第三章 第九話 「『ここは』出来損ないの模造品だよ」
「というわけだ、みんな今すぐここから逃げて」
「え、灰姫ちゃん・・・!?」
先ほどの無茶苦茶な放送の感想を言うな間もなく、いきなり現れたのは灰姫ちゃんだった
氷裏に紫姫さんと体を交代できないようにされたが、どうやら霊体ではでてこれるようだった
「なんとか霊体でなら出れたよ・・・それよりも学園から脱出した方がいい」
「どうして・・・?」
音海さんのその言葉に灰姫ちゃんは呆れて言う
「わからない?この学園中の生徒が今敵になってるんだよ」
「そんな・・・?」
確かに、普通の人から見たら、コールベルダットさんが魔王の関係者で
僕たちもそうだと思うかもしれない
でも・・・
「あんな話を信じるって?」
みんながみんなそれを信じるわけではないだろうと考えた
ここにはベルさんをよく知る人たちがも少なくない
「それにマーガレット署長も本田市長も様子がおかしかった」
「それが信じちゃうんだなー、それがあいつの能力だから」
・・・それが氷裏の能力って、さりげなくとんでもないこと言ってるな
学校中のみんなに催眠術でもかかってるとでも言えそうなくらいだ
「・・・それにいいたかないけど、君たち66小隊のメンバーが逆に補正かけてるんだよ・・・」
「はぁ・・・それもそうか・・・」
僕たちと付き合ってるベルさんたちも、気持ち悪い存在だと思われてるってことか・・・
「そして私は・・・」
「氷裏の本当の計画を知っている、詳しい話はここをでてから」
氷裏の本当の計画・・・!?
僕たちから見たら、いまいち行動がちぐはぐでわけがわからないけど
何か目的があったというのか・・・
そして、その場にいた姫乃は嫌な予感をひしひしと感じていた
「氷裏の本当の計画・・・?」
しばらくして、僕たちは学園の生徒に見つからないよう廊下を注意して歩く
多分、そんなに早く、あの言葉を信じて残党探しが始まるほど
まだ大丈夫だと思うけど
「いたぞ!裏切り者の勇者の仲間だ」
「追いかけろ、上の階にも知らせろ」
どうやら、もう残党探しが始まっているみたいだ
どんどん集まっていく
本当にみんな信じ切ってるんだな・・・・
どうやって切り抜けようか考えていたとき、近くで声がした
「あー勇者ならっちにあいったー」
「こっちは私たちが上手く誤魔化しておくから」
三島さんと小木さんが、嘘の情報を流して僕たちの存在を誤魔化してくれた
多分、紫姫の身を心配してだろう
二人は、すぐ僕らと離れた
嘘の情報を流して、少しでも時間を稼いでくれる考えだと思う
三島さん、小木さんありがとうっと心の中で感謝した
だけど、その場をしのいだにすぎない
「でも、どこから逃げるか」
そんな時、突然廊下から声がした
声の主は野中拓とユウ君と漫研部の女子生徒たちだった
その後ろには、大人たちの中で唯一僕達の存在に理解がる人飛鳥先生もいた
そういえばここは、僕たちの城・漫研の部室だったな
「ここ、ここここですぞ太郎殿」
「野中拓さん、ユウ君達久しぶり一巻いらいの出番だね」
「私たち、どう考えてもベルさんたちや音海ちゃんたちが悪い人と思えないし、こうして脱出を手伝いたくて」
どうやら彼らは僕たちの脱出を手伝ってくれるらしい
そういえば、ここにいるみんなはちゃんといつもくるベルさんたちがそんな人間じゃないってことが分かっているもんな
わずかな人達しかいないけど、こんなんでも信じてくれる人がいると嬉しいもんだな
「こんなことしかできなけど、力になりますぞ」
「この穴から抜けてください、追ってが来たら上手く行っときます」
そういうと、部室の床がパカっと開き地下通路が現れた
これは確か、僕たち漫研部員がこんなこともあろうかと掘っておいた地下トンネルだ
行く前に、僕たちは保健室に安置しているベルさんたに連絡をいれた
「すみませんベルさんたち・・・ちょっとの間置いてぼりにします」
一緒に連れてきたっかけど、大怪我をしていて無理には動かせなった
多分そこにはじきにエンジェルグループの職員や警察がベルさんを確保しにいくだろう
「いや構わない・・・内部に残る人間も必要さ、上手く言えばメロンちゃんの居場所を探し当てるつもりだ」
「この傷じゃあどの道戦えない、おとなしくその氷裏ってやつに捕まっとくさ」
「灰姫の力を使えればいいんだが灰姫が肉体ででてこれないよう細工されてるしな」
行くとき、飛鳥先生のつぶやきみたいなものが聞こえた
「すまんな・・・私と車田先生は君たちに何もしてやれない大人くせにな」
「いや・・・大人だからこそか」
きっとその言葉は、飛鳥先生達なりの謝罪と後悔の言葉だったんだろう
こうして僕たちは、学園中の生徒たちの監視の目を潜り抜け脱出に成功した
そうか・・・
そこで僕は気づいた
今まではベルさんや紫姫さんといった頼りになる人がいてこれたからなんとかなったけど
今からは
自分たちの力だけでどうにかしなくちゃいけないのか
できるのか・・・?
一方、その放送を聞いた生徒会の佐野理久は
事の真相を確かるため、マーガレット署長や加藤正がいる体育館にきていた
「加藤正さん、放送のことは本当なんですか?ベルダットさんが魔王の一派って」
「それに・・・コール・メロンが死ぬかもしれないって」
そして、コール・メロンというわずか10歳の少女が死ぬかもしれないという衝撃の事実を告げられていた
「さっき説明しただろう?」
そして俺はコール・メロンに生死にかかわる重要なことを、この加藤から聞いていた
「佐野君・・・本当さ僕ならそこの子メロン君を助けられるんだそれはつまりベルダットに預けるよりこの子が助かるんじゃないか?、さあ佐野理久君コールベルダットの残党を捕まえてくれ」
「なにを戸惑うことがある?我々エンジェルグループがテラーの脅威もメロン君も両方救える」
「それが最善、最良だ・・・「前みたいに」どちらかを選ぶ必要はない」
!?・・・この人、なんで俺の過去を知って・・・?
「君が全員全部みんな救えるんだ」
「残党を捕獲するんだ、さあ」
俺は反論する
ベルダットさんたちはそんなことする人間じゃない
「ベルダットさんや66小隊はテラーに組してるなんてそんな人達じゃない!」
「ここの生徒は全員、魔王の娘によって殺されるね」
「!?」
その言葉に、佐野の過去の光景が蘇っていた
「あなたのことを今のでどんな人かわかりました・・・だが信用できない・・・でも、さっきの光景を見ればわかる・・・彼女は化け者になってしまう・・・俺にはわかる」
「みんなか一人を選べ・・・・俺にはどちらかなんて選べない・・・もうあの時みたいなこと」
あの子の心を安心してさせ上げれるのはベルダットさんしかないのはそうかもしれない・・・・だが
一人か、みんなか、どちらか選ぶののだしたら
俺は・・・
「それが全員を守ることになるなら、俺は」
僕たちが脱出に成功して一時間くらいがたった今現在
僕たちは・・・
最初に、ベルさんや紫姫さんと出会った洋館にいた
これが隠れるのに最適で、まずこの洋館のある山はほぼ未開拓地域で
捜査の手は後回しになるし、洋館自体強力な認識阻害魔法がかけられている
だけど、山から町の方を見降ろすともう僕たちを捕まえるため警察や学園の生徒が町中を探しまわっていた
「・・・ったくこれじゃあまるで鬼ごっこだ」
「雪菜先生・・・鬼ごっこ好きだったもんね・・・」
「姫乃さん・・・」
一瞬、表情を落とした姫乃だったがすぐに表情を引き締め
灰姫ちゃんに問う
「それで、灰姫ちゃん・・・氷裏の本当の計画って?」
「じゃあ今から話すよ、まず・・・・」
彼の偽名・・・かどうかもわからないが砂粒という別の名を持っている
その内容は・・・・
まず、氷裏がこの世界でしようとしてること
それは、一言で言うと結締姫乃という存在をあわよくば抹殺
それができねば世界に縛り付けて
封印・・・のようなものにすること
封印と言っても比喩のようなもので
簡単に言えば・・・永遠に戦いの続く世界に姫乃を送り込むこと
どんなに争いを止めても、新垣さんや佐藤勝さんのような悲劇を救っても救っても止めても止めても
際限なく悲劇は湧いて続けてきて、永遠に姫乃はその世界で戦いづける
そんな世界にこのカラーは最適な世界だった
すごく・・・すごく質の悪い計画だ
魔王軍のテラーのよる戦争、それにより生まれ続ける悲劇
そもそも、戦争なんてまだ子供の姫乃たちにはどうしようもなかった
そしてその最適なカラーが姫乃たちのメタリカとマギクス両方の特徴に似ているのは・・・単なる偶然ではなかった
―何故なら、この世界は出来損ないの模造品だから―
この世界は、世界樹に細工した氷裏によって作られ姫乃たちの世界を模倣した世界
「世界樹」というものは、世界を形成してる存在そのものをつかさどる源というものらしく
つまりこのカラーという世界、いやその前の異世界と地球が一つ(カラー)となる前から
マギクスとメタリカの模造品
そしてそれは・・・
この世界にもロクナさんやレフリーさん、リーランとコーティ、デティシアといったマギクスの人達と同じ魂を人間がいるのも偶然ではなく模倣されたから
では、なぜ姫乃たちのそっくりさんはいないか?
それはもちろん、氷裏が意図的にそういう不安分子を排除したから
それが氷裏・・・・いや表裏が考えた終わりもせず始まりもしない物語の筋書きだった
で・・・それを実行するための計画がこうだった
彼は、マギクスとは違ったやり方で世界に侵食していた
それはエンジェルグループの加藤正や雲海校長となって
姫乃の日常・・・当たり前にある日常から侵食していくことだった
今まで信じてきた日常・仲間・もの、世界のすべてが敵になるという状況を作り出す
結締姫乃を封印するというのも最終的なあくまで目標で
例えば、氷裏は前の世界で姫乃に武力で正面から挑んでも
主人公補正(氷裏が言うには)や奇跡が起きてひっくり返されてしまう
では、どうするか?
肉体を殺すことが叶わぬのなら姫乃の心を殺そう
氷裏は、姫乃の心を殺そうとしていた
で、話は変わって今やろうとしてることは周りを敵にして姫乃を追い詰めること以外にもいろいろ
先ほどみたいにメロンちゃんを狙った理由は
ウルルさんがあの時言った通り
世界樹に埋め込んでその魔力を人柱とすること
どうやらその世界樹というのは、ここ(カラー)と魔王のいる世界を次元を超えてつなげるために
大量の魔力が必要らしく
絞りに絞って用済みとなったウルルさんを排出した後は、その代わりを氷裏は探していて
メロンちゃんをその代わりにしようとしているらしい
幸いなことに、今はメロンちゃんのその魔王の力が移送中、暴走しないよう
力を封印する儀式があるのですぐには世界樹へと運ばれないようであった
それが氷裏の計画だと、灰姫は言う
なんというか、ここにきてようやくラスボスの全容が見えてきたってか感じだな
というか・・・この世界が姫ちゃんのいた世界の模倣だとか
一気にいろいろな情報が入ってきて頭がこんがらりそうだ
実際、よーちゃんとかなあちゃんとか選と緑花、ジャグラーさんは目を回していた
「どう、驚いた?いきなり君たちの世界は作られた世界なんだよと言われてもピンとこないよね」
「・・・確かに驚いたけど・・・」
そこで、僕たちはあることに気付く
僕たちの存在って白いツバサの絵本や物語に影も形もないよね?ってことに
「じゃあ、僕たち66小隊、グレーテルさんたち、あと生徒会の佐野さんたちって白いツバサの登場人物だっけ?」
「いんや違うよ、君たちはオリジナルの存在だよ、実はこの世界は白いツバサだけじゃなくいろんな世界の模倣もとりいれてるからね」
灰姫は否定する
代わりに本棚から、いくつかの本を取り出して
みんなに見せるように広げた
「えーっと非常に言いにくいけど・・・狛犬君たち以外は自分達の元となった絵本(世界)があるよ、つまり鐘鳴孝またの名をベルダット、グレーテルさんや佐野君それに鳳凰君は別の漫画の外伝主人公みたいな感じだよ」
みんな、それを言われて信じられないという表情だった
みんなそれそれぞれ自分の物語があるのか・・・
そうすると・・・あれ僕たちは・・・・
「僕たちは・・・?」
「あー・・・・うん、一般人AとかB、つまり脇役ですらないね・・・・・・・・・・・」
「やっぱし・・・」
最初から期待してなかったけど・・・面と言われるとやっぱこたえる
だけど・・・灰姫はこうも考えていた
(でも登場人物ですらないそんな狛犬君たちがここいいるってことは)
(「世界のバグ」ってやつ以外としか言いようがないんだけど・・・まあ黙っておこう)
(それに、66小隊がいなかったら・・・・今までの戦いで「結果的に」勝ちはするけど結締姫乃はもっと心が疲弊してるはずだったのよね)
でも・・・まあ
この世界がどうだとか、主人公じゃないとか
そんなことは置いといて・・・だ
この気持ちは、隣のグレーテルさんたちも姫ちゃんたちも同じだった
「でもそれを聞いてわかったよ」
鳳凰鳳は言った
「この世界が白いツバサの模倣だとかは関係ない」
結締姫乃は言った
「今私たちはがやるべきことは変わらない」
狛犬太郎は言った
「メロンちゃんを救出してベルさんたちの無実を晴らす、だろ?」
グレーテル・メロディは言った
「それに、私たちが出会ってきた家族や友達は・・・決して白いツバサの模倣なんかじゃないオリジナルの展開ってやつ・・・ですよね?」
「ふゅ・・・・わかってはいたけどみんな強いね、普通この時点で心おれるよ」
「ま、こうなることも織り込み済みで全部話したんだけどね」
そして、それを聞いた灰姫は満面の笑みで嬉しそうだった
・・・でも、これは私がやらなくちゃ
やらなくちゃいけない、責任がある
「で、今氷裏は学園のみんなを操ってるんだね、全員」
「何百人と近い人間を一気に洗脳するなんて・・・・」
「それこそオリガヌみたいな人外に近いとんでもないやつを敵に回してるのかもね・・・・」
「学園のみんなは敵、こんなのどうやって・・・う~ん」
「というかあれ全部白木雪菜と氷裏って人のマッチポンプな気がしてならなくて」
「ていうか、学校や市民が攻撃してくるとかメガレンジャーかよ」
みんなであれやこれや考えてるとき
僕は気づいた
「あ、そうだそのエンジェルグループことだけど・・・これでみんなにも話せるね鳳君」
「エンジェルグループって鳳凰君たちの過去に深く関係してるんだよね」
加藤正=氷裏(砂粒)だとしたら
いちねん一年前の「暴食」の子の事件とかいろんなことが説明がつく
「はい、いろいろあくどいことやっててまして、でも今は忙しいから終わったら話します」
「そのエンジェルグループに氷裏がかかわってるなら、姫ちゃんたちにも話をしておきたくてね」
っつても長くなるから、またこの戦いが終わってからにしよう
「・・・でも今話ておきたいのはあるな・・・エンジェルグループって子供を人体実験の被検体にしてたんだ」
「「エンジェルグループは人体実験している」」
僕は、姫ちゃんに
エンジェルグループの悪事というか知っているかぎりの秘密の一部を話す
それが、エンジェルグループは人体実験していて、「七つの大罪」みたいなものを研究していること
それによる、一年前の事件と鳳凰君がそのエンジェルグループに関わっていることを話した
「人体実験・・・鳳凰君はエンジェルグループの代表と縁のある人物で・・・・七つの大罪か・・・」
対する姫ちゃんは、驚きつつも納得していた
あの氷裏だったらやりかねないし、権力に介入して狛犬先輩や鳳凰君がいくら声を上げたとこで
もみ消すことも可能だろう・・・と
「うん、七つの大罪っていう・・・今はそれだけ話しておくね」
その言葉を聞いて、姫乃たちだけ驚く
そんなことをグレーテルさんたちも狛犬先輩達も知っていたんだ・・・・
「でもこれでも、もうこんだけことを起こせば大企業だろうが、裁判で勝てる」
「はい、氷裏を警察に突き出せばそれがなによりの動かぬ証拠となりますしね」
みんながあれやこれや考察してる中
突然灰姫は、言い出した
「君たちはなにも心配することないさ」
「全部私がなんとかするよ」
「え?・・・・それってどういう」
全部、自分がなんとかすると
「短い期間だったけど、君たちと一緒にいたときは楽しかったよ・・・・」
「ちょっと、待って」
僕は制止しようとする
だけど・・・
「紫姫の体に戻らなきゃ、酷いことされないか心配だし・・・」
「じゃあね、また生まれ変わることがあるなら友達になりたい・・・な」
掴もうとした右手は、既に何もない空間をきっただけだった
そう言い残して、灰姫ちゃんは笑顔で消えてしまった
なんだよこれ
どうして、そんな簡単に消えちゃえるんだよ
もっとみんなと遊びたいはずなのに、もっとみんなと過ごしたいはずなのに
普通の女の子になりたいんじゃなかったのかよ
・・・・・あ
そこで僕は気づいた
彼女は、僕たちと同じだ
叶うわけないって諦めて・・・
・・・でも違うとこがある
それは一人で死のうとしてるとこだ
それはだめだ・・・
どうせ死ぬなら、死ぬときは一緒がいい
-だから-
最後のその時がくるまであがくんだ
伝えなくちゃ
彼女はもう僕達の
友達
だから
「勝手に僕たちの前に現れて・・・勝手に消えていこうとするなよ」
「・・・ったくでもまあ・・・・灰姫ちゃんが事を起こす前に僕たちががんばればいいんだメロンちゃんも灰姫ちゃんも助ける・・・!」
「気お取り直してみんな集まって、まずは作戦だけど・・」
「はい」「うん」
僕は、少しだけ空元気で自分を奮い立たせ
この状況を突破する策を考える、みんなでだ
そんな時だった、一人だ勝手に外に出ていこうとしていた
「ふん、仲間などいらん俺様一人で片付けてやる」
愛熊さんだった
きっと性格的に一人でなんでもできると思っているのだろう
そこをリューさんが、制止する
「まてや、策もないのにどうするつもりや」
「正面から蹴散らすだけだ、俺様は愛熊帝都だぞ生まれ持って強い俺様に負けは許されん」
「愛熊帝都さん、それは無茶です」
グレーテルさんが、愛熊さんの手を掴む
その時だった、未利が口を開いた
「ていうかさー、子供なんだよあんた」
「なんだと・・・?」
「ふぇ未利ちゃま?喧嘩は・・・」
なあちゃんが、止めようとするが未利は続ける
「それで誰かが喜ぶと思ってんの?あんたなんて自分のことしか考えてない理不尽な大人と一緒だよ」
「僕も言いたいなーグレーテルさん達は君のこと仲間と思ってくれてる人がいる、ならそういう一人でなんて行動辞めた方がいいよ」
どう考えても挑発だった
まずは一発
「あんたすごくダサいよ、中学生に言われて恥ずかしくないの?」
さらにもう一発
さらに、もう一発そのとどめの言葉が愛熊を激怒する直前までいっていた
「なに・・・?」
一触即発の険悪な雰囲気がただっよていた
だけどそこになあちゃんが割って入ってきた
その目は愛熊さんに睨まれても一歩もひかない強い少女の目だった
「まってほしいの」
「未利ちゃまも啓区ちゃまも、二人ともとってもとっても友達を大切にするの」
「友達を悲しませるようなことやめてほしいって言いたいってなあは思うの」
「・・・そんなことはわかっている」
なあちゃんのその言葉を聞いて、愛熊帝都は
少しばかしの沈黙の後、部屋の隅に戻って腕を組んで壁を背にもたれかかり窓を見る
「俺様はつい最近までは俺様は一番強いと思っていた、だが一年前の氷裏やコールベルダット・・・俺様より強い人間は沢山いる」
「一人では勝てないことも分かっている」
「仲間なんて必要ないと思っていた、自分一人で戦ってプライドを守って死ぬんだと・・・」
「俺様が強ければ、強いやつは最初から強いわけじゃない、弱いから力を合わせて戦おうとする人の気持ち・・・いろいろ理解した」
「なにより・・・今お前らといる時間は楽しい・・・・」
「・・・で、何か作戦はあるのか?俺様はまだここでは力不足だ、だから今は仲間とやらに従ってやろうじゃないか」
愛熊帝都は、少し前までは自分に絶対の自信を持っていた
弱いから仲間などどいうものを作って群れて自分を慰めていると思っていた
弱い奴は、強い奴におとなしく守られていればいい
それが・・・王たる自分の王者の役割だと、勘違いをしていた
だけど一年前に氷裏に完敗した時から、変わり始めていた
その後もコールベルダットやズーテイラーや白木雪菜、氷裏、自分より強いどころか世界の次元が違う力の持ち主と出会い
彼の考えは変わりつつあった
仲間とは王とは、力ではなく心を支え合っていくものだと
でも・・・それを認めたくない自分がいた
だけれでも、今回あの希歳なあという少女の言葉で愛熊帝都は心に深く刺さった
ようやく、自分自身の気持ちを認めることができていた
「・・・・私は、今みたいに仲間を頼っている愛熊さん好きですよ、というか安っぽい改心ですね」
「な!?貴様人がせっかくしたいうのに安っぽいとはなんだ」
クールに決めたつもりだった愛熊だったがグレーテルのメタい突っ込みによってこけてしまった
漫画みたいに
まったく・・・でもそういう普通と違う面白い女だから気にってるのだ・・・と愛熊は思っていたりもした
「つーか、珍しいななあちゃんが未利と啓区の通訳するなんて」
「新しい発見があって、この世界に来ても悪いことばかりじゃないわよね」
意外な発見に胸をうって、改めて作戦会議を続けようとしたときだった
ミコちゃんが、念話で誰かの声を拾ったのだ
「ミコちゃんどうしたの?」
「今、念話で聞きました!」
「ベルさんがなにかあったときここを頼れって・・・」
どうやら話していた相手はベルさんだったらしい
ミコちゃんは地図のある場所を指さす
ここって・・・
ミコちゃんによると
ある場所に、戦力になりそうなベルさんの友人がいるから、みんなで話をつけて協力してほしいとのことだった
ただ・・・元々は人間と敵対する予定のやつだから
一筋縄ではいかないだろうとことで交渉は
そいつと知り合いのヘイ・シーンさんとウルルさんに頼んでほしいと言われた
当然ヘイさんとウルルさんは快く承諾してくれた
なんだか二人は、もう検討がついてそうな顔していたけど・・・
にしても、ベルさんの友達か・・・
そういえば、確かに最近ベルさんは外出することが多い
密かに会っていてもおかしくないな
その時だった、琥珀ちゃんと翡翠ちゃんが窓の外を見てあることに気付く
確かに、上になんか大きな物体があるな・・・!?
「ちょっと待って!その「あれ」が今上に・・・・」
「魔大陸が上空に・・・・いつのまにぽよ!?」
「そういえば、第一巻でそんなのでてたね」
「メタいな・・・」
その正体は、浮遊する大地魔大陸だった
確か、これってざっ復習すると昔魔王軍の侵略に使われてまだ安全だった本土に多大な被害をだして
その後は、ピタリと死んでたかのようにテラーは降りてこなくなり
役目を終えて魔王軍が廃棄したものだと思われていた
それが。なんでここに?
いやそもそも、さっきミコちゃんが指さした場所はこの魔大陸だった
これに、ベルさんお友人がいるのか・・・?
僕たちが、呆気に取られてしばらく見ていたときのことだった
その魔大陸から誰か降りてくるのが確認できた
その男は、見た目は魔族の若者で青い髪と顔の赤い入れ墨が特徴の人だった
・・・あの容姿、どこかの教科書で見たことあるような・・・?
「よう、お前ら・・・ちょっと聞きたいんだけどいいか?」
「お前たちはベルのダチ公か?」
「・・・友達ですけど、あなたは?」
僕達は、怪しい人を見る目で一歩引いてそう答えた
男は、その僕たちの問いに安堵し表情を柔らかくした
「そうかなら問題ねえな、あいつにもしもの時は友達を助けてくれって約束したしな」
「おっと自己紹介がまだだったな」
「俺はロキ・エルド・・・魔王の息子だ」
ああー思い出した、確か10年前魔王の息子であるのにも関わらず
反旗を翻し、ベルさんの仲間になって世界を救った人の一人
元々は魔王を倒した後自分が世界を征服する予定だったとか
でもその後は、新たな魔王軍とテラーの出現もあって行方不明だとか噂されてたけど
それが、なぜ魔大陸から降りてきてたのか?
「魔王の息子・・・それがなんでここに?それに魔大陸は・・・」
「ああー、あれは俺たちの家はだよ、今は」
そういうと、ロキさんは上の魔大陸を指さした
あ、あれが、家・・・?
「元々は魔王軍の侵略兵器だったんだけどよ、俺様が分捕ったってわけだ」
「だけど予想以上に防衛が厚くて、とるのに数年くらいかかっちまった」
「それで魔大陸は数年の間静かだったんだー☆」
なるほど、そういうことだったのか
つまり、テラーの侵略兵器だった魔大陸が
ロキさんとその仲間たちが分捕るために戦闘を繰り返し
数年かけて、ようやく手にした自分たちの根城、家だということか・・・・
ロキさんは、僕たちから向きを変え
ヘイさんとウルルさんの方を見た
「・・・・で」
「ヘイのやろーと・・・・・・・・・・・・ねーちゃんも久しぶり、だな・・・・本当にな」
そういった、ロキさんの顔は本当に嬉しいのか泣きたいのいろいろな感情が混ざってかよくわかんない顔だった
「・・・久しぶりですねロキさん」
そしてヘイは、姉弟の再会に水を差してわならないと少し挨拶をして目だたないよう身を引いた
というかヘイは仲間だったときが最終局面だったときのこともあって、印象が悪く性格も相まって過去喧嘩していた
対して、ウルルは・・・
「・・・ロキ・・・・大きくなったねこんなに成長して・・・・」
ゆっくりと近づいて、ロキの体をがっちり抱いていた
その顔はほんとに嬉しそうで、泣きそうだった
「!?・・・・お、おい」
ロキさんはいきなり抱き着かれてかなり困惑していた
「お姉ちゃん心配だったんだよ、ロキが怪我してないかとかお腹すかせてないかとかいじめられて泣いてないかとかおねしょしてないか」
「うわーん、びえーん!」
いやもう泣いていた、まるで赤子のように泣き散らした
これじゃどっちが年下かわからない
10年くらいずっと会えなかった
その感情が一気にあふれてきて、止められなった
「俺はもう一人でも大丈夫だっての!恥ずかしいだろったく・・・ていうか最後の方はいつの話だよったく」
口では文句を言っているロキさんだけど
その顔は嬉しそうで、泣いていた
「お姉ちゃん・・・か」
グレーテルはそんな姉弟二人を見てそうつぶやいた
「・・・・・なあ兄様・・・私には姉がいたんだ・・・こんなときにごめん・・・でも言いたくなったんだ・・・・」
そしてぐるみちゃんも、そう周りに聞こえないよう僕だけにひっそりと小声で言った
「そっか・・・きっとぐるみちゃん自慢のお姉さんだったんでしょ?」
「ふ・・・・ああそうだ」
そうぐるみちゃんは懐かしそうに言った
それからしばらくたって、ようやく
新たにロキさんを加えた、メロンちゃん奪還作戦が決まった
作戦が決まって、みんな準備に取り掛かってるとき
僕はロキさんに聞いておきたいことがった
「一応聞いときますけど、もし僕たちが失敗したらどうするつもりですか?」
それを聞いたロキさんは、そばらく考えた後・・・
「そんときは、俺がこの町をいただいていく、文句ないな」
そういった
「はい、それを聞いて安心しました」
それは結局、自分たちが失敗してもロキさんたちがこの町を自分の配下に置く
それはつまり、最初から失敗することなど考えてないということだ
「じゃあ、そういうことで・・・」
「この作戦の隊長は66小隊の僕が努めます」
ベルさんはいない、僕が先頭にたつしかない
今までだったらこんな責任は避けていただろう
「みんな、いこう!反撃開始だ!」
僕たちの反撃の狼煙が上がった




