第三章 第四話 「紅白対抗騎馬戦・前半」
そして運動文化祭当日生徒による宣誓と
校長先生の眠たくなるような長い話を聞いて
校長先生の合図でラジオ体操をしっかり行い体を整えた後やっと一種目が始まる
僕たち66小隊はスタート位置について、自分たちの出番を待つ
「まずは走って体を温めましょう、町内リレーです!」
一種目は町内リレー
ルールは簡単、小隊内で各自町内に決められたスタート時点からリレー形式で順位を競う種目だ
ただ・・・そのコース縛りが緩くて地面に足がついてればOKという適当ぶりだった
つまり・・・例えば民家の屋根を走ったりビルの間を飛んだり手すりを飛び越えたりしてもいいということだ
各小隊から学年ごとに代表一~二人が出場する仕組みになっていて
現在一位は姫ちゃんとこの選君と緑花ちゃんだった
二人はパルクールばりの動きでぐんぐん進んでいった
そして二位は十字君と神柄さんだ
僕たち66小隊はというと斬君とロボ子ちゃん、棘ちゃんが出場してて現在順位は真ん中ちょっと下あたりだ
勉強でも戦闘でもだいたいこの順位がいつものパターンだった
グレーテルさん達グランフォード学園からはジャグラーさんとガルムさんが出場して現在三位
だいたいそんな感じで進んでいき、そのまま順位の変動はなくゴールした
待機列では昇利が旗係をしていた
「やるじゃねえかお前ら二人とも、ま俺ほどじゃねえけど」
「よった!昇利先輩見てました?悪いわね選一位はもらったわ」
「くっそーあとちょっとだったのにな、直線なら負けねえんだけどやっぱ体の小回りは緑花が上だな」
「ジャグラーの奴に負けちまったか、まいい汗かいたからいいけど」
「ぜえぜえ・・・つーかガルム、白いツバサ?って本からのあの二人の身体能力すげーな全然追いつけなかったぜ」
「斬君ロボ子ちゃんおつかれー」
「ハイ疲れましたデス、やっぱ冬はオイルを柔らかいのデスよね」
各々が盛り上がる一方で、十字と神柄の二人はこの体育文化祭事態に冷めた心と視線をしていた
「・・・この後何が起きるかも知らずに気楽な奴らだ」
「音也君・・・その・・・もうちょっと学生生活を楽しんでもいいんじゃないか?」
「どうして?・・・・・俺たちがそんなことしても・・・・意味はなくなる」
「っ!・・・そうだよねっ・・・・・ごめんね変なこといって」
第一種目の熱気も冷めやまないまま、すぐに二つ目の競技が始まった
「そして第2種目は、借り物競争だああああ!」
この借り物競争は、事前に生徒が書いた借り物の紙を箱の中に入れてランダムで引くシンプルな種目
そうしてる間に自分たちのの順番が回ってきた
今回は紫姫さんがでるらしい
「俺は自分と同じ他人の武器だった、紫姫は?」
だけどお題の書かれた紙を見た紫姫さんはそれを見た瞬間固まって動かなくなってしまった
「こ、・・・こここ好きなひっ!」
そして声にならない唸り声をあげた
ああ、あの反応は
まあ・・・何となく予想はつくけど
「ちょっときて」
「え?いきなり・・・ちょ」
「いいから・・・!さっっさとこい!」
次に来たのは希歳&琥珀ペアだった
「音楽プレーヤーと・・・・・お札?」
なあちゃんと私が手にしたお題は音楽プレーヤーとお札だった
ええ・・音楽プレーヤーはともかくお札って誰が持ってるんだろ・・・
そういえば・・・
「えーと、十字君と神柄さんの持ってるもの貸してほしいな」
確か、二人が普段日常でそのようなものを持ってたことを思い出した
「・・・別にいい、ほら」
良かった・・・あまり話したことなかったし何か避けられてるみたいだったから緊張したけど
予想とは違って普通の対応だったな
「うん、ありがとうなの!」
「用は済んだろ」
「あ・・・」
そういうと二人はさっさと行ってしまった
そして陽神門ミコと酢桃の二人も紙を見て探し始めていた
「校長先生と国旗・・・だって、意外と簡単でしたね酢桃さん」
「らくしょーアル」
先ほどよりはわかりやすいので、多分校長室や職員室に国旗共々あると考えられるので
そこまで走っていった
そのほかにも鳳凰君のメイドの二人のライラちゃんと卯月ちゃんが鳳凰君を拉致ってきたり
「絵具の画材とこう神々しい人間ですって、絵具は卯月ちゃんがもってるしこれはご主人様を借りるに他なりませんわ!」
ぐるみちゃんが即席で借り物をその場で作ってしまうという芸当も見せた(それはルール的にどうなんだろう)
「インディアンの衣装だと・・・・簡単だな・・・・こうしてこうしてこうだ!」
「やはり他人からモノを借りるなど・・・・面倒なだけだ・・・・時代はオーダーメイドだ」
中にはへんてこなもなや無茶ものまで混ざってたので
みんなてんやわんやの大盛り上がりだった
「盛り上がってますね理久君、そういえば生徒会が参加した場合のお題の紙も用意してあるんですよね?」
「そうだねちょっと見てみようかどれどれ・・・尊敬する人・・・!?・・・つまり!」
「生徒会長と副会長・・・・・・・・・・・・・・」
「「・・・」」
「借りれるわけ・・・ないだろおおおおおお!」
佐野理久の悲痛な叫びが大会本部テントからこだまする中で、次の競技に移った
「しょっぱなから盛り上げてくれた生徒達に感謝し、三種目は障害物競争です!」
三種目目は障害物競争、まあ・・・この学校のことだからただの障害物競争なわけなく
「アンパン美味しいなー☆」もぐもぐ
一メートルあるあんぱんを吊り下げられた空中でキャッチし走らなくちゃいけなかったとか
「縄とかスライムとか混ざって動けないし気持ち悪いんですけどー!」
軟体動物とか白くべたつくケフィアとかいろんなものが混ざった網くぐりとか
「小麦粉は口に入り込んでくるぽよ~」
プールに小麦粉を敷き詰めてそこから飴玉を見つける障害もあった
*使われた小麦粉は学校が調理してみなさんに美味しく頂かれました
その後も次々と運動会は盛り上がっていき
「次は平均台を応用しまくった焼き鉄骨渡り・・・!」
焼いた鉄骨を平均台感覚で渡らされるやつや
「大蛇飛びぃ!」
大蛇を使った大縄跳びとか
「三種目は弾入れです」
魔法で作った魔法弾を使った弾入れなんかあった
これが奥の深い競技で
なにせ、玉に使うのは自信の魔法力だから外しすぎたり序盤で使いすぎると立ちいかなくなってしまうのだ
でも赤組には愛熊さんと教師陣が、白組にはベルさんが飛び入りで参加したので
大いに盛り上がった
「ふん、使えそうな果実をざっとコピーしておいた」
「こっちのチームは大量に魔法玉作れるぞ」
こうやっていろいろ体だけでなく頭を使ってやっていく内に
一日目最後の競技で最大の目玉イベントが始まろうとしていた
「そして最後の運動文化祭初日の目玉イベント!・・・紅白師団規模対抗騎馬戦だあああ!」
紅白師団規模対抗騎馬戦とは、学園の全生徒が赤組と白組に分かれて戦うこの一日目のメイン種目だ
赤組には榊原兄妹((どうせどこかでさぼってるだろうけど)と愛熊帝人
白組にはベルさんと紫姫さんが参加してるので今年は一方的な勝負にならず見ごたえがあると
生徒達も盛り上がっている
しかも、この紅白師団規模対抗騎馬戦の会場がちょっと豪華なのだ
小島を一つ借りて、それを実践形式の戦場と仮定として騎馬戦が行われるのだ
内容としては、旧暦以前の騎馬戦とは少し違いがある
昔は三人で組んだもの馬に見たててその上騎手が乗り騎馬を組んでお互いのタスキや帽子を奪い合う競技だったが
まず、奪い合うのはタスキや帽子ではなく、お互いの陣地にある騎馬そのものである
そして現在は、馬役は先ほどレースで使用されたコケトリ―という騎馬に乗って小隊長一人が乗って
騎馬が落とされた小隊はその場で場外に移される
他の隊員はその護衛役である
つまりだ、 要は騎馬を普段私たちが守ってる人たち民間人を護衛と見立ててるのだ
「みなさん位置に付いたようですね」
「それではああぁ・・・・・」
「スタートォ!」
先生の合図と共に島のランダムな位置に待機していた生徒たちがスタート位置から、相手の陣地もとい騎馬を奪うため勢いよく走っていった
「それで理久殿、作戦はあるのですか?」
「ああ、ばっちり用意してある赤組のみんなにももう伝えてあるよ」
両軍の戦力の中核を頭の中で整理する
「まずこっちには愛熊さんや会長達とかあの二人以外の十数人の教師陣と中等部二年生一位の申し分ない戦力いるが」
こっちの赤組は俺たち生徒会や愛熊さんらグランフォード学園の助っと教師の人達
十字君と神柄さんという中等部二年生一位の実力を持つ子もいる
そして赤組のリーダーとなる司令塔は俺だ
そして指揮官を落とすとポイントが多く入る
「相手はコール・ベルダットに教師の中でも強い飛鳥先生と車田先生がいる、正面からじゃ消耗するだけだ」
対する白組は、元勇者のコール・ベルダットさんと彼が所属してる66小隊、結締さんたち風紀委員のメンバーと高等部三年生でも上位の実力をもつ人達があちら側にいる
そして飛鳥先生と車田先生
あちら側のリーダーは茶道部主将道上蓮華となっていた
道上さんは66小隊の人と仲がいいと聞くし
実際はベルダットさんたちと相談しながら作戦を立てているに違いない
これは意外と厄介なことで、一人だったら事前の情報をもとに性格なのである程度相手の考えてることが分かるが
複数の人間の考えを予想するのは非常に困難だ
「まずは基本中の基本分断してみんなで囲んで叩く」
だけど、人間は集まれば集まるほど平均的な答えになるということもある
まずは碇石通りの行動を考えていくことを土台にする
その一方で白組の狛犬たちも佐野と同じように相手の考えを予想していた
「相手は分断してみんなで囲んで叩くって考えるだろうね」
「だったらまずは分断されないよう固まって動こう」
だけど、佐野は先の先を読んで考えていた
「でもそれはまず対策してくるだろう、だから」
「相手の奥の手を読んでさらに先を読まなくちゃいけない、例えばのプランAだけど・・」
すでに戦闘は始まっていて、島のあちこち散発的な戦闘が行われていた
「正直、こっちはベルさん以外の戦力には天と地ほどの差がある」
「だからデカいいっぱつをドーンと狙おう、いつもの僕たちらしく」
「あ、でもさっそく各個撃破されてるますよ・・・狛犬先輩達」
端末の画面上に繰り返されるLOSTの文字が止まらない
それもそのはず、先ほど言った戦力差もそうだが
どうやら徹底した二対一
護衛には目もくれず騎馬から落とすこと
戦いの基本とお手本が詰まってるようだった
「姫ちゃんたちには作戦の中核を担ってもらうけど準備は良い?」
音海さん問いに姫乃は自信満々でこう答えた
「全然OKです戦力差のある状況・・・こういう状況は慣れてます」
「頼もしい限り」
きっと姫ちゃんたちのその言葉はマギクスではよくある状況なのだろう
「まず先行組はただやられたわけじゃないよ罠とかカメラとか盗聴器を仕掛けてもらっていたんだ・・・」
そうだ、ただやられてたわけじゃない戦力差なんてなんのそのの血の気の多い先行組には
盗聴器やカメラ、それにトラップを仕掛けしていたのだ
これはトラップはもちろん相手を楽に倒すためだけど
盗聴器やカメラは相手の情報を得るためだ
特に誰が指揮官か次にどんな作戦でくるか
戦力で劣る僕らには情報も立派な戦力だった
それに固まって動こうと言っても嫌われものの66小隊の言ううことなんて聞かないだろうな
だからベルさんや道下先輩が表立って指揮して
みんなに好きにやらせつつ、僕たちが合わせて作戦をたてていくのだ
しかしそれを読んでいない佐野ではなかった
「理久君、こちらの部隊が敵と接触していないのにLOSTしていきますよ」
「うん、多分トラップだろうねそれに66小隊の案だと思うよ」
それと、言葉にしては言えないけど仕掛けてある盗聴器やカメラは発見しだい潰すことをみんなに伝えた
「罠が破られてまた形勢が逆転されつつある」
「聞こえない、やっぱり気付かれてたか・・・」
用意した機材から雑音しか流れてこない
多分、罠だけじゃく盗聴器やカメラの存在ももう気付かれてる
「でも情報は十分集まった白組の指揮官は生徒会の佐野さんだ」
最初に会敵したのは姫ちゃんたちとグレーテル達だった
既に戦闘は始まってる
「後ろからくるぽよ姫ちゃん、琥珀!」
「防がれました・・・・・さすが姫乃さんです!」
私は不意打ち気味に撃ったグレーテルさんの刀の刺突を、翡翠ちゃんのおかげでなんとか避けれた
そういえば翡翠ちゃんはサキュバスとして五感が優れているのが役に立ったということだ
「風魔手裏剣!」
今度は未利に風魔小太郎君の放った巨大手裏剣が頭に当たった
「いたっ」
「はぁ・・・・異世界を救った英雄、どんなけ凄いかと思えば無秩序で阿保みたいなツラしてる馬鹿だな」
「こんな何も背負ってなそうなお気楽なやつが上級生で白いツバサだなんて・・・」
そう風魔小太郎は吐き捨てるように言った
そこまで言うほどかな
姫乃には彼がどこかいらついてるように見えた
「こんのクソガキ・・・言わせておけば」
「まあ、僕たちが上級生として下級生のお手本にならないは否定できないけどー」
「未利ちゃま赤いし熱いなのフーフー」
突っかかる未利と煽る啓区とたしなめるなあちゃんといつものやりとりを終えて
冷静になった未利は、少し考えた後真顔で言い放った
「はっそういうあんた達は家柄とか親に縛られて退屈そうな人生を送ってそうな顔してるわ」
もしかして、相手の境遇を予想してみて自分と重ねたりしたのだろうか
やっぱ未利ってそういう細かい気配りができる女の子だよね
「なんだと・・・」
「おい、熱くなるなよ小太郎」
「そうですよ青龍様だって、自分が金持ちエリートのプー太郎だって言うのは自覚してますから」
「おい」
「青龍とトラと酢桃とミコは黙ってろ」
「ぴぽぴぽぴぽ(どっちもどっちだと思う)」
って今度はグランフォード学園の中学生組は言い争いを始める始末だし・・・
他にも選と緑花VSジャグラー&ガルムのタッグ戦が行われたり
「いくぜ!」
跳躍して上空からジャグラーが拳で二人に攻撃する
しかし二人とも目で見る先に気配で体が動き後ろに飛んで難を逃れた・・・かに見えたが
「砂が目に・・・!」
ジャグラーの本当の目的は地面を拳で叩き砂埃を目くらましに使うことだった
そこに背後から牛の能力憑依させたガルムが突進してきた
「まずは二人ダウン!」
「二人とも、赤い布です」
そこに間一髪、咄嗟に華花が赤い布を投げ渡した
「サンキュー華花助かるわ!」
緑花はそれを突進してくるガルムの正面に見せて、翻した
まるでそれは闘牛士のようだ
突然動きがあらぬ方向に向いてしまったガルムは
あろうことか本来味方であるジャグラーに突進してしまっていた
「!?やべっ止まらねえ!」
「おおお、おいガルムこっちに来るんじゃねぇ!」
ドカーン
そのまま二人はぶつかってしまい近くの木に激突してしまった
つまり華花が布を渡した意図は、現在牛の能力を憑依しているガルムは
その行動習性も牛になっていて赤い布を見ると動きがそっちにいってしまうのだ
「や、やるな中学生」
「へ、本当の戦いはここからだぜ!」
どう考えてもダサい負け惜しみにしか見えないが、先輩ということもあってあえて黙っておこうと思う華花達だった
そんな中ふとジャグラーが疑問を投げかけた
「君は確かホワイトタイガーっていう組に族してるんだよな」
「ああ、そうだぜ」
「奇遇だな俺んとこのはブラックタイガーっていうんだ」
「エビおと・・・いやなんでもないわ」
「ていうか昇利先輩とかジャグラーさんとか俺とキャラ被りしまっくてるよな・・・」
三人とも意外なことに気付いてしまって微妙な空気なっていた
また一方ではリューちゃんの式神軍VS柊兄弟が戦っていた
相性が悪いらしく二人は苦戦していた
「弾丸で貫いたり、刀で切っただけじゃリューさんの式神は動けるな・・・」
「相性が悪いねお兄・・・姫乃さんみたいな火だったら相性がいいだけど」
「当り前や!なんせ「紙」様からな!」
「紙」だけに「神」は切れないし銃弾では死なないということかもしない
ところ変わって、私とグレーテルさんの戦いも白熱していた
(グレーテルさん私は観客席から見てることしかできないですけど応援してます)
(うん応援ありがとうミコちゃん)
グレーテルさんはミコちゃんの応援もあって気合十分だった
「跳躍!」
グレーテルさんは跳躍の果実を使い周りの木々や石を蹴って立体的に私の周りを高速移動しくる
そして、そのまま刀で切りつけてきた
しかし、グレーテルさんは思うように近づけなかった
私は防御魔法と得意の炎の魔法でグレーテルさんの攻撃を防いでいた
対グレーテルさん戦法としてとにかく近づけさせないことを重点的に行動する
まずグレーテルさんが対した遠距離武器を持ってなくて武器が近接用なのも関係あるし
ある意味人間の心理的特徴をついた攻撃方法だった
誰が好き好んで自ら炎にるっこみたがる人がいるだろうか
人間に本能的にある火への恐怖心を姫乃は無意識に利用していた
「やっぱりすごい、だけど相手が姫乃さんでも手ご心は加えませんよ」
もう何度か目だけど、グレーテルさんはやっぱり私を凄いと言ってくれた
でもこういうお互い全力をだすスポーツ的なもので言われるのは悪い気はしなかった
「うん、だけどグレーテルさんも強いと十分思うお互い全力でやろう」
「はい!」
別のエリアではベルさんと紫姫さんが飛び入り参加の教師陣と愛熊とその他大勢の一般生徒に囲まれていた
学生だったら無双していたベルさん達もプロの大人たちや愛熊帝人の前では劣勢だった
それもそのはず
「ていうかヘイがいるのは反則だろ!」
「ふっお嬢様の命令とあれば臨時で非常勤講師になることなど容易い」
過去一度は打ち破ったとはいえ
魔力吸収の固有魔法があるヘイがいるおかげで苦戦していた
あっちだって対策したりレベルアップしてるだろうし
しかも今回は前回の時のように林檎はいないし・・・・
「コールベルダット、俺様と勝負しろ!」
そんな中、俺の存在を無視するなと言わんばかりに愛熊がベルに剣で切りつけてきた
俺は割と余裕をもってその攻撃を持っていた剣で防いだ
「ガキ!あんたの相手は私よ」
「邪魔するのか、女!」
「女?私知ってるわよあんたみたいな男のことを時代遅れのうんこマンっていうのよ」
「な・・・なんだと」
そこに紫姫が割って入った
これはむしろ予定通りで、確かに愛熊はぶっちゃけ並みの軍人や教師より強いが
弱点もある、それは自信のプライドの高さ故挑発に乗りやすいことだ
それを考えれば、むしろ冷静に場数を踏んでるヘイや教師陣はベルに
愛熊とその他一般生徒は紫姫と味方のその他一般生徒が抑えた方が良かったりするこれが
「ベルーがんばってー」
そんな熱い戦いを観客席でウルルとメロンちゃんと羽ツバメの子達は見て応援していた
そんな中、僕たち66小隊は十字君と神柄さんと会敵していた
これは二人がまっすぐ姫ちゃんの方に予想しての待ち伏せをしたのだ
「十字君と神柄さんなら性格的に姫ちゃんを狙ってくるだろうと思って」
「ここで待ち伏せしてたってわけー☆」
「・・・邪魔だ」
「十字君、だけど私たちの小隊と66小隊の実力差は歴然すぐ終わります」
十字君は無感情の真顔でそう告げた
まるで、こちらのことなど道端に落ちてる石ころのようなもの見る感じだった
こういう反応されるのは分かってはいたけどやっぱ傷つくな~
「どうしても通りたければ、僕たちを倒してから行け」
「すぐ終わらせる・・・いくぞお前ら」
「「・・・了解」」
すると、二人の背後から数人のちょうど二人と同じ年の男女数人が現れた
多分二人の仲間、十字君とこの小隊員だろう
学園のデータベースにアクセスしても該当する人物がでてきたので間違いない
・・・だけど気のせいかだろうか、その子たちは無表情で淡泊な感じで
まるで機械のような、どこか浮世離れした子達だった
「さて先輩として後輩に戦闘の何たるかを教えておげようじゃないか」
十字君と神柄さんと仲間の小隊員が地面を蹴って攻撃しようと接近してくる
って自信満々に啖呵きって見せたのはいいけど
やってるこては遠距離から魔法や銃弾を撃つだけだ
そして威力的には対したことのないものの、確実に被弾させる分厚い量の弾幕に
十字君たちはいったん距離をとった
でもこれでいい、狙い通りだ
「本来なら、傷をおうほどするまでもないが・・・」
「お前ら、多少の消耗は仕方ない・・・強行突破する」
そしてまだこれだけじゃい
多少の消耗は覚悟で強行突破に切り替えた十字君たちに対して
僕は手元のリモコンのスイッチを押した
すると、突撃してきた十字君たちはいきなり炎と煙と爆音に包まれた
あらかじめ木々や地面にセットしておいた爆弾や罠魔法が起動したのだ
「今度は罠か!」
「でもこんなもので私たちを倒せないことは向こうも分かってるはず」
「・・・・」
「なるほど積極的に攻撃してこない・・・のは足止めが目的」
「ちっ・・・こんな茶番に付き合ってる場合じゃ」
「もう・・・時間は残されてないのに」
どうやらあちらもこちらの思惑に気付いたようだ
そうだ強行突破自体はできるけども、それに伴う消耗が不釣り合いに見せること
僕たちは、最初から勝つことなど選択肢なくて
姫ちゃんやベルさんが大将首をとることや大量に生徒を倒すまでタイムアップまでの時間稼ぎ
をすることだったのだ
そして防衛側ということは、僕らにとって大変有利だった
十字君たちがくるまでの間に
先ほどの罠を筆頭にまだまだいろいろな足止め方法や盾替わりに使えそうな岩、守る上で道が狭いか広いかだったりの地形の把握をあらかじめ用意できるからだ
「よーし、できればこのままタイムアップまで粘れれば・・・」
少し順調行き過ぎてるような・・・
「ふざけるな・・・・」
そんな風に思ってると、十字君から衝撃的な発言が飛んできた
「俺はあいつを絶対に殺さなくちゃいけないんだこんなとこで・・・」
「・・・・十字君物騒な・・・!?」
少しばかし、驚いて唖然としてしまったけど
冷静に考えてみて、ある結論にたどり着いた
「いや・・・無理だね」
「・・・?」
「どんな理由があるのか知らないけど、誰かを殺そうとするのは君たちじゃ無理だ」
確かに十字君と神柄さんたちは姫ちゃんたちより戦闘力は強いかもしれない
「確かに君たちは僕たちどころか姫ちゃんたちより強いかもしれない」
だけど
「でも君たちじゃ姫ちゃんどころか僕たちすら殺せないよ」
それは、二つの理由がある
一つ目は、戦闘での動きが、とういうか目的がまっすぐすぎること
相手を倒すことだけを考えている人というのは、自然と単純な物理攻撃のみに頼ってしまいがちだ
そこに関してだと、僕らや姫ちゃんたちのような「戦闘以外」で例えば相手の心をくじくとか罠みたいな搦め手をつかう「相手を倒す」以外の方法をとるようなタイプは相性が悪かったりする
二つ目は、彼らの表情に迷いみたいなものが見えたこと
それは、姫ちゃんたちにどんな恨みや因縁とかがあって殺すなんて発言したのかわからない
これは僕の感だけど、十字君と神柄さんは自らの意思でやってるようには見えなかった
それにまだ中学生の年頃の子に
自らの意思で人を殺めることを考えるようなんてことは考えられない
そう例えば・・・そのことを刷り込んだ黒幕的な人物が背後にいるかもしれない
って・・・今はそんなこと考えてる余裕も詮索してる場合でもない
「なんだと・・・・!」
どうやら十字君は先ほど僕らに言われたことが気に障ったのか
激昂してこっちに突撃してきた
実際にこっちが格下なんだし当然と言えば当然か・・・
「な!?」
だけど、その行く手は突然遮られた
僕は今度はチョークで書いた魔法陣を起動させていた
「残念だけど、僕たちは行くからそこでお昼寝してるがいい!ははは」
「太郎君悪役っぽいよ・・・」
だけど、魔法陣の発動の前より十字君たちは僕らの目の前に来た
仕掛けが発動する前に、ぶっ飛ばされてしまったのだ
とっさに防御したけどただの蹴り一発でこっちの魔法防御は壊され
本来はそのくらい実力差がある相手だということなんだよな・・・はは
そして、僕達が飛ばされて入れ替わりに十字君の周りには先ほど発動した魔法陣が光っていた
「また罠かっワンパターンだな」
確かに。種が割れてる仕掛けはもう十字君たちには通用しないだろう
実際に十字君たちはすぐその場で防御魔法を展開させていた
そう・・・左右や上空に
「いや違う、今だ鳳君!」
「っ・・!?」
「はい!」
その僕の発言の直後、魔法陣からは人が数人現れた
僕たちの小隊員で仲間の鳳君や棘ちゃんたちだ
「・・・地面から転移魔法か!?」
いっちゃえばただの伏兵攻撃だけど
普通なら鳳君たちが僕たちよりちょっとばかし強くてもさっきの魔法防御に防がれてしまうだろう
その出てくる場所を工夫してみた
普通人間は警戒するとき左右や背後場合によっては上空は警戒できても
誰も地面から攻撃してくるなど考えもしないからだ
この今踏みしめてる大地が異変を起こすなどあり得ないと常識がそれを上書きしてしまう
「くっ足を・・・離せ!?」
「今よ、セーラームーン!」
しかもその足はメイド隊の冴子さんたちががっしり掴んでいた
冴子さん・・・確かに状況はいわゆる仲間が隙を作って主人公がとどめをさすお約束シーンだけど例えが古いよとココロの中で突っ込んだ
「マジカル☆ステッキ(物理)!」
「ロケットドリルキック―!地面からキタ━(゜∀゜)━!」
そして今度は頭上にあらかじめ設置した爆弾で爆破されて落ちてきた岩が十字君達に覆いかぶさった
十字君たちは最終的に崩れ落ちてきた岩の下敷きになってしまった
この量や重さの岩だと脱出するまでかなり時間がかかるはずだ
「くっ動けない」
「ま、君たちこのくらいじゃ死なないでしょ・・・・じゃあね!」
そう僕は言い残してその場を後にした
「俺が格下の66小隊の負けただと・・・道端の石ころに」
その石ころに今、のしかかれてるんだよなぁ
「くそがっ!・・・殺しの・・・本格的な作戦遂行の指令許可があれば遅れはとらなかったのに・・・」
拘束自体は時間をかければすぐ脱出できるだろう
自分たちの強さに絶対の自信がある
しかし、本来天と地がひっくり返っても負けるはずのない格下にいいように時間を稼がれてしまった
それは十字音也にとって負けたも同然だった