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番外編 咲夜のバレンタインデー
「お兄ちゃん、おっはよー」
いつも変わらず元気な挨拶で物色を始める。
机の中、スマホの中、カバンの中。
「ねえ、お兄ちゃん」
気持ち悪いほどの笑顔の咲夜。
「これ何?」
スマホのメモを見て尋ねる。
そこには咲夜によって書き換えられた小説があった。
「どうして、私たち喧嘩してるの、私たちは永遠に仲良しだよ」
昨夜の前では起承転結の「転」が通じない。
咲夜はそのまま喧嘩のシーンだけ削除した。
僕はもう何も言えなかった。
「ところで今日は何の日か知ってる?」
「バレンティヌスの命日」
「ひねくれ者、バレンタインだよ、はい、お兄ちゃん」
「そう言って咲夜は見た目が普通のチョコを僕に渡した。
そのまま恥ずかしいのか逃げるように学校に向かった。
僕はのんびりご飯を食べ学校に向かった。




