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第四話:生きること、活きること

  此方の世界でに移り住んでから、今日が五日目だ。住むというよりは現在も遭難中と言ったほうが状況には適っているのだが、悠は名も知れぬ世界での生活を満喫していた。

 文明の利器がない生活は辛く苦しいものでもあったが、それ以上に自らが得た力と、一つずつ知識を蓄えていく生活は面白い。


 あれから、悠には三つほどわかったことが有った。

 一つは、自分に宿った能力の事だ。すなわち毒物を見分け、食べたモノの持つ能力を吸収する力のことである。この環境ではこれ以上ないと言っていいほど強力な力では有ったが、どうやらこの力も万能というわけではないらしい。

 毒物は見分けられても、どうやら衛生状態までは見分けられないという事を、悠は腹痛というカタチで知ることになっていた。また、能力の奪取の方も何を食べても力に目覚めるということではない様だ。量が不十分だったのか、はたまた他の理由があるのか、それはわからない。だが悠は滑落した日の翌日から今日まで、新しい能力には目覚めていない。


 二つ目は──その問題になった、奇妙な黄色い果実を実らせる木の事だ。あれから調査も兼ねて、悠はあの黄色い果実を結実している木の元を訪れた事がある。すると、色々なことがわかった。まず、あの木は必ず急な斜面に生えている。樹皮はオイルでも塗りたくったかのようにツルツルとしていて、まず掴めない。これだけならばあるいは地球上にも存在しそうなものなのだが、あの果実は紛れもなく異世界の存在だった。

 あの木の、他の果樹と圧倒的に違う点。それはあの果実は異様な『魅力』を放ち、生物を引き寄せる力を持っているということだ。その力の目的は──まさに、生物を危険な崖に誘い込み、滑落させるためにある。


 斜面から生えた木は崖の下まで根を伸ばしており、滑落させた生物を主な養分としているようなのだ。その不気味な生態は、悠を震え上がらせた。なにせ、硬質のオーラに目覚めて居なければ、悠自身があの木の養分になっていたのだろうから。

 だが、あの木にまつわることは悪いことばかりではない。それが、三つ目の知識。


「来た来た」


 意識を集中させていた悠は、茂みの奥を見つめ、呟いた。

 身体を低く構え、右手に──割った石を木の棒に差し込んで作った──斧を握りしめる。

 悠が臨戦態勢を整えると、草葉を踏みしめる音と共に、茂みから影が飛び出してきた。

 鋭い角を持った、兎くらいの大きさの小動物だ。悠の研ぎ澄まされた動体視力は、高速で接近するその姿を捉えていた。

 しっかりとその姿を確認し、振りかぶった斧を、振り下ろす。

 斧は正面から一角獣の額を捉え、その頭を叩き潰した。

 頭を叩き割られた小動物は僅かに痙攣しているが、既にその動きは何の意味も持たない。


 悠の三つ目の発見。それがこの『誘引』の能力である。

 本来であれば、身体の小さな動物というのは警戒心が強いものだ。だが大きな体躯を持たないにも関わらず、この一角獣は一目散に悠へと向かってきた。

 その理由こそが、悠に宿ったこの二つ目の能力の効果である。

 ……どうやら、悠は生物を惹きつける力を手に入れたようなのだ。無論、あの果実の能力を吸収した結果である。

 しかしそれは魅力、などという生易しいものではなかった。


「こりゃ『魅力』とかってより『誘引』だな」


 それは食欲に訴えかけ、原初の欲求を引っ張り上げるような『誘引』の力。

 この力を使えば、体格で大きく劣る小動物や、草食動物でさえ、一も二もなく悠へ食らいつきにかかる。『誘引』の能力を発動させている最中の悠は、対象の生物にとって非常に魅力的な食料に映っているようだ。

 能力にかかった生物の様子は尋常ではなく──一角獣の鬼気迫る様子は、頭が潰れた今でさえ悠へと這い寄っているように見えた。


「複雑だなあ、なんか」


 小動物を自分の手で殺すのには抵抗があったが、これも弱肉強食。自然界で生きるには必要なことだ。

 止めの意味合いも兼ねて首を断ち、蔦で脚を縛って木へ吊るす。猟奇的な趣味という訳ではなく、血を抜くための措置である。

 野生の獣は、血が残っていると食べる際に臭みとなることが多い。まだ心臓が動いているうちなら、こうして血を抜くことでより美味しくその生命をいただくことができる。

 可愛らしい顔も無く、吊るされているその姿は、冷凍庫の牛肉に近い。こうなると、認識は動物というより食物へと傾いていった。


「けど楽しみだな! こっちに来て初めて獣肉が食える……!」


 悠も変わった食の好みを持つとは言え、男子高校生である。肉類は大好物だ。

 肉を手に入れて、悠は大喜びだった。何を作ろうか。そのまま焼くのもいいし、煮てみるのも良いかもしれない。完全に食肉と化した小動物を見て、悠はご満悦である。


「こんなことならさっさと塩を手に入れておけばよかったなあ」


 海があるので、恐らく塩の入手は可能だ。思考が味付けまでにたどり着いた時、それは起きる。


「────!」


 それは、耳を擽るような、小さな『声』であった。

 虫の声でもない、動物の声でもない。とっさの危機に怯え叫ぶ、感情の込められた──


「人の、声だ……!」


 自分と同じ生き物の声。すなわち、人間の声。

 満足気に降ろしていた腰を上げ、悠は即座に立ち上がった。

 声のした方向を睨みつけるように見やり、歯噛みする。今の声は明らかに、危険を感じさせる声だった。声の主に何かが起こったのだろう、と感じ取るのは、容易い。

 ならば、声の主はきっと助けを必要としているだろう。……だから、悠は躊躇している。

 もしも悲鳴が大型の動物などに襲われた故のものだった場合、危険は悠の身にも降りかかる可能性がある。折角、終わったはずの人生に続きがあったのだ。顔も知らない、本当に自分と同じヒトであるかもわからない誰かのために、危険を犯すのは憚られた。

 ……しかし、悠は生唾を飲んで歩きだす。それで割り切ることができていたのなら、楽だったというのに。自分の不器用さに気付くこともせず、石斧を握りしめた。


「硬質化の力だってあるんだ。……様子を、見るくらいできるだろ」


 一言分だけ自分を奮い立たせてから、悠は注意を払って歩き出した。

 もしも大きな、例えば熊のような動物が居たら、無事でいられるだろうか。

 硬質化の方はともかく、簡素な磨製石器では毛皮に阻まれてダメージは与えられないだろう。声に近づく悠の中で、まだ見ぬ怪物の姿は大きくなっていく。

 ──だが、ある時を境に、その姿は小さくしぼんでいく。


「……こっちの方向って……」


 それは、歩んでいく景色に、見覚えがあったからだ。その場所は、悠にとっても忘れられる場所ではなかった。なにせ、此方に来て最初に死にかけた場所なのだから。


「やっぱり、あの実がある場所か……!」


 『誘引』の果実があるあの崖の下。となれば、声の主に起きたことも察しがついてくる。


「けど、だったら安心してる場合じゃないな……」


 一先ず懸念していた最悪の可能性が回避されたことで息を吐き出す悠。

 だが決して状況が良くなったわけではないことを思い出し、気を引き締める。

 この場所で声がしたということは、自分と同じ目にあった誰かが居るという事だ。

 果たして、それは──悠の視界に、森の中では見かけぬような輝きがちらついた。


「女の、子?」


 輝きの源は、緩やかなウェーブがかかった銀髪であった。

 崖の下に、一人の少女が倒れていたのだ。

 どうやら考えた通りのことが起こったらしい。

 仰向けに倒れた少女はぴくりとも動かないでいる。慌てて悠は少女へと駆け寄った。

 ──近くで見てみると、少女はとても、美しいことがわかる。いや、可愛らしいというべきだろう。化粧などの飾り気もなく、若々しく整った顔は女性というよりも少女という表現がしっくり来る幼さを残していたのだから。


「あの、大丈夫ですか!」


 しかし今はそんなことを気にしている場合ではない。悠はすぐさま少女へと呼びかけた。

 ……返事はない。弱々しく胸が動いていることから息はしているようだが。


「くそ、マジか……どうすればいいんだよ」


 とはいえ悠にわかるのはそこまでだった。

 生きていることはわかるものの、少女が具体的にどのような状況にあるのかはわからない。途方にくれる気持ちを薄めるため、悠は毒づく。

 頭を打っているのなら、動かさないほうがいいだろう。意識がない以上、その可能性は高い。そのくらいの知識は、悠にもあった。

 かといって──放っておくわけにもいかない。少女の脚は、おおよそ人間の構造をしている生物が曲げてはいけない方向へとまがっている。怪我をした状態で野ざらしにしていれば、後は衰弱して死を待つだけだろう。


「迷ってても、仕方ねえ」


 だったら。何もしないで見殺しにするよりは、たとえダメでも最善を尽くす。言葉にすればその様になる気持ちが、悠に少女を背負わせた。


 ◆

「……目、覚まさないな」


 傍らに眠る少女を横目に、火を突きながら呟いたのは、もう何度目になるかわからない無為な言葉だ。

 もう日が落ちて久しい。時間にすれば七、八時間は経ったろうか。

 呼吸こそ続けているものの、少女は目を覚まさない。

 水と共に火にかけた獣肉の発する匂いも何処か遠く、悠は落ち着かない様子で居た。


「しかし……銀髪って言うのかね、初めて見たな」


 肉が煮えるまではまだ時間がある。ただ待つのは辛く、悠はふと少女を見つめていた。

 最初に気になったのは、その銀色に輝く髪であった。焚き火の炎を映して輝く髪は神秘的な光を放っている。白髪ならばまだ馴染みがある色だったが、プラチナの様な輝きを放つ銀色の髪は、初めて見る美しさだった。

 そして、先程は気にしている余裕はなかったが、少女の顔はとても可愛らしい。

 浮世離れした美しさが、ここが異界の地であることを思い出させるようだった。


 ……もう一つ。悠が気になったのは少女の服装だ。

 その服は、民族的な修飾がされているなどしており、文化の存在を語っていたのだ。


「この子も異世界転移してきたとかじゃなきゃ、この世界にも文化があるって事だよな」


 それはつまり、この世界に人が存在することを示している。それも数人ではなく、村や国、文化を作るほどのものがだ。

 人が息づく証──文化の臭いは悠に幾ばくかの安心感を与えていた。


「っとと、そろそろいいだろ」


 一つ思考に答えをだすと、考え事をしている内に肉が煮えている事に気がつく。

 下処理が良かったおかげか、鍋の中の一角獣のスープは、澄んでいた。といっても、脂やエキスに由来した、黄色がかった色は付いている。

 表面には油が浮いており、外見で食欲を誘う。

 だが、その香りは──


「うん、まあ、予想はしてたけどね」


 臭かった。シビアである、と悠は愚痴を漏らす。

 近い匂いを上げるとすれば、それは動物園の香りだ。むせ返りそうな、ゴワゴワと鼻を擦るようなあの臭い。

 この臭いは、野の食材の知識を持つ悠が予想していたものの一つだった。

 それを防ぐために、針葉樹の葉なども入れて、匂い消しの効果を期待したのだが──その効果はほどほどだったようだ。完全に獣臭を消すには至っていない。

 恐る恐る、悠はその一角汁を啜った。

 動物園の様な香りが口いっぱいに広がっていく。お世辞にも食欲をそそるとはいえない。

 だが、野の食材に慣れた悠にとってはそれもまた『あじ』の一つだ。この程度ならば狸に比べれば大したことはない。

 ごく薄い塩味は、此方の世界に来てからは新鮮なものだった。欠けていた栄養が溶けたスープは、不味かったが吐き出すほどでもない。

 それに──


「旨味は強いな。アナグマ……いや、リス……?」


 匂いに押されがちではあるものの、味自体は良いようだった。

 ほんのりと頬を押すような、優しい甘みは脂に由来するものだろう。

 針葉樹の葉も、入れて正解だった。松の葉は煮出すと良い香りと共に、不足しがちな栄養を補ってくれる。松の葉ではないが、この針葉樹様の葉もまた、それと同じような働きをしていた。

 この異世界に来て初めて二品以上の食材を使った料理の『混ざった色合い』は、悠に満足感を与える。

 料理の温かさに、ほうっと息が登ってくる。

 だが悠は直ぐに弁当箱へと視線を落とす。主役がまだだ。鋭い眼光はそう語っていた。

 プラスチックの箸で、財宝をサルベージするようにすくい上げたのは、厚い脂肪がついた肉だった。

 脂はよく火が通り、悪くないと自称するスライムの如く震えている。

 匂いに怯えながらも、悠はそれをゆっくりと口へ運んだ。


「……!」


 やはり、間違っていなかった。歯で押すとぷちんと切れた脂が、口の中に甘みを広げる。

 鼻は僅かに不快感を訴えたが、脂の甘みが──何より、久方ぶりに口にする『肉』の力が、悠に声を上げさせる。


「美味い……!」


 正直に言えば──それは、スーパーで売っているグラム百円もしない豚肉に勝てる味でもないだろう。

 だが足りない栄養素が、思春期の少年に一番欠けた味が、『肉』の重みが幸福神経の鐘を叩いていた。

 また、何気なく入れた針葉樹の葉も、いい味を出している。

 松葉の様な香りが臭気を抑えているだけではなく、しゃきしゃきとした食感が心地よく、清涼感を感じさせる。

 一角獣の肉は食材としては良いものではなかったが、一角汁の料理としての完成度が高かったといえるだろう。


「はあ……肉って、いいもんだなあ」


 たった一口と一啜りで、悠は笑みを浮かべた。

 もう少し冷静に味わう様になれば、その臭気からは目を背ける事も出来なくなるだろう。そうなる前に、食べ終わってしまおう。悠は、二口目に向けて箸を降ろす。

 だが──箸は、スープの水面で止まってしまう。

 ふと、そちらを見たのは何故だったのだろうか。


「……!?」


 器の向こうに、見たこともない生物を見つけ、悠は凍りついた。

 今まで泳いでいた湖が一瞬で氷に閉ざされるような感覚。

 ……悠の視線の先には、一匹の獣が居た。

 体高百センチほどの、四足歩行の動物だ。顔は細長く狼のよう──四肢からは炎のように棚引く山吹色の毛がある。

 いや、違う。炎だ。四肢に、炎を纏っている。

 狼の様な獣は、そのせいで暗闇の森の中にその輪郭を浮かび上がらせていた。


「……っ!」


 息を飲んだ。しかし動けなかった。

 この可能性を考えなかった訳ではない。だが偶然、今まで大型の獣と事を交えずに済んでいたということが、日常の忙しさが、傷ついた少女が、その可能性を意識から遠ざけていた。

 大型の獣。恐るべき可能性の一つ。

 それが、明らかに悠を意識していた。

 勝てない。悠は即座にそう感じ取る。硬質化の力があっても、逃げることさえできない。

 その幻想の存在は、それほどまでに圧倒的な存在感を放っていた。


「……」


 こうなってしまっては、ジタバタするだけ無駄だ。

 決して怯えを悟らせないよう、隙を見せないよう。獣と目を合わせ続ける。

 獣に威嚇する様子はない。だが、このまま通り過ぎるつもりも無いようだ。

 草木を踏み倒しながら、炎の光を纏う狼──炎狼が歩み寄ってくる。

 一歩一歩が永遠に感じる。やがて、炎狼は焚き火を挟んだ向かいまでやってきた。

 そして──火へと、顔を近づけた。

 何をしているのか分からず、疑問符を顔に浮かべる悠。

 ……それが何をしているか、すぐには分からなかったが、遅れて理解がやってきた。

 篝火が、炎狼の口へと吸い込まれていくのだ。


「火を、食ってる……?」


 思わず声が出てしまい、悠は慌てた。しかし、狼は意に介した様子もなく、火を食べている。

 どれほどそうしていただろうか──火が放っておいてもすぐ消えるようなごく小さなものに変わると、炎狼は悠を一瞥してから踵を返す。

 近づいてきた時と同じように、穏やかな足取りで離れていく炎狼は──やがて、その輝く輪郭を闇に溶かしていった。


「ぷ……はぁっ! は……なんだ、アイツ……!」


 炎狼が去っていった事を確認すると、悠はいつの間にか止めていた息を吐き出した。

 絵巻に残る神。その厳かな雰囲気は、魔物や怪物という言葉ではなく、触れられざる領域を感じさせていた。


「見逃してくれて、よかった……!」


 助かった。心から口にすると、ようやく感覚が戻ってくる。


「火を食う狼、か……流石に、異世界っつっても想像してなかった……」


 現代の知識を駆使してサバイバル生活をしていたせいか、悠の中ではまだ何処かで『非日常の延長』であると思っていた世界が、一気にはるか遠い世界へ来たという実感を叩きつけてきた。

 その規格外の衝撃は、悠の口角を吊り上げる。


「はは……すげえ、すげえ……! これが異世界か……!」


 歓喜だった。

 花より団子を地で行く悠でさえ、御伽噺の世界の中にいるという事実は胸を高鳴らせる。

 もしかしたら、ドラゴンだって居るかもしれない。想像するだけだった味が現実に存在するかもしれないという思考に行く辺り、悠は悠としか言えなかったが。


「そうと決まれば、何としてでも生き延びなくちゃな」


 なればこんな場所では終われない。また一つ新たな希望を胸に、悠は一角汁を啜る。


「ヴ」


 それは、冷めていた。強い獣臭に出鼻を挫かれてしまったが、今の悠にはそれさえも笑える気がした。

 こうして、異世界の夜は更けていく。


「ん……う……」


 はずだったのだが。

 悠の視界の端で少女がくぐもった声を上げ、その身を震わせる。

 ゆっくりと少女の目が開くのを、悠は何もできずに見守っていた。

 寝ぼけているのか、少女の目は虚ろだ。だが、その少女から目を離せずに居たおかげで、少女の瞳に色が戻っていくのを見ていた。

 そして、その少女の瞳に光が戻る。

 必然的に、悠と少女は見つめ合う形になった。

 まだ寝ぼけているのか、少女はきょとんとした顔をしている。だが、少しずつ、気を失う直前の状況を思い出したようだ。やがて、その可愛らしい顔に表情が戻る。

 ただ一人山を彷徨い、死を直前にした、恐怖の表情が。


「~~~△△△っ!」

「ちょ……! 大きな声だすな! またアイツが戻ってくるかもしれ……!」


 少女は悠の知らない『何か』を叫ぶ。

 悠は、その声で山の大きな獣を呼び寄せないかと、心配で心臓が止まるような気がした。

 ……異世界の山の夜は、もう少しだけ続きそうだ。


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[気になる点] 火を食べる...?精霊種か?
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