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 『フェアリー・ファーマシー』の日々は、忙しいけれど平和だ。商売をする立場上、忙しいことは喜ばしいことでもある。

 けれど、何事にも限度というものは存在する。


(うーん……大分棚の穴が目立つようになってきちゃったわね……)


 アーサーがいなくなり、ルルも含めて妖精たちが手を貸してくれる。

 だから一日一日の営業は熟せているとはいえ、寄せられる需要に対して供給が追いついていない。毎日ぎりぎり品切れを出さないでいられているというのが正直なところだ。何処かで巻き返さなければと思うものの、何処でどう巻き返せばいいものかと計りかねていた。


(休み時間を減らして……も、疲れが取れなくて逆に困ったことになるし。逆に、休み時間を増やして調剤に当ててみる?)


 しかし、それでもその場凌ぎにしかならない。現状よりマシ、ではやがて破綻してしまう。

 思い返してみれば、ディックがアルバイトを申し入れてくれたのは本当に運が良かったのだ。

 仕事は無理のない範囲で確実に熟し、弟妹分の世話も快く引き受けてくれ、言葉足らずな節のあるアーサーのフォローも完璧。そしてさらに上がる双子からの好感度。

 あれほど見事な好循環、また巡り会えたらそれこそ奇跡だ。


(ディックほどとは言わないけど、もう一人二人いてくれたら早いのに)


 人手不足だけは、募集するくらいしか対策が思い浮かばないからどうしようもない。


(とりあえず、今しなくてもいい仕事を減らしていかないと)


 今やっている仕事は何があるか、誰が主に担当しているか。ざっくりとでも、書き出してみると紙一枚がすぐに埋まった。その中で欠かせないもの、欠かしても支障のないものと二分してみるが、やはり欠かせないものばかり。欠かしても支障のないものでさえ、"すぐには"という枕詞がつくだけで、やはりいつかはしなければ支障が出てしまう仕事だった。

 つまり、無駄な仕事が何もない。


(……他のお店って、どうやって回しているのかしら?)


 妖精の手も借りずに人間だけで、しかも家族経営となると『フェアリー・ファーマシー』と人数もあまり変わらないはず。なのに代々問題なく運営してこれているのなら、何かコツがあるのかもしれない。


(聞いてみようか)


 まずは交流のある、アレンをはじめとした薬売りたちと、他業種だが長年店を切り盛りしているマリッサ。そして、子育てしながら仕事するという共通点から、観光地グラリオートの聖養院院長フランシア。

 本当なら皆と直接顔を合わせて話を聞きたいけれど、その時間を捻り出すこともできない。非礼を詫びる言葉から始まった手紙を複数認めて、瑞希はまた頭を悩ませた。

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