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スカイ一族

レミ・レナルド、ショウ・ドーズル、レイ・スパイス―――

わずか10歳の少年少女たち。この少年少女たちは、やがてこの世界までを巻き込む大きな“波”に巻き込まれてしまう。

しかしそんなこと、まだ10歳の彼女らにはわかるはずもない。

それは、遠いようでさほど遠くない未来の物語。世界の波に運命を翻弄される物語。



この3人が同じ場所にそろう・・・いや、そろってしまったこの瞬間から、大きな波は、少しずつ動き始めていたのだった。

この10歳と言う幼い彼女らには、まだ“大人の世界”は分からない、無垢な時代。そして、まだ少ない感情。

彼女たちが持っているのは、まだ幼い感情。自分の心すらうまく表現できないような、そんな幼い感情。

彼女たちはこれから学ぶのだ。―――複雑な感情を抱えることの“辛さ”、そして、それとは対照的な“仲間としての団結力”、“輝く友情”そして“人を愛するというあふれんばかりの愛情”―――。



しかし、まだ戦いは始まって間もない。いや、まだ足音すらも聞こえなかった。

それゆえ、レミ達には余裕があった。今あるものは、少しの“楽しみ”とあふれるほどの“不安”にはちがいなかった。それでも、まだ3人は笑顔だった。



今は、3人の新しい部屋を、掃除している真っ最中。・・・だが・・・

「あぁぁぁ!!ショウっ!水、水ぅ!!」

「え・・・あ、あぁぁぁぁぁ!!!」

「ははは・・・大変だな」

まだであって日が浅い3人の息は、やはり少しずれていて・・・。ショウが水をこぼしてしまって、レミがそれを一生懸命拭く。しかし当のショウは、いつの間にか箒をしていて・・・。その光景を横目で見ているレイも、バケツの上で雑巾を絞っていず、垂れてしまった水をまたレミが、悲鳴を上げながら拭く・・・。結局、予定では2~3時間で終わるはずだったのが、実際には5時間ほどかかってしまった。終わった時は、皆の表情は疲れ切っていた。



一息つくために、3人は掃除したばかりのソファに腰掛け、レイの入れてくれたアップルティーと、レミの持っていたクッキーとボンボン・ショコラを食べながら、話をすることになった。

話の話題は、レミの一族のことになった。話の発端は、レイの一言だった。

「そういえば、出会ったころから気になっていたんだけど、レミはスカイ一族なのか?」

“スカイ一族・・・?”と頭にクエスチョンマークを浮かべているショウをよそに、レミはレイの質問に答えた。

「うん、私はスカイ一族だよ!・・・まぁ、お母さんは和領土の人だから、ハーフなんだけどね」

「ちょ、ちょっと待て。“スカイ一族”・・・って、なんだよ?」

“やっぱり、知らなかったんだ・・・”と言わんばかりの表情を浮かべた2人。レミは、少し怒っているようだった。レイは、苦笑していた。

「もう、知らないのー?まぁ、でもいいや。話してあげるっ!」

レミはあきれているのか、嬉しいのか、怒っているのかよく分からなかったが、なぜか話し始めた。まぁ、2人は興味深々だったが。



「長い話になるけど聞いてね。スカイ一族とは、このclearworldができたおよそ30億年前から住むといわれる、clearworld最古の民族のこと。つまり、clearworldの全住民の元をたどると、必ずスカイ一族にたどり着くってわけ。

およそ30億年前のスカイ一族の族長であったアポロ・ゼウスは、ごく数名の家来たちとともに、海から出ていたサンゴ礁の陸を開拓し、このグラス王国をはじめとするclearworldのすべての国を作ったとされるの。しかし、アポロはすべての国を作り終えたと同時に、“Zeusend”という島を作り、そこにこもったとされる。でもね、不思議なことに、この星にそんな島、何処にもないんだよ。そして、場所もわからない。

それ以来、族長にはランド家という家がなっていてね、今の族長であるミツ・ランド様に私は破門され・・・ううん、破門してもらって、旅に出たの。だから、私はもう“スカイ一族”ではないんだけどね。あとは、他の村とかに嫁ぐ時にも破門してもらうんだ。私のお姉ちゃんがそうだった。

そんな歴史ある超巨大民族だったスカイ一族も、およそ5億年前に新たに誕生した一族・・・レイやショウのような一般的な人達と、この星の歴史上の出来事として最も大きな出来事“ライゲン島の悲劇”と呼ばれる争いを起こし、それに負けてしまい、今では少数民族としてミナトタウンにしかすまないの。

“ライゲン島の悲劇”とは、古代の獣である“光獣こうじゅう”“暗獣あんじゅう”“剣獣けんじゅう”“音獣おんじゅう”“魔獣まじゅう”“星獣せいじゅう”“天獣てんじゅう”と呼ばれる7匹の獣を操ったスカイ一族と、新民族が開発した銃や大砲で戦ったというclearworld誕生以来最凶の出来事。結果は、新民族の勝利。7匹の獣たちは怪我を負い死んだ・・・とされているけれど、本当はどうなったのかわからないの。もしかしたら、現代まで生き残ってるかも・・・ってスカイ一族ではうわさだった。そして、この争いが終わった後からは、2つの民族はお互いを認め合った。しかし、負けたスカイ一族の方は、認めていない人もいるみたい。今のスカイ一族でも、一つまみの人がそんな感じだったしね・・・。

あと、スカイ一族は、厳しい戒律を持つ一族でもあります。

あとは、スカイ一族には“スカイワンピース”などと呼ばれる既定の服があり、一族は皆それを着てるの。スカイ一族最大の特徴と言えば、やっぱりこの脇から生えた金髪。スカイ一族には様々な髪の色の人がいるけど、この金髪だけは絶対に変わらないの。ちなみにこの金髪は、スカイ一族の血が半分以上入れば、私のようなハーフでも生えてくるの。まぁ、クォーターでも、ごく稀に生えてくるみたいだけどね。

・・・って、こんな感じかな?」

レミの長い長い話が、ようやく終わった瞬間だった。その長い話を聞いている間でも、レイとショウはずっと起きていた。そして、興味深々だった。



―――この話が、のちの3人に大きな影響を及ぼすこととなるとは、まだ誰も知る由もなかった。




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