ブラックボックス・裏主人公 「ロスト・ソング」(※残酷描写あり)
二人の記憶
十字音也と神柄真白という二人の男女がいた
真っ白な部屋
ここにはなにもない
あるのは、赤い血が流れ彼と彼女以外の人間の亡骸だけだ
行われてるのは、選別
弱い子供は殺され、強い個体だけが生き残る
子供同士の殺し合いだけじゃない
誰かに友達が「あいつ」次々殺されていく
どうして・・・・こんなことになったのだろう
ここに連れて来られるときに精神操作を受けたせいだろうか
もう・・思い出すのもこの環境では断片的な朧げな記憶しかない
確か・・・・俺に名前は十字音也
俺は幼馴染の神柄真白と一緒にとあるエンジェルグループの児童養護施設に入ってた
赤子の頃に、俺たちは施設にきたらしい
だから、俺と真白には本当の両親というものはいないしわからない
生まれてきて、ずっとここにいる
もう十年にもなるか
今日もいつも通り、体と喉が弱い真白に
それに効きそうな、金柑の紅茶を真白の自室に持っていくとこだった
俺が、扉をノックしようとした時だった
部屋から、歌声が聞こえてきた
これは、真白が歌っているに違いない
俺は音をたてずにそーっと部屋に入る
「相変わらず綺麗な声だな・・・」
「うん・・・私、唄うの好きですから」
「この声で施設のみんなのためにできることがしたいなぁって」
俺と真白は笑顔で見つめ合った
優しい気持ちにさせる
そんな時間が、少しばかし続いた
「きれーだよね、真白の」
後ろから、声がした
見ると、俺たち同年代の男女が数人いた
「なんだお前らいたのか」
彼らは、同じここに住んでいる
俺と真白の友達だ
みんな、無愛想なや無口や真白を気にかけていろいろ
気さくに話したり、一緒に町でいたずらしたり馬鹿やったりする
大切な友達だ
「なんだってお前なぁ、俺たちは隣の部屋だぞ、丸聞こえだっての」
「ついでに、お前らのイチャイチャもな!」
「は?ちげーよ・・・そんなんじゃねーよ」
「ところで、」
俺たちはほぼ強制でこれを飲んでる、この施設にあるルールみたいなもので
エンジェルグループが作る、試作の清涼飲料水を飲まされてアンケートを書かされru
「なんでこんなマズイもの飲まなきゃいけねーんだか」
たまに美味いやつもあるけど
目の間に広がる光景は、この世界の終了だった
仲間たちが、体の一部を化け物みたいなものに容姿が変化し
次々と、殺されていった
生き残ったのは俺と真白だけ
俺は・・・
仲間をこの手にかけた
人の意識が残ってるうちに、あいつに殺される前にと
最後に、仲間たちが大好きだった歌を歌ってほしいと頼まれた
その時の歌声は、優しくて、儚くて、月のように静かで、綺麗な歌だった
真白はあれ以来、もう楽しく歌うことはなくなった
俺は、いつの間にか結締姫乃を憎むようになった
俺の家族を友達を奪った黒い炎のあいつを
隣に立っていた加藤正(氷裏)という男は言った
「・・・よく頑張ったね、あともう少しで君たちは幸せと自由を手に入れられる」
「結締姫乃を殺す、さすれば」
「施設の仲間も、神柄真白の心も全て元通りにしてあげよう」
「君たちはそのために存在してるんだ」
すがるしかなかった
ただのこどもの俺たちには、この男の言ってることが間違いでも
この人についていけば・・・
結締姫乃への復讐も、仲間たちも真白もみんな取り返せる
それから俺たちは
いろいろなことをしてきた
「待ってくれ!命だけは・・・・!」
「モブに要はない」
「せめて手紙を・・・アテナに・・・」
同じエンジェルグループの学者のくせに
正義感を振りかざし、政府に告発しようとした
ルーンという男を始末した
「方城未利の情報を教えろ」
「知っていても教えないさ・・・この世界の僕は」
「こういう役割か・・・」
「僕のことを知ったら、また彼女は自分を責めるだろう・・・な」
「死ね、古戸零種・・・」
方城未利とかいう結締姫乃の仲間の弱点や弱みを知っているされる
古戸零種がこちらに従わなかったため殺した
今、こうやってコールベルダットや66小隊、結締姫乃達の邪魔をしてるのは
結締姫乃の抹殺命令や個人的な恨みだけじゃない
こんなことしてるのは・・・
多分、妬みだろうな
家族がいることへの、コールメロンへの妬みだろう
幸せにしやがって、不幸になってしまえばいい、ざまあみろ
何故、俺たちなんだ!
同じ年のこどもなのに、こうも人生が違うのはなんでだ
どうして、あいつら(結締姫乃)は
俺たちがこんな目に合わなきゃいけない
どうして・・・何故?
どうして、どうして、どうして・・・こんな
違う・・・・・
俺は・・・
俺は・・・こんなこと望んでいない
ただ・・・真白と・・・
平凡で幸せな日々を送りたかっただけなのに・・・