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城下町

 予選と違い、本戦では試合は全て個別で行われる。人数が予め絞られていることもあるが、好成績でなくとも貴族が声をかけることがあるため、その見極めも兼ねているようだ。さすがに寄りすぐりが試合するというだけあって、どの試合も白熱していて、見応えが十二分にあった。

 しかしそれも始めのうちだけだ。なにせ実力者揃いだからか一戦一戦が長いのだ。それがずっと続くのだから、見飽きてしまうのも仕方のないことだろう。

 ダートンたちは今もなお集中して見物しているのだが、会話を聞いてみれば武具について分析や討論をしていて、試合については触れていない。

 それさえできない瑞希や子供たちは、ディックの出番はまだかと、なかなか流れてくれない時間に暇を持て余していた。

 張り出された試合の対戦表を見れば、ディックの試合まであと八試合もある。一試合二十分と考えても二時間以上待たなければならないわけで、四人はげんなりとした顔になった。


 「もしよかったら外に出るか? 多少の案内はできるが」


 見かねたアーサーの提案に、子供たちの顔がパッと輝く。瑞希としてもそれは有り難い申し出で、是非とお願いすると彼は心得たと一つ頷いた。

 ダートンに声をかけてから観戦席を出て、催事場の外に出る。


 「王城内と城下町、どちらを見たい?」

 「城内って、民間にも開放されている場所があるの?」

 「一部だけだがな。外側の植物園と閲覧だけなら図書館も利用できる。あとは、今はまだ開いていないが下級兵士用の食堂もあるぞ」


 安くて美味いと評判らしい、と聞き齧りの情報を口にするアーサーに、意外とオープンなのだろうかと瑞希が関心を示す。そういえば地球の役場にも市民にも利用できる職員食堂があったことを思い出した。

 しかしいくら開放的でも子供たちが楽しめるかといえばそうでもない。ならば城下に下りてみようと話がまとまった。

 城門に足を運び、検問の衛兵に声をかけて顔を覚えてもらう。瑞希たちのように中抜けする見物客も少なくないようで、楽しんできてと好意的に見送られて王城を出た。

 大通りは、予選観戦に訪れたティルスタージェより幾分か少ないものの、やはり大勢の人で賑わっていた。しかしこれでもアーサー曰く人気の無い方らしく、住民たちは別のところに足を運んでいるのだと訳知り顔で教えられた。

 しかし逸れる可能性が低く見物もしやすいので、観光するには(かえ)って好都合だった。

 服飾系の店はほとんど見物だけだったが、店ごとにコンセプトの違う服が並んでいて見ているだけでもなかなか楽しい。しかし自分に頓着しないアーサーや遊びたい盛りのカイルにはどうにも関心が持てないらしく、はしゃぐ瑞希たちにしょっぱい顔をしていた。

 しかしそれも、通りの外れまで来てしまえば終わる。別の通りと交わった先にはもう店は並んでおらず、こぢんまりとした民家が軒を連ねていた。


 「どうする? もと来た道を戻って、今度は別の通りを見てみる?」

 「それもいいな。それか、噴水広場に行くのもいいかもしれない」

 「噴水広場?」


 アーサーの言葉に、四人が首を傾げる。何しに行くのかと話を聞いてみれば、瑞希たちの街と同じように、王都でも露店市場があるらしい。特に武術大会中は、馬車の御者たちが地元の名物品を売っていることも多いため、買い物を楽しむにはいいだろうということだった。


 「へぇ、それはちょっと見てみたいわね」


 面白そう、と瑞希が乗り気な態度を見せた。

 瑞希が知っているのは、基本的に自分の訪れたことのある土地だけだ。多少人から聞くこともあるが、それ以外にはどんな土地があるのかという知識は多くないため興味があるのだ。

 珍しく好奇心を露わにする瑞希の一声が効いたのか、行ってみようかと子供たちも前向きな姿勢を見せる。

 そうして、アーサーの案内のもと、四人は噴水広場に行ってみることにしたのだった。

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