表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白いツバサ Fake imitations  作者: どら焼き☆い
第一章 始まりもせず、終わりもせず
4/82

第一章 第四話 「それはとても幸せな、一週間」

場所:羽ツバメの寮


「ここは…」

 着いたのは羽ツバメと門に書かれ孤児院だった。

「羽ツバメという児童養護施設です」

「…こんな時代ですから学生達のみんなが持ち回りで小さい子たちの面倒を見てるんです」

「今、幼稚園から帰った子供たちが中にいると思うんですけど…」

 と思ったけど、子供たちがこっちを発見したこっちから向かう必要はなさそうだ。

「あ!タローとオトミチャンだー」

「おっそーい、赤ちゃんお腹すいて泣いてるー」

「このひとだえ?よーたんとぐーみんは?」

 次々と出ててくる小学生から幼稚園さらに三歳児以下の子供たち。

「おお、帰ったかい忙しくていつもお浸しかよくて味噌汁くらいしか用意できなくてね助かるよ」


 現れた老齢の老婆はここの院長のレフリーさんだ。

院長だけじゃなく先に帰っている中学生も手伝っているが、それでも間に合わない。

昼の大人の職員達も勤務時間で帰っている。


「このくらいお安い御用ですよ」

「ごめごめん今要するから」

「今日は浩太の誕生日だからケーキだ!」

「「やったーー!」」

「あ、二人には子供たちの相手をお願いしますね」


 満面の笑の二人、…は、はめられた?。

「まさか…このために連れてきたんじゃないでしょうね」

「みんな紹介するね、66小隊の新メンバーでここのお手伝いなる、ベルさんと紫姫さんだよ」

 まだやるとは言ってないのだけど。

「気軽にパパママとか呼んでもいいって」

 え?。

「じゃああだ名はしっきーと電話な」

「よろちくおねがいします」

「あそぼー」

「そうかい、よろしくさん」

 年齢27と17だし、まあいいか☆と太郎と音海は思った。

「え?え?ちょ…ちょー!」

 状況をのみこめないままあっというまに子供たち囲まれる二人を意に介さず台所に向かう二人。


 取り残されてから早15分最初はどうしていいかわからなかったがだいぶ慣れてきた

気づいたら夜だ。

今は鬼ごっこや室内でできるサッカーやったりして、子供たちにサッカーのいろんな技術を教えてた。

「すげー、電話の兄ちゃんリフティング、ウメ―な」

「痛い!髪を引っ張るなーーー!」

 紫姫は女の子達のおままごとの相手をしていた、「突っ込み激しくてお姫様っぽくないー」とか「なかなかキスしてくない王子様」などなどダメ出しを食らって、あたふたしてた。

そしていたずら好きの男の子に髪を引っ張られてた。


「ちょっと男子ー」

「えーでもしっきーの髪もじゃもじゃしてるしー」

「まあ、いいじゃないか」

「つ、疲れたわ」


 今まで気を張り詰めた生活をしていたからこういうのは良いと思う、うん。

「ん…あれは?」

 施設の一角にこじんまりとした畑を見つけた、植えられてる植物に覚えがあるような

あの果物にはよくない思い出があることを思い出してしまった。


「あ、あれはねーメロン畑だよ、メロンちゃんの育てるメロンはすっごく美味しいんだよー、あそにいる子」

「綺麗な絵本を描いて、おいしいメロンを育ててくれてる子だよ」


 指さした方向には10歳くらいのメロンのうよな緑とところどころ白黄の髪の毛が混じってるロングヘアーの甘そうな女の子だ、隅っこで絵を描いていた。

自然と足運んで近づいていた。


「君もこっちに来て一緒に遊ぼう」

「あなたがパパ?ママ?」

「え?」


 どういう意味かと考えていたがその間に。

太郎と音海とレフリーさんそれと何人かの中学生が戻って来た。


「みんなー晩御飯できたよー」

「あ、ベルさんこの子はメロンちゃんっていってある女性がきて8年前に預かったんだけど、最初から親という存在を知らないんだよ、で会う人には聞いてるんだよね」

「僕いわく、メロンちゃんは不思議ちゃんだね」

「メロンちゃーん、今日からこの人たちがパパとママだよー」

「嘘、血がつながってないと家族じゃないって本で読んだ」

 俺は彼女に改めて向き合う、でもほっとけなかった。

「…………はは、じゃあ友達として頼むよ」

「……いいけど」


(私このメロンが好きだ、だってこんなにもたくさんの思い出くれたから…)


 気のせいかあのメロンという少女は、俺の知ってる女の人とよく似ていた、関係あるのかどうかはそれはこれから少しずつ聞いてこう。

何故か気になる子だ。


「それじゃあ、みんなちょっと遅くなったけど晩御飯を食べましょう」

「もーお腹ペコペコだよ」

 レフリーさんの「いただきます」に続いてみんなを「いただきます」をする

太郎やベルや男の子たちは次々とご飯を掻きこんでゆく、対して女性陣はサラダやデザート中心に食べていく。

とても、とても賑やかな食卓だ。


「ウメ―」

「あ、ケン君それあたしのー!」

「こら、ちゃんと座りなさい」

「音海さんまた少し太ったんじゃないの?」

「ほ~れ、ぷにぷに」

「な!ばばばばかー!エッチ!変態!気にしてるのにっー!」

 なんだろう、とても不思議な気持ちだ、自然と言葉が漏れていた。

「…おいしい」


 多分いや絶対、こんな賑やかな所持はいつ以来、ひさしぶりね。」

そんな事情を察してかレフリーさんは「いっぱい食べな」と笑顔で言ってくれた。

私は恥ずかしくなりながらもうなずいた。

「なあ、兄ちゃんたち明日もくるよな?…またサッカーやろうぜ」

「…ああ、もちろんだ」

「まあ、義務だし……ごはんもごちそうになったし」


 正直結婚も子供もいない私たちには荷が重すぎると思った。

でも…少なくともまた明日来ようと思った。


 羽ツバメの子供たちと別れを告げた後、4人は例のテラーとか犯罪者とかを取り締まる夜の見回りについてた。

「…あの子たち、みんないい子たちですのでこれからも仲良くしてあげてください」

 人の心の傷っていうのは漫画やアニメ見たいに簡単に解決したりしない。

物語の主役でもない自分たちがあの子たちを救うなんて。


「…ごめん、頼まれるのは無理かな」

「そうね、私たちが自分の意志で行きたいと思ったときにいくから、かしら」

「そうですか」


 それからもう少し歩いた、それでも別に良かった。

綺麗な星空をよそ眼にボーっと眺めていた。

今日は戦闘になるようなことはないと思われていたが。


突然公園の周りの木々がざわめきだした。

4人は驚いてとっさに身構えた


「警戒してください、近くにいます」

「レーダーだと砂場の方です」

「きゅぃぃぃぃぃぃぃぃ」


 言うやいなや、相手も気づかれたと思ったのか雄たけびを上げながら姿を現す

芋虫とポンデリングが刺さったみたいな姿の生物だった。

「あれは確かカラー側の動物図鑑にあった砂を操るっていうサンドワームの合成生物です、仕掛けてきます」


 サンドワームは魔法で砂場の砂を拳台に固めて弾丸にして撃ってきた。

二手に分かれてやり過ごして、ベルさんが反撃に距離を詰めて斬撃を振るう。

「本体に届かない」

 しかし切っても切っても砂が邪魔して本体を正確に捉えきれない。

「まったく、絡め手に弱いんだから」

 二人と紫姫がベルの傍によって水の魔法を放ち周りの砂を固めてフォローする。

「よし、これで」

 だが、サンドワームはポンデリングと合体したことで水を克服していた。

「え?足がとられて動けない?」

「砂だけじゃなく泥も操れるのか?!」

 4人の足場はドロドロ半固形物になった砂場に足をとられ思ったように身動きができない。

「これは絶対絶命のピンチってやつ?」

 太郎と音海は拳銃を取り出して撃つが砂の壁に阻まれ牽制にもならなかった。

「きゅぃいいいいいいい」

 牙を剥いて紫姫に襲いいかかるサンドワーム。


「…フレイムケルベロス」


 だが左から来た3つの犬の首を持つ炎の猟犬によってサンドワームは弾き飛ばされてしまった。

すんでの所で突然来た軍服の男のおかげでピンチを脱することができた。

でもこの人たしか、…そうだ今日食堂で新垣さんに伝えに来た人だ。

「伏せろ、そこの4人!」

 圧縮された風属性の魔力光が左手に?。

男が大掛かりな魔法を使役すると察知した僕たちは身を低くする。


「音叉」


キィイイイイイイン

 放たれた魔法は耳を刺激する音を出していた、これは音叉の音か?。

音叉から放たれる音と振動を増幅させあたりに広がってゆく。

「きゅ?…きゅ………きゅきゅぃぃぃぃぃぃぃぃ」

 音と振動の直撃を受けたサンドワームは苦しみもがき、地面で数回跳ねた後破裂した。

「…そうか音なら砂のバリアがあっても関係ない、音の振動で砂粒上の物は音の方向に指向性をもつからだ」

 つまり音で砂を無理やり吹き飛ばした。


「助けていただいてありがとうございます、あなたは…」

「礼には及ばない…こういうのは本来全部大人がやらなくちゃいけないんだ」

「俺は佐藤勝さとうかつっちゅう名前だ」


 改めてみると、180センチある筋肉質な体躯、長い間戦場で研ぎ澄まされた鋭い瞳。

おそらく戦いの中で、失ったであろう右腕の義手が見えた、多分もう後方組の人だろう。

きっと今回のような戦いを何度も経験してきたんだ、この人は強い。

「でも、どうしてここに軍属の人が?」

 本来だったらいつテラーの大規模侵攻があるかわからないから睡眠は重要任務だったりする。

「…ああ、実はな家にある高級な酒とたばこが恋しくなってな、軍の支給品とコンビニはダメだな全然酔えん」

 あーいるんだよね、量とか質が劣るから家に取りに行く人。

「じゃ頑張れよ、若者たち」

「はい、お体にはお気おつけて」

「はは、そうする」

「…ああそうだ話にには聞いていたがあの青年が伝説の勇者か」

「今、あの人俺の事勇者って…」

 今や町中で噂になってるといえ初見で分かる人などいるだろうか、他人の空似もあるのに

ほどなくして時間になったので俺と紫姫は二人と解散して聖都と蓮に泊めてもらった。


2日目


 本当は何日かに分けていろいろ紹介してくはずだったが、、昨日で全部終わってしまった。

今日からというか5日間は二人と部室以外で会うことはなかったりする。

「今日は特にないそうです、学生生活を楽しんできてね~、と生徒会長から」

「ぶちゃけ、もうやることないですから」

「昨日との落差が激しいわね」

「まあしいて言うなら5日後に羽ツバメで設立10周年記念のイベントがあるだけだね」

 そんな感じで今日初めての普通の日常が始まった。


ベルの場合


 ベルは職員室で小テストの答案を整理したり正誤をつけたりしてた。

「調子はどうっすか、コール先生」

「ああ、車田先生、やっぱり10年分現代の知識が難しいです」

「まだ本格的にやり始めて一日目ですから慣れないこともあるとあると思いますけどなんでも聞いてください」

「ああ、そうさせてもらうよ」


 この人は車田敦さん角刈りの頭が特徴で、俺の隣の席で新入りの俺にも気さくに話しかけてくれるいい人だ。

「そういうことは少しでも生徒の非行を減らしてからいうんだな」

「飛鳥先生そりゃないっすよ」


 そしてこの人は左隣の飛鳥恵さん黒髪短髪のかっこいい女性だだ、男勝りな口調とは裏腹に絶対に生徒を見捨てない、誰よりも生徒思いの先生らしい。

「コールさんも車田先生のように突っ走るだけでなく、冷静にな」

「はは肝に銘じときます、…あもう時間なのでいきますね」


 俺が扉を閉めて後も車田先生と飛鳥先生の話はヒートアップしてるようだけど放っておこう。

ほどなくして一日の勤務を終えて、後をどうするか考えて考えていた。

前から歩いてくる狛犬君と風魔君と鳳凰君、それともう一人種族はオークの矢沢・ユウという人がいた。

高等部三年生の彼は通常のオークより生まれつき体が弱くいじめられっ子のオークでオーク族の恥さらしとして爪弾きものにされてたらしい。

それにベジタリアン気味で、争いを好まない温厚な性格で戦いも得意じゃないらしい。

そんな頼りない彼だけど、形式的には漫画研究部の部長になっている。

ジャンルはアイドルオタクを専門にしてるけどその知識は幅広く、部員には頼れる兄貴と慕われてる。


「あ、ちょうどいいところにいました」

「オタクだったベルさんならこのゲームをクリアできるんじゃないかと話してたんです、これは黎明期に作られた作られた「ハートをグサリ!勇者ご令嬢があいつらを狙い撃ち!」っていう小説派生のゲームです」

 そういえば風魔君はゲームが好きだっていてったな、それを思い出したら急にやりたくなってきた。

「……ああこれか、それなら俺に任せてくれないか」

 確かこれは30年前の派手なグラフッィクなどない簡素な横スクロールシューティングだ。

腕が衰えていないか心配したが、やっている間は少年に戻ったかのよに楽しく遊んだ。

三人はその凄腕に見入っていた。

「すごい、あっという間クリアしてしまいましたよ」

「俺はこのゲームであなたに勝ちたい…フレンドの申請を頼みたい」

「僕たちもゲーム好きなんですから、師匠と呼びますよ」

「ああ、もちろんだ」

 こういう映像ゲームは異世界になかったからほんと新鮮で久しぶりだ。

今日だけで、特にゲーム友達の親友がたくさんできた、今は恵めてるな俺の学生の頃はボッチだったなぁ…。


紫姫の場合


 ここはる三年生の教室だ、今は昼休みだ。

「紫姫さんちょっといい?」

「…まあ、何か?」

「いや、せっかく同じクラスだから全員と仲良くするのが信条なんだよねー私」

「席隣いい?」

「私は小木玲おぎれいこっちは未島朝子みしまあさこだよ、よろしくね」

「勉強すごいできるね、家庭教師?」


 彼女らは前の席と後ろの席の小木玲と未島朝子だ。

小木玲はセミロングの一つ結びで結んだ髪を型より前にだしてる、サバサバした女子と。

もう一人の未島朝子はショートウェーブの髪型が特徴のゆるフワ系っぱい。

紫姫適当にやり過ごすことにした。

「まあ、ずっと暇だから本を読むのは趣味ね」

「へーえ」

「で、やっぱ女の子といったら恋愛トークでしょ、紫姫さんはいるの恋人?」

「いないけど…今まで一度も恋人なんていたことない」

 正確にいえば、あの人の一部の行動にときどき顔が熱くなって動悸がしたりするけどそれを恋と呼ぶのかはわからなった、本を読むだけじゃいまいちわからないものの一つだった。

それに男性という存在が今までその一人しか知らないから。

「え?今まで一度も恋をしたことないの?」

「あちゃー、人生の三割は損してるよ」

 意外と低いわね。

「特にあのコール・ベルダットっていう人とか、いつも一緒にいるじゃん?」

「みんな、あの二人はデキてるっていってんだけどなー」

「あれは違うわよ、そういいうのじゃないく…腐れ縁というか!私なんてせいぜい嫌味な悪役令嬢とかだし!」

 顔は紅潮して、完全に身振り手振りがおかしくなってしまってる。

ああもう、私は何やってるの?これじゃいろいろバレバレじゃない!。

二人はしばらくあっけにとられていたが、そんな紫姫を察してか。

「そう?ま、困った事あったら遠慮せずなんでも聞いてね、…特に恋バナとか」

 私は友達も恋愛も興味がない…と言ったら嘘だ、本で読んで気になるからだ。

「そうね…、じゃあ少しは頼りにしてあげるわ」

「なんだなんだ、素直じゃないぞーそんな事言う子はお姉さんがこうしてやる~」

 予期せぬの脇腹こちょこちょ攻撃によっていままで保ってた面が剥がれ落ちてしまった。

「きゃ?…やめ…やめろ……あははははははははhh」

 適当にやり過ごすはずがすっかりペースにはめられてしまった。

まだ友達と決まったわけでわないが、彼女は良い人それはわかった。


「一緒にスイーツバイキングとアニャメイトいかない?」

 授業の終わった放課後ベンチに座ってたらいきなりそう言われた。

大空音海とロボ子と朱雀棘が隣に座って来た。

「え?ちょっと…まだ行くとはいってないわよ!?」

 いきなり四肢をがっちりホールドされ連行された。

「さーいこうー」


「ハイ、標的はズバリアマアマスイーツとウスイホンデス」

 連行されほどなくしてたどり着いたのは一件のスイーツカフエだった。

「はい!紫姫さん今日は私たちのおごりだからじゃんじゃん食べてね」

 そして次々と(三人が)注文して並べられていくスイーツ類。

「それにこの「パフエ」とかいう食べ物?…量が多すぎ…スイーツ地獄かしら?」

 そしてそしてクリームソーダやアイスやチョコ果物をこれでもかと盛りまくったパフェ。

「もー、そこがいいんですよー別腹ですよ別腹」

「ていうかスイーツ地獄とか面白い例えシマスネ」

 ていうか朱雀棘だけ肉食べてるし。

「やっぱ、やっはむひむいひはるのはにふはよねえ(やっぱムキムキになるのには肉だよね)」

 アイスクリーム・創作ケーキ・チョコレートフォンヂュ・ゼリージュレ・白玉。

などなど30分ほどおしゃべりをしながらこれでもかとくらい味わった。

良くそんなに食べるわね。

「さ、次はアニャメイトですよ」

 え?待てぇお腹がぁタプタプよぉ。


 しばらくして着いたのが一件の様々なオタクグッズを扱うアニャメイトという本屋だ。

「これは同人誌という企業に属さない一般の人が書いた本のことをいうんです」

「いわゆる漫画雑誌でいう編集の人がいないから自由な発想でつられてます」

「漫画だけじゃなく『評論・情報』のレトルトカレーの研究とありますデス、そこまでいくとコミケにしかないですけど」

「へ~え」

 ざっと見ていて歩いていたが足が止まった紫姫の見てる方向。

「もしかしてこれが気になるんですか?」

 見ていたのは、中高生向けの少女漫画コーナーだった。

「その…私活字と挿絵の本しか読んだことないから……………………………」

「わわ、悪い!!!」

 三人の沈黙に耐え切れず思わず持っていた漫画を床に投げつけてしまった。

まずい……二重の意味で。

はたから見たら完全な逆切れだったが、許さなかった年上としてのプライドが。


「ううん、むしろ紫姫さんも女の子なんだなあって親近感わいちゃった」

「イエ、百合やおい本の参考になりましタ」

 正直嫌われると思った、三人はは落ちた本を拾って店員に軽く謝った。

私はこの子たちとの接し方をもう少し変えてもいいと思った…でもかってに本の中の登場人物にされてるような気がするわ。

「良ければオヌヌメを紹介しますよ~」

「漫画だけじゃなくライトノベルやゲーム、乙女系の転生物もありますよ!」

 紹介してる音海はとても楽しそうだった、本当に好きだからできる表情だと思った。

「そうだ!じゃあ棘ちゃんと一緒に乙女系デビューしていきましょう、初めてどうし」

そしてその朱雀棘は隣でずっと表紙やあらすじやパラパラめくっては頭に?マークを浮かべながら物色している

「今棘ちゃんは少女漫画修行中なんだ」

「うん僕、ご主人様から毎回「もうちょっと女の子らしい振る舞いとか服」とかたくっさん言われてるからこうして修行をしてるんだ」

「ソシテこれまで38回の失敗してマス」

 修行とかそんな仰々しいものだったかしら少女漫画って…。

「うーん、もっとこうバーンとかドーンとか迫力のある少年漫画の方が好きだ」

「別に焦る必要はないじゃない、あなたにはあなたの向き不向きがあるわよ」

 その一言が嬉しかったのかしばらく無言だったが、紫姫の手を取って。

「はっ!……ベルさん!これから一緒に少女漫画を読む特訓をしていきましょう!」

「は?…え?…ええっ…そうね!」

 あらかた買い物した私たちは帰路につた。

「ロボ子ちゃん沢山目当てのもの買えたね」

「紫姫さんも今日はありがとうね、半日突き合わせて」

「別に気にしてないわ」

 こうして奇妙な師弟関係ができ、意図せず朝の聖都と蓮の言っていた他の生徒との親睦?を深めることに成功した。

女って疲れる生き物ね…でも…まあ楽しかったわ。


三日目


 今日はベルと紫姫抜きの第一分隊だけでの見回りだ。

今、数体の下級テラーと交戦中だったりする。

集団や群れの特徴のある犬みたいな動物だったので匂いや大きな音をだして散らして各個撃破していた。

「これで終わりっ!」

 そしてよーちゃんが最後の一体を倒した。

「終わったー、なんか最近多いね」

「そういうこというとフラグになっちゃうよ」

 でも確かにこの前のサンドワームなんてはぐれ上級くらいの強さだったような…気のせいだなうん。

「きゃー!」

 考えてる内に近くで誰かの悲鳴が聞こえた、でもこのこの声は確か聞き覚えがある。

「一匹残ってたか!」

 一人の少女が先ほど犬型テラーが襲われた。

「っ…仮止め…!」

 ぐるみの放った巨大待ち針を四肢に受けた犬型テラー。

動きを封じられた犬型テラーは太郎と音海の拳銃弾4発を受け絶命した。

ひと段落したとこで少女の方を向く、やっぱりメロンちゃんだ。


「やっぱりメロンちゃんどうしてここに?」

「……ん…呼ばれた…」

「誰に?」

「…わからない………・ごめんなさい」


 ただそう言ってメロンちゃんは首を横に振るだけだった。

これ以上聞いても仕方ないか、無事だからいいか。


「おなかすいた……・久々に高等部限定の購買のメロンパン食べたい……」

「あっ!…・思い出した明日のデザートの材料ケンタが食べちゃて内緒で買いに来たんだ……」

「なんだ~……でも夜は危ないからもうしないようにな」

「もーう、食いしん坊さん☆」

「……よーこに、言われたくない」

「あはは☆、メロンパン食べたくなったなー、ねっぐるみちゃん?」

「……メロンパンはぐるみも好きだな」

 一抹の謎を残したが、大事にならずよかった後でレフリーさんのお説教が心配だけど。

「綺麗な音だね、誰が演奏してるんだろ」


 帰る途中、とても素敵なバイオリンの音を聞いたクラシック調の曲だった…だけど少しどこか悲しくて無機質に感じがした。


四日目


 ベルと紫姫の二人は食堂で食事をとっていた。

「んーおいしいなコレ、平和だ…」

「そうね…すっかり馴染んでしまったわ、ベルー、コレ私嫌い」

 私はどうしても食べれえない苦くて納豆を皿の隅っこに避けた。

「好き嫌いは良くないぞ」

 ベルはすかさず避けた納豆を皿に戻した。

「いらないっていてるでしょ!」

「そんなだから背が伸びないいんだぞ」

 教育者として至極まっとうな意見だしてんじゃないわよ!。

何やってるんだこいつらという周りからの視線をよそに納豆の押し付け合いを始めた。


パリ―――ン


 そんな二人のにらみ合いが大きな物音がおきたこで中断を余儀なくされた

突如誰かが二人窓を割って食堂に入って来たのだ。


「ぎりぎりセーフだねー、75点かなー?」

「ギリで最後の一個があるはず……いっとおくが陽子…窓直せよ…しらんぞ」

 黒衣陽子と古着ぐるみの二人だった、ブーンのポーズというべきか。

陽子は腕を両手に広げて手は飛行機でも表してるかのように90度上にあげたポーズをとって。

「大丈夫ー、こうやって直しちゃえばいんんだよー」


 そう言った、それと同時に砕け散った窓ガラスが空中に浮かび割れた窓を埋めていく。

あっという間に「完全」というわけではないが窓はその有様を取り戻した。

全体としていわゆる西洋や異世界のモザイクガラスのようなことになっていることを除いてだが。

「あっ、ベルベルとシッキ―だー」

「はっ…これは私の大好物のだこれ食べていいー?」

 こういう時紫姫は迷わず自分の嫌いな食べ物を他人に押し付ける奴だ。

だが指さしたものは先ほどの押し付け合いでうっかり地面に落としてしまったものだった。


「いや…それは地面に落ちた食べ物」

「あはは、だめだめ絶対食欲が止まらないからー」

「満たされるー」


 一応注意を促したがそんなことは気にせずひょいひょい口に放り込んで食べた、そんなにお腹がすいていたのか?いや普通だったらそもそも埃や汚くて食べない。


「ま、まあとりあえずこんちには黒衣さん古木さん、どうしてここに?」

「こんちはー」

「陽子は置いといてだそれはだな…実はな…」

「陽子ちゃんとぐるみちゃんじゃない久しぶり、特にぐるみちゃんは」


 そういって現れたのはこの食堂の三十代の従業員の大田育江おおたいくえだ、女手一つで育てた三児の児の母で明るくてだれとでも仲がいい食堂の肝っ玉母さんだ。


「あ、おばちゃんこんばんはー」

「…おばちゃんメロンパンを買いに来た期間限定の奴…羽ツバメの子が食べたいから」

 ああ、なるほどメロンパンを買いにきたのかそれも確か期間限定で高等部ににしか売ってないレアなものだって車田先生から聞いたな。

「あいよメロンパンねちょっとまってね、ありゃさっきまで一個あったんだけど売れちまったねうーん」

「裏にないかみてくるよ」

 育子さんが裏の方をみにいったので俺は聞きたいことを聞くことにした。

「そういえば窓から入る必要はあったのか?」

「ああ、それな……こいつが道中の猫や犬と遊んでパンの売れ頃に間に合わなかったんだ」

「ぐるみんだって寝坊したくせにー」

「仲いいんだね」

「…ちっ、こいつに付き合わされてるだけだ」


そうしてまた二人の口論が始まるが、俺達二人には仲がいい姉妹にか見えなかった。

自己紹介の時気づかなかったけど、こういう一面もあるんだな。

だが黒衣陽子と古着ぐるみの二人を見る周りの生徒の目は違った。


「おいあいつってあの自殺に追い込んだていう気味悪いぬいぐるみの古木じゃね」

「はっ聞いたか?このまえなんて黒衣が笑いながらバットで学校の窓ガラス大量に割ったそうだぞ、バラバラの人形とかさ、ゴミ箱あさって喰ってたり」

「私見たのよ、キモイ禿げデブおやじとホテルに入ってるの、それにリスカの跡とか」

「あんな奴とつるんでる狛犬太郎と大空音海って頭おかしいんじゃないの?」

 私はこの二人のこと良く知らないし噂が真実かもわからない、いやむしろ部外者の私からみても憶測に過ぎないのにどうしてそんんなことがいえるのかしら、何故か腹立たしかった。

言いたいことがあるのなら口で直接追えばいいのに陰でこそこそしかいえないのかしら、なんか嫌な感じ。


「……メロンパンはあきらめよか」

「……」

 彼女達はあれだけ言われてるにも関わらずまるで怒りも悲しみもない表情で食堂からでていこうとする。


「まってくれ!俺たちので良ければどうかな…」

 いってもたてっもいられず俺は立ち去ろうとする二人を呼び止めた、確か紫姫がバックに商品を見ず適当に買ったパンの中にあったはずだ。

「わあ…ありがとうー!」

 良かった、彼女はさっきのような笑顔でお礼をいった。

「私、ベルベルもシッキ―も大好きよ、だって私達を見て普通に話せるなんてー」

 そう、屈託ない本当にただの女の子の笑顔で。


「黒衣さんがそんなことしない普通の女の子だと思ったからだよ、直観で」

「気にする方がどうか気にしてるわ、いまさら黒衣さんが怖いと思わないのよね」

「あはは、主人公っぽいー、でもうれしー」


 でも当たりだけど外れかなー、ふふっ。


 そうこうしてるうちに遠くに太郎と音海の姿が見えた。

「あっダーリンだー!じゃあねー」

「…兄様」

「やっぱ、羽ツバメの子たちにいいとこ見せようとして先走ってる」

「よーちゃん、みんなっで行こうっていったのに」

「だってー並んでたら蹴散らして買えばいいと思ってるもん」

「古木さんありがとうね、黒衣さんがなにかやらかさないか心配でついていったんでしょ?」

「ん…そんなことはないぞ……たまたまだ……でももっと褒めてもいいんだぞ」


 女子二人に両腕をがっちちりホールドされた太郎たち一向はその場をあとにした。

こうして一部分だけを切り取ってみたら普通の女の子なのにね、まだまだあいつらのこと全然わからないけど。

羽ツバメの子たちの思っての行動、そもそもが悪評と矛盾してる。

初日は警戒してたたけど仲間として友達として近づいてもいい気がした。

ちなみに二人は窓のことで後で普通に怒られたらしい。


6日目


 今日もいつもど通り羽ツバメの子供たちと遊ぶ。

他に太郎と音海、第二分隊全員が来ている。

「しゅーとおー!」

「今のは良いシュートだったぞ、次はもうちょっと回転をかけてみようか!」

「へへっ、そうだろ?昔お父さんに教えてもらったんだぜ」

 ベルはやんちゃな男の子たちとPK対決をして遊んでいた、今度他のスポーツも勉強するかな。

自由工作発表会も楽しんで作っているが、やっぱり男の子はスポーツして外で遊ぶのがすきなんだなあ。

「見てみてーコレ私が書いた絵、こんどみんなに見てもらうんだ」

「虹色の ブタ異世界にもいないわよこんなの…・でそれでこれは…何かしら?ミミズ?」

 紫姫は男女の年齢の小さい子たちにプチ発表改会になってた。

小さな子供の独特なセンスって感想に困るものばかりなのよね…。

「うんこ」

「男の子って、そういいうの好きよね…」

 はあやれやれ、私がお手本に描くししかなそうね。

それとあっちでは鳳凰たち第2分隊のメンバーが一緒に子供と遊んでた。


「ねーねー、鳳の兄ちゃんさー腕が「ムキッ」ってなるやつやってよー」

「え?………・はあ、仕方ないなあ、今回だけだからね」

 といっても、毎回断れずやっちゃうんだけどね。

そうこうしてる間にヒーローごっこが好きな俊太が棘ちゃんの膝小僧めがけて蹴りをいれようとしてた

言おうと思ったけど…間に合わないか。


「いばらー、おらっ隙ありキック」

「いっったああああ!、俊太よくもやってくれたなあ!お返しだー必殺…パロ・スペシャルーーー!」

「ぎゃややああああ、ギブ…ギブ!」

「あらあらうふふ、やりすぎてはいけませんよ棘ちゃん」

「わーい、ユウ君のお腹プニプニ」

「僕達オークは慢性的な肥満体質だからね」


 男の子ってプロレスごっこも好きよねー鳳君と棘さんのとこを賑やかなことになってるわね。

というか、確か初日メイド長だかいってた冴子とかいう人、とても中学生には見えないわね。

そして半日勤務だった鈴木則子さんがこっち来るのが見えた。

則子さんにないついてる「ちいちゃん」って子が急いで駆けつけようとするが。


「みんな~」

「髪引っ張らないでよ!」

「野豚のくせに生意気だぞ!」

「あっのりこおねえちゃん!……あう!」

 だがタイミングがわるかった運が悪く喧嘩してた亮後とノノって子の肘があ当たり水たまりに転倒してしまった。

「!大丈夫ちいちゃん!今行くからね……あん!」


 あ~、なんでちいちゃんはともかく二人して転んでるのよ。

私はちいちゃんの傍に駆け寄って泥を拭いてあげた

「ほら、もうドロドロじゃない髪は女の命なんだから手入れはしかっりね、好きな人ができた時のためにも」

 ベルも逃げようとした喧嘩してた二人を捕まえてお説教を食らわせている。

「コラッ、浩太も佑人も喧嘩するのはいいけど暴力はだけは振るうなって言っただろう、殴られたら痛いだろう?」

「ほら悪いことしたらなんていうんだけ」

「「ごめんなさい……ママ(パパ)」」

「あ…」


 恐らく、それが良い思い出か悪い思い出かわかない、両親がいたときの状況と似たいたせいだろう。

反射的に言ってしまったのだろう。

いわば私たちはあって一周闇の他人だいきなりそんなことを言われれば普通の反応だったら他人のこを進んで親になろうとしない。

だけれども、私たちの答えはそうじゃなかった。


「別にいいわよ……代わり…にしかならないけど好きなだけよびなさい」

「ああ、気にするな」

「いいの?……・えへへ」

「丸く納まっ待ってよかったわ~みんな、仲良しが一番よ」

「いや、則子さんあなたなにもしてないから」

 隣で話を聞いてた音海さんが突っ込んだ。

「はあ、またやっちゃった、私はちょっとレフリーさんとお話ししてくるからちょっと待ってねみんな」


「みなさん、おやつ…できました」

「新垣さん、…元気になってよかったです」

「うん、いつまでも落ち込んでいられないもの」


 新垣瑞樹あらがきみずき…確かこの前食堂の子か、今は見ての通り羽ツバメの手伝いらしい。

あれから立ち直ったのかしらね、ちょっと早すぎる気がするかもしれないだろうか…?。


「同じクラスメイトだもん」


 正直直接喋ったことも少ないけど、アニメの主役みたいな一発で解決っていう魔法の言葉もない

やれることをやっていこう。


「僕達、日直とか行事とか見回りとかも調子悪い時はカバーするよ」

「ありがとう、もう大丈夫お父さんの形見が私を励ましてくれてるから…」

 そのような会話をしながら作り終えたおやつをもっていこうとするけど。

メロンンちゃんが、自信満々で待ち構えてた。

「自信作………むふぅー」

「あ、メロンちゃんその絵良く描けてるじゃない、なんか優しい気持ちがこってる」

「メロン畑…か」

 メロン畑の絵だ、へ~え元の異世界の村を参考モデルにしてるのか。

私はメロンちゃんと同じ目線にしゃがんで頭をなでた、隣の太郎君も紫姫さんも微笑んでる、ベルさんも。

「ん…ありがと」

 自信満々で来た割に照れるんかい!可愛いから許す。

「あ!二人にはいってなかったですけど明日の、来場した人の投票で誰が一番になるか競ってるんですよ」

「「うん、そうなんだよ明日楽しみ!」」

 嬉しそうに笑う、そんな笑顔を私たちは愛おしく思った。

思えば、俺は異世界に召喚される前は親は海外出張とかいうお約束のパターンで「家族」ってやつに無縁だった。

紫姫だってそうだ、気づいたら「そこにいた」存在だ。


「紫姫…俺さ」

「言わなくてもわかってるわよ、ふふ」


 ここは榊原兄妹の家で屋敷だ、相変わらず無駄に大きい。

正門にはデカデカと榊原家と書かれていた。

今までの6日間はここのゲストルームの一室に泊めてもらっていた。

元々アパートでも探して、一週間で出ていく予定だったが。


「俺達決めたよ俺達の明後日からの宿泊の場所、羽ツバメに」

「そーいうわけだから今日であんたたちとはおさらばよ!までもレフリーさんが良いって言ったらだけど」

「そーか、さみしくなるなあまあ止めはしないさ」

「その選択があなた達にとって良き選択であると信じましょう」

何よ、仰々しいわね

「よし、今日は最後だしなお祝いに、爺や婆や最高級の子供ビールを」

「でそちらの客人は」

「ああ紹介するよ、彼女は」

「私はベルカノン…ふふ、ただの傍観者よ……特に用わないわ、見に来ただけアジェスティアと同じ存在を」


そして七日目の日曜日の朝が来た

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ