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8.再び

なんだろう。

一度ああいうのに会っちゃうと、緊張というか・・・

後ろを振りかえる数が格段に増えた。

これは、あの、先入観というやつか。

少しずれてる気がするが、普段合わないような架空のものに合うと、急に頭から離れなくなる。

あんな化け物にあってしまったら。

それは普通の虫なども然りである。

俺たちの場所から自転車で20分ほどの場所にある、「西堂館」。

すでに2年前に廃許化されているとのことだが、あまり入ったことのある人はいないようだ。

(こういうところこそ入っての冒険ってもんじゃないのかよ・・・)

そんなことを考えていた。

9月の終わり。

そしていま。

そんな気持ちはどこにもない。

俺は宗太とこの廃許可した西堂館に入り込み、建物の中で死亡していた友達、勇太も見たであろう化け物をみてやろうじゃないか、という計画を立てた。

もちろんその名の通りの目標は達成できたが、まだ終わったわけではない。

食堂を探索してからその後。

出口に向かって歩き出した。

出口の大きなドア。

ガチャガチャと引っ張り、押し、開いたりした。

「開かねぇ。」

「なんだこれ、まさか!」

「閉じ込められた。」

怪奇というか、現象というか。

これが怪奇現象とかいうやつか。

もうのんびり謎解きなんてしてる暇ねぇ!!

2階だ!出口を探せ!!

「一段一段の幅が大きい・・・」

少し苦労しながら宗太が俺に続き階段を昇っていく。

けっして平常心で昇っていられる状態じゃねぇな。

「落ち着いていけよ、ここでケガなんてしたら、とんでもないから。」

「だなぁ。」

少し冷や汗をかきながら宗太は、いつも通りニカッと笑った。

どうやら平常なようだ。

慣れてるのか?

いや、慣れとかいう問題じゃないな。

その後健二は、自分で自問自答を繰り返した。

だが、ツッコミが入らないような、しっかりとした意見は、これといって出てこなかった。

(落ち着け。)

もう落ち着いてらんねぇよ。

宗太が叫んだ。

「後ろっ!!1階!早く上がろう!!」

(後ロ?)

振り返った。

なぜだろう、振り返るスピードが、震えながらも早かった。

再び。

健二の視界には、奴がくっきりと入っていた。

「また出たっ!!」

さっきとは大違いのように、素早く階段を上る。

同じだ。

スピードも、足音も。

「!?」

(足音ッ?)

おかしいじゃないか。

足音なんて・・・そんな。

あいつには足がなかったとみていたはずだ。

この足音は、なんだ?

あきらかに、今後ろにいる奴はあの化け物だってことは一瞬ではあるが見て分かった。

おそらく、足はある。

見間違いだろう。

2階に上がり、目の前にあるドアに入る。

「えっ・・宗太!?」

宗太がいない。

あいつ、また違う部屋に行ったか。

いやいや、いまは人の心配より自分の心配だ、奴が来ないかだ。

じっと時が流れるのを待つ。

何も聞こえない。

行ったか?

『バァァァァァン!!』

(なぁ!?)

来た。

(まずいっ!逃げなきゃ!!)

何とか部屋の隅にいて、先にまだ扉があったから助かった。

でも、その先にもまた扉があるとは限らない。

だが、幸運が来た。

(あそこのドアっ!鍵が・・・!)

そう。

この先の部屋には、鍵がかけられるドアがあり、中からなら閉められる。

ここまで行ってしまえば!

全速力で走る。

《落ち着いていけよ、ここでケガなんてしたら、とんでもないから。》

自分で言った言葉だが、改めて大事だ、と感じた。

けがの一つもしていない。

この場合、前日までの行いもかかってくる。

『ギィッ』

(よし!このまま鍵を!)

『ガチャン』

閉まった。

だが、化け物も化け物だ。

『ドンドンドンドンドンドンドンドン!!』

扉を、叩き壊そうとしてくる。

(来るな、絶対に!!)

必死で願った。

部屋は薄暗い。

しかし、自分の震える手は、しっかりと見えた。

なんだろう、これ。

(そうだ、先にドアはっ!)

ばっと後ろを向き、ドアがあるか確認する。

―――――――――――――――無い。

無かったのだ。

(くそ、こっからどうする!?)

『ドンドンドン!』

まずい、ドアの劣化している音が。

それもそのはず、ここは廃墟だ。

その意識が不思議と、いつの間にか薄れていた。

死ぬのか!?

『ドンドンドン!』

「来るなっ!」

そのとき。

ドアの向こうで声がした。

「おい!健二だろ、開けてくれよ!!」

え―――――――。

「宗・・・太?」


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