帰命卍パヤナーク戦記 第11話 第一次宇宙戦役
アクシオム帝国暦2847年 午前0時00分】
プリモーディアル星系に到達した瞬間、私たちは宇宙の光景が一変していることに気づいた。
通常の物理法則が通用しない空間。時間の流れが歪み、重力が逆転し、光さえも曲がって見える異常な領域。そこは、まさに混沌の支配する宇宙だった。
「天水、見て。あれが敵の宇宙船団よ。」
レンが指差した方向には、想像を絶する光景が広がっていた。
【太古の神々の宇宙船団】
それは船というより、巨大な生き物のような存在だった。
無数の触手を持つ巨大なイカのような船、骨格だけの巨大な竜のような船、常に形を変え続ける液体金属の船。どれも従来の宇宙船の概念を覆す、恐ろしい存在だった。
『見よ、天水。あれが混沌の軍勢だ。』
パヤナークの声に、今までにない緊張感があった。
『彼らは船ではない。混沌そのものが意思を持った存在だ。』
【第一次接触】
突然、敵船団の一隻から巨大な触手が伸びてきた。その触手は数キロメートルの長さがあり、帝国艦隊の戦艦を飲み込もうとした。
『全艦、戦闘配置!』
ガラクシア提督の命令と共に、史上最大の宇宙戦争が始まった。
【帝国艦隊の反撃】
アンドロメダ第七艦隊が最新鋭の量子魚雷を発射した。しかし、敵船に命中した瞬間、魚雷は無効化されてしまった。
「物理攻撃が効かない?」
『混沌の船は、通常の物質とは異なる次元に存在している。物理攻撃では傷つけることができない。』
ステラリス元帥が説明した。
『我らの次元兵器の出番だ。』
【次元戦闘の開始】
シリウス方面軍が次元兵器を展開した。空間そのものを武器とする攻撃により、敵船の一部が消滅した。
しかし、敵も反撃してきた。
巨大な竜型の船から、現実を歪める光線が発射された。その光線に照射された帝国戦艦は、存在そのものが曖昧になり、やがて消えてしまった。
「酷い...」
私は戦慄した。
【天水の出撃決意】
『天水よ、汝の力が必要だ。』
皇帝アクシオム様の声が響いた。
『通常の戦闘では、この戦いに勝つことはできない。汝とパヤナークが直接戦場に出るのだ。』
「でも、私にそんな大きな力が...」
『汝の卍の印は、宇宙の根源的な力にアクセスできる。それを信じよ。』
【パヤナークとの宇宙戦闘形態】
パヤナークが真の宇宙戦闘形態に変身した。
数キロメートルにも及ぶ巨大な龍の姿となり、その身体は機械と生体の完全な融合体だった。背中には無数の武器システムが装備され、目からは宇宙を切り裂く光線が放たれる。
『天水よ、我と共に戦え。』
私はパヤナークの頭部に乗り、宇宙空間へと飛び出した。
【卍の力の宇宙規模発現】
戦場の中心で、私の額の卍の印が激しく光り始めた。
その光は、周囲の混沌した空間を正常化し始めた。歪んだ時間が元に戻り、逆転した重力が正常になり、曲がった光が直進するようになった。
「これが...私の真の力?」
『その通りだ。汝は秩序の化身。混沌に対抗できる唯一の存在だ。』
【混沌の使者との一騎討ち】
最大の敵船から、巨大な人型の存在が現れた。それは混沌の皇帝の直接の代理人、混沌の使者だった。
『我は混沌の使者ヴォイド。貴様が秩序の使者か。』
その存在は、見ているだけで意識が混乱するほど恐ろしかった。形を持たず、常に変化し続ける恐怖の具現化。
『我が混沌の力で、貴様の秩序を破壊してやろう。』
【宇宙規模の戦闘】
ヴォイドとの戦いは、まさに宇宙規模だった。
私の卍の力が放つ秩序の光線と、ヴォイドの混沌の攻撃が激突するたび、周囲の星々が影響を受けた。
パヤナークも全力で戦った。龍の咆哮が宇宙空間に響き、その衝撃波で敵の小型船が次々と破壊されていく。
【レンの参戦】
『天水、一人で戦わせるわけにはいかない!』
レンが特殊な宇宙戦闘機で戦場に現れた。皇帝遺伝子の力により、彼女も宇宙空間で戦闘することができた。
「レン!危険よ!」
『大丈夫。私たちは一緒に戦うって決めたでしょ?』
【救世主親衛隊の活躍】
12名の救世主親衛隊も、それぞれの特殊能力を発揮して戦った。
クリスタリアは精神攻撃で敵の船を無力化し、機械戦士は完璧な計算で敵の動きを予測し、生体戦士は自己修復能力で何度でも立ち上がった。
【愛犬ジェットの重要な役割】
戦いの最中、愛犬ジェットが特殊な反応を示した。
『ジェットが原初の意志の在り処を感知した!』
パヤナークが興奮した。
プリモーディアル惑星の中心部から、微かな光が発せられているのが見えた。それが原初の意志の封印場所だった。
【戦況の転換】
私の卍の力とパヤナークの龍神の力が完全に融合した時、戦況が大きく変わった。
秩序の力が戦場全体に広がり、混沌の船団の動きが鈍くなった。敵は混沌した環境でこそ真価を発揮するが、秩序の中では力を十分に発揮できないのだ。
『今だ!全艦隊、総攻撃!』
皇帝様の命令と共に、帝国艦隊が一斉攻撃を開始した。
【ヴォイドの撤退】
形勢不利を悟ったヴォイドが撤退を始めた。
『今回は貴様の勝ちだ。だが、これは序章に過ぎない。真の戦いは、プリモーディアル惑星内部で行われる。』
ヴォイドは捨て台詞を残して消えていった。
【第一次戦役の勝利】
混沌の船団の大部分が撤退し、プリモーディアル周辺宙域の制空権を帝国が確保した。
『第一次宇宙戦役、帝国軍の勝利!』
艦隊全体に勝利の歓声が響いた。
【次の段階への準備】
しかし、真の戦いはこれからだった。
『天水よ、次はプリモーディアル惑星内部への降下作戦だ。』
皇帝様が次の指令を下した。
『そこで原初の意志を解放し、宇宙の真の平和を実現するのだ。』
【新たな力の自覚】
私は今回の戦いで、自分の真の力を理解した。
卍の印は単なる武器ではない。宇宙の秩序そのものを司る、究極の力だった。
「私たちは、必ず勝利します。」
私の言葉に、全ての仲間が応えた。
【プリモーディアルへの降下準備】
愛犬ジェットが誇らしげに吠えた。原初の意志の在り処を見つけた彼も、この戦いの重要な一員だった。
宇宙の運命をかけた戦いは、いよいよ最終段階に入ろうとしていた。
混沌の惑星プリモーディアルの表面が、徐々に近づいてくる。
そこで待っているのは、宇宙の根源的な力を巡る最後の戦いだった。
【続く】