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集落と長老

 日が暮れ出した頃、瑞希たちはようやく大樹の下に辿り着いた。ずっと目指してきたその木陰には、本当にルルと同じ妖精たちがたくさんいた。

 木の根の下を掘って家にしているらしい彼らの集落は完全に自然と共生している。木漏れ日を(はね)で受けて妖精たちが輝く光景は幻想的という言葉がぴったりで瑞希は自然と見惚れていた。


 集落の妖精たちは人間が自分たちの住処(すみか)にまでやってきたことに驚いていたけれど、人懐こい気質のようですぐに瑞希の周りを飛び交った。中には瑞希の頭に乗ったり、髪を引っ張って悪戯(いたずら)したりするやんちゃな子もいて、小学校に来たようだと思ってしまう。


「お前さん、人間がワシらの住処に何用じゃ」

「じじさま!」


 大樹の木の下から老いた妖精が出てきた。じじさま、と呼ばれたあたり彼がこの部落の長なのだろう。当たりを付けた瑞希は、まずは膝を着いて目線を近づけた。


「えっと、こん…ばんは? はじめまして、私は秋山瑞希と言います。瑞希が名前です」

「おお、こんばんは、ミズキ。ワシはシモン=ルクス。ここの長老じゃ」


 はじめまして、とにっこりと(しわ)が刻まれた顔に笑顔を浮かべる長老に、出出(でだ)しは上々のようだと瑞希も安堵(あんど)から笑顔を浮かべた。


 瑞希は長老に自分のわかることを話した。

 箱を開けて、気がついたら知らないところにいたこと。そこでルルと出会ったこと。

 わかっていることは本当に少なかったけれど、長老は深く追求することはなかった。しかも何か心当たりがあるのか、難しそうに頭を悩ませている。


「ふ~む………ミズキ、どうやらお前さんはこの世界の人間ではないようじゃの」


 珍しいこともあるものだ、と真っ白な長髭(ながひげ)を撫でつけて結論を出した長老に、瑞希は何を言われたかわからなかった。

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