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夕ご飯

 タイミングよく勝手口の扉が開いて、ルルが帰って来た。魔法で浮かせていた野菜や花の蜜の詰まった瓶を見せつけて、大漁大漁と(のたま)い胸を逸らす姿に、どこの漁師だと内心で突っ込んだ。

 ルルは愛らしい見た目をしているのに豪快と言うか、豪胆なところがある。それもルルの個性だと思うのだが、如何(いかん)せん、どうしても不協和音のように思われて何とも言えない気持ちになるのだ。


 「ミズキ、ミズキ。スムージー私が作ってもいい?」

 「いいけど、でも疲れてない?」

 「ぜーんぜん!」


 ルルは瑞希の頼みでスムージー用と、明日のゼリー用の材料も採りに行ってくれた。いくら魔法があるとはいえ、力を行使すればその分疲れることは自然の摂理だ。それを気遣っての言葉だったのだが、ルルはそんなことはないと元気をアピールするためか、ひょんひょんと瑞希の目の前を飛び回って見せた。小さな体がすばしっこく右往左往とする。

 それは瑞希がもう良いと止めるまでの間続いた。


 「あ、そうそう。ついでだったから集落にも顔を出して来たんだけどね、例の指輪作り、順調に進んでるみたいよ」


 この調子なら予定通り明後日に渡せそうだ、という長老からの言伝に、有難いと思う一方で、かなり張り切ってるんだなぁと推し量る。

 妖精たちが陽気で人好きな性格をしていることは身に染みて知っていたが、なんとなくそれに拍車が掛かっている気かしてならない。ルルも、私もちょっとだけどお手伝いして来たのよ、と言うものだから一入(ひとしお)だった。


 「あー、お腹空いた!ね、ね、ミズキ。今日のご飯はなぁに?」

 「野菜たっぷりのミネストローネとライ麦パン。サラダもあるよ」


 答えながらも器に取り分けた物からリビングのテーブルに運んで行く。アーサーが立ち上がりかけるのを目で制して、二度三度とそれを繰り返した。

 そうしているウチにルルがスムージーを作り終わり、やや遅れてオーブンが追加したパンの焼き上がりを報せた。


 「パンも焼けたことだし、みんなでご飯食べよっか!」


 焼きたてのパンをバスケットに盛って、準備の整ったテーブルの前で瑞希が拍子を打った。

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