1日遅れのバレンタインデー(200文字小説)
朝起きると、テーブルの上にリボンが掛った小さな箱が。
「そうか」
何年振りだろう…。妻がバレンタインのチョコをくれるなんて。
箱を開けると、ハート形のチョコが入っていた。
妻が起きてきた。
「ありがとう」
「なんのこと?」
「バレンタインのチョコだよ」
「知らないわよ」
照れる妻が愛おしい。
家を出ると、急に腹が痛くなった。
腹痛なんてものじゃない。
息が出来ない…。
「これで遊んで暮らせるわ」
遺影を眺めながら妻が呟いた。