそこにいるテレビ局を利用し広く知らしめるためだ、ここで逃げおおせ交渉を成立させるための人質は一人でいい。
「あ…切り札って…まさか!」
―メロンちゃん―
どうやら紫の嬢ちゃんも佐藤の思惑に気が付いたようだ。
「でもこの状況で逃げられると思ってるの?」
「気になるなら試してみればいい」
「罠があるかもしれない、気おつけてかかりなさい!」
警察の一斉銃撃と鎮圧用の魔法弾が打ち出される。
キンキンキンキンキン
だが銃弾は見えない何かに阻まれ全部撃ち落とされた。
あれは…糸のようなもの。
そして佐藤は警官たちの上空に跳躍してた。
銃を上え構えなおすも真上に飛ぶいとう行為に反応が遅れてしまった。
そしてそこら中に糸を張り巡らせると、その糸をその場にいる全員に押し付けるように降下する。
「シンクロ・グラビティ」
「なっ!」
「避けきれない!…ぐ…重いわね!」
佐藤の前にいた5人はなんとか防刃服の袖や魔法で防いだが…。
シュピシュピシュピ
ホールのそこら中で肉や武器を切り裂く音が響いた。
しかもテロ犯が利用してるであろうテラーたちに当てずに。
「きゃあ!」
「ぐあぁ!…なんだこの糸こっちが触ったら切れるのに全然切れない」
佐藤はホール全体に糸を張り巡らせていた、ご丁寧に重力魔法までかけてね。
いったいどうやってこのホールを覆える糸を出したのだろうかあるいはあらかじめ用意していたのかもしれない。
ここには糸で吊られてる展示物が多々あったしね。
そしてまだ防御魔法が未熟な学生たちが次々にダメージを受けていた、糸が切れないのも佐藤との魔力差だ。
それでも一般人は強い結界の中にいるおかげで無事だ。
「このままじゃ動けないどころか押しつぶされる!」
「ま、そういうことだお前さんたちの事だ、数分もしたらテラーたちを倒して生きて帰れるさ」
抵抗がないことを確認して踵を返し移動しようろする佐藤だが、まだ動ける人物がいた。
ベルだ。
他の人より毒で腰が落ちていたせいか糸の影響を受けずにすんでいた。
「待て………はあ…はあっ……行かせない!絶対に!」
「無茶よ!」
心配する紫姫をよそに距離を詰めていく。
「こいつあ驚いた…あの毒を食らってまだ動けるとあ…さすが勇者様だ」
「だが、どうするその体じゃ俺には勝てん」
「はぁ……・なら、こうするさ!うおおおおおおおおおおおおおお!!」
ズババババババババババババ
ベルは渾身の力を振り絞って味方にあてないように全方向に、切れ味をます魔力をともなった斬撃を振るう。
佐藤より上の魔力量で放たれた斬撃は次々に生徒たちを蝕んでいた糸を切っていた。
毒で弱ってる体だ、戦うよりみんなをいち早く救う方を選んだのねベル。
「体が軽くなった?…あれが勇者の力か……話通り力のごり押しだな」
「さあ!今の内に逃げて早く!」
「はい!」
この機会を逃さないと放った紫姫の言葉に、我に返りまた護衛の生徒がテラーを蹴散らし避難を始める。
「おもしろい見世物だったぞ、勇者殿!」
はっとして見ると、佐藤はすでに上の階の通路にいた、多分糸を使ったんだ。
「あいつ!残った糸を伝って上まで登ったっていうの?」
そして道上は反対方向に走っていく。
「すまん!…ダメージを受けた後輩たちが心配やわ、佐藤はんのことはあんたたちにまかせるわ」
「任せて、子供を利用する奴はぶん殴ってくるわ」
「紫姫…俺は…・後からしかいけなさそうだ…・かならず追いつく」
そう言うと階段の紫姫は階段の方へ歩いていく。
「わかった、信じてる…」
逃げる佐藤を追いかけるため、浮遊の魔法でゆっくりと上に行く、なるほど浮遊は遅いから使わなかったのね。
一方施設内外を問わず様々な場所でドンパチが行われていた。
「ふはっはっはっはは、進め破壊しろ焼き尽くせっ俺様の最高傑作たちよ!」
「レッド隊はこの魔法騎士・セインにつっづけー!」
あるとこでは大型テラー対ドラゴンや機械人形との取っ組み合いが行われていたり。
「こちらBゾーンの8から12小隊無事人質の避難が完了しました」
「よし、では引き続きテラーの掃討にあったてくれ」
「Fゾーンにもう人質はいません21から25小隊はテラーの掃討と爆弾の正確な処理をお願いしますわ」
佐野理久とアイ・リーゼロッテの二人が前線で指揮を執ってたり。
「銃弾なんて効くかよじいさん、諦めろ」
男子生徒の張った体を纏う膜のような魔法防御によって銃弾ははじかれていく。
「口には気を付けなさい、若いの」
ご老人が年を感じさせない素早い動きで男子生徒に近づいてゼロ距離でアサルトライフルを撃とうとするが。
男子生徒の槍で空中に弾かれてしまった、勝負あったと思われた。
老人は上に飛び上がりアサルトライフルの銃身を持って、そのまま重力にまかせて頭を殴った、銃で。
「いった!」
「いくら銃弾を透さない魔法でも「衝撃」はそくっくりそのまま通るじゃろ」
「佐野さん!いくらなんでも強すぎっすよ、あのじいさんたち」
「や、やっぱりな!5小隊から7小隊は後退してください、先生たちはご老人たちの相手をお願いします」
鞭を持った飛鳥先生と大槌をもった車田先生と他数名が駆けつける。
「了解した、車田先生準備はいいか」
「OKっすよ飛鳥先生、無理しない方がいいんじゃないっすかじいさんたち」
「骨がありそうなのが来たわい」
先生たちが第三次世界大戦を生き抜いた歴戦お年寄りたちと激戦を繰り広げたり。
「冴子さん、ご主人様は無事ですって」
「はい、ありがとう…私たちのご主人様ですもの負けないわ」
鳳凰家のメイド隊が爆弾処理をしていたり。
「アクアリウム!」
「鳳仙花!」
姫乃の放った水の塊に包まれ動けなくなったテラーは柊の黒い長刀を受けて気絶した。
「この調子でいきましょう」
柊修と姫乃たちは上のテラーを倒すため階段を上っていたりした。