表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編集

吸血鬼の恋愛観

作者: 縁 笈留

もし、あなたの身近に吸血鬼がいるのなら、同じようなことを考えているかもしれませんね。

吸血鬼ってなんで人間と恋愛できないと言われてるんだろうね。


価値感の違い?寿命の違い?


まぁ、とってつけたような理由は色々あるよね。


でも一番の理由はさ……




吸血鬼が人間を餌としか見てない事……なんだよね。




稀に吸血鬼が人間に恋をすることはあるけど、そんなのは億万が一ってやつさ。


大抵の吸血鬼は人間を餌としか見てない、それが吸血鬼と人間が恋愛をしない理由さ。


例えば魚。


大型の魚は自分より小さい魚を食べるだろう?


それと同じさ。


外見が例え同じだったとしても………餌としか見えないんだ。


だから魚は共食いをする。


分かるかい?つまり…吸血鬼も共食いをするんだよ。


最近じゃ人間の文明がとても発達してきてるからね。


夜間でも明るかったり、襲おうとしたら機械というやつを使って防いで来たり……


まったく、吸血鬼としては遺憾なことばかりだよ。


あぁ、少し話が逸れたね、話しを戻そうか。


そういや、吸血鬼が人間に恋をしない理由は言ったけど、人間が吸血鬼に恋をしない理由は言ってないよね。


まぁ、こちらも簡単な話さ。


これも魚に例えて話そうか……


例えば提灯鮟鱇。


あいつらは自分の目の前に光を出すことによって、それに釣られた魚を食べるやつらだ。


それと同じで吸血鬼は、人間にとって理想の容姿と、人間が惚れやすくなるフェロモンを出すんだ。


餌が無警戒でよってくるように……という理由で素晴らしい容姿があり、

餌がたくさんよってくるように……という理由でフェロモンがある。


つまり、人間は吸血鬼に恋をしているんじゃないのさ。


吸血鬼が人間に恋をしていると錯覚させているのさ。


それと性別の問題もあるね。


今さっき言っただろう?


人間にとって理想の容姿って………つまり、男女共に理想の容姿であるわけだ。


雄の人間から見れば、理想の女の子、

雌の人間から見れば、理想の男の子。


そういう風に見えるわけだ。


元々、吸血鬼に性別なんてないってことさ。


ただ、生きるために必要だったから、それなりの容姿がある……それだけだ。


それで……ここまで話したわけだけど、君はなんでボクに執着するの?


君はボクに告白してきたわけだけど、それは無理だってことも言った。


ボクの正体も話した。


吸血鬼が人間と恋できない、いや、恋をしない理由も話した。


なのになんで君はボクをまだ見つめてくるの?


……えっ?まだボクのことが好きだっていうの?


なんで?ねぇ……なんでなの?


ボクは今まで、君達人間をたくさん殺した……食べたんだよ?


なのにさ……なのになんで君はその優しげな瞳で見つめてくるの?


なんでだろ……さっきから涙が止まらないや……。


本当に君はボクを悩ませる……。


この気持ちをどうすればいいの?


わからない……わからないよ!


こんな気持ちは初めてなんだ!


ボクは…ボクは…


吸血鬼なんだよ!?










これは様々な解釈ができるように書きました。


例えば、恋愛を知らない吸血鬼・・・とか

恋愛ができない吸血鬼だと思い込んでるただの人間・・・とか


色々想像すれば、たくさんの道が見えてきますよね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 吸血鬼オタクの男子中学生です。 こういうセリフのない一人称小説好きですが、これは中でも面白かったです。 このあと、二人(二・・・人?)がどうなるのか気になります
[良い点] 相手が「ボク」のどこに惹かれているのか、また「ボク」が涙という感情表現をするにいたったか、心理背景をあえて描かずに急激な結末をするため、読了後に想像力をかきたてられます。 相手のほうも「ボ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ