返還
すぐ前の態度とは変わり、生徒達は静まり返って、息を呑み、一点に注目している。
「か…掛。南魚掛さん。その功績を称え、賞を送ります。おめでとうございます。そしてこれは私から、許してくれ、掛。大人の言いつけ通りに動き、決められた道を歩いて、君を捨てた私を許してくれ。」
記憶が流れ込んでくる。遠い昔の今の記憶、生きている私の記憶。一目ぼれしたこと。話し合ったこと。告白したこと。承諾されたこと。そして親に引き離されたこと。でも、今ならできる。法も、大人も意味をなさない。だって私はもう死んでいるんだもの。
「許す。許すよ。だからさ、もう一度させて、好き。私とまた付き合って!」
邪魔な声が入る。生徒達もその声の元を見る。しかし声の主は全く気にせず独り言をつづけた。
「スクショしなくっちゃぁ!スクショ!!ラクシュミだって成し遂げられなかった幸福率75%を超えたのよぉ!送りつけて自慢してあげましょ♪[吾、直接何もしていないのにあなたのところの幸福率声ちゃったぁ。お互い大変ですね、がんばりましょ]っと。あぁぁぁ愉快愉快!あははは!」
その声はとてつもなくうるさく、不快な音だった。しかしこの場にいる全員が今、その話に一区切りが付いたように思った。そしてそれに併せて日置は言った。
「****」
また邪魔が入った。
…?帰る?私は帰らないといけないの?
口に出していないことを読み取り、神屑は言う。それも生徒達や校長に聞こえるようにはっきりと。
「当たり前でしょ。死人に口なしってわかるよね。ここにいること自体おかしいことだから。天に使われる者としてここに来れているだけで、ほのぼのとした恋バナをするだけの魔法売りとしてずっと生きられるわけないでしょ。納得したな、ら、さぁ、早く片付けて撤収しましょうねぇ。あ、生徒諸君、魔法は失わないから安心してちょうだい、魔法売りの店とその子が消えるだけだからねぇ。」
日置の答えも聞けず、恋は成就せず、何も得ず。従うしかない。抗えない。
「はい。」
ただ一単語、生気のない声で私は言った。
読んでいただきありがとうございます!
幸福率は校長が30%、他生徒教師併せて70%の合計100%です。
以上補足でした




