第10話 帝国連合軍結成
【アクシオム帝国暦2847年 午後11時30分】
プリモーディアル攻略作戦の準備が進む中、宇宙の各所から帝国の援軍が続々と到着していた。その光景は、まさに宇宙史上最大の軍事集結だった。
私は旗艦の展望デッキから、この壮大な光景を見つめていた。無数の戦艦が星座のように配列し、それぞれが異なる銀河系から来た帝国の精鋭部隊だった。
「天水、見て。あれがアンドロメダ第七艦隊よ。」
レンが興奮して指差した。巨大な戦艦群が、美しい隊形を組んで接近してくる。
【アンドロメダ銀河からの援軍】
アンドロメダ第七艦隊の旗艦から通信が入った。
『こちらアンドロメダ方面軍司令官、ガラクシア提督。皇帝陛下の緊急指令により、全戦力を投入いたします。』
ホロスクリーンに現れたのは、威厳ある女性の提督だった。その制服には、見たことのない勲章が数多く付いている。
『戦艦2,000隻、兵員50万名。アンドロメダ帝国臣民一同、プリモーディアル解放作戦の成功を祈っております。』
【ベガ星系植民地の精鋭】
続いて、ベガ星系からの艦隊が到着した。
『ベガ星系第三軍団、到着しました。』
この艦隊の戦艦は、他とは明らかに異なる設計だった。より流線型で、まるで生き物のような有機的な形状をしている。
『我らの戦艦は、生体工学技術で建造されております。敵の攻撃に自己修復能力を発揮いたします。』
司令官の説明に、私は感嘆した。帝国の科学技術は、銀河系ごとに独自の発展を遂げていたのだ。
【シリウス方面軍の到着】
最も印象的だったのは、シリウス方面軍の到着だった。
空間に巨大な光の渦が現れ、そこから次々と戦艦が出現した。それは転送技術ではなく、次元跳躍技術だった。
『シリウス方面軍総司令官、ステラリス元帥であります。』
現れたのは、全身が光る鎧に包まれた威厳ある人物だった。
『我が方面軍は、次元戦闘の専門部隊。プリモーディアルのような次元の歪んだ戦場こそ、我らの真価を発揮する場です。』
【皇帝アクシオムの絶対権力】
これらの援軍の到着を見て、私は改めて皇帝アクシオム様の絶対的な権力を実感した。
一声で、複数の銀河から最精鋭の部隊が馳せ参じる。これほどの権力を持つ存在が、宇宙にいるのだろうか。
『天水よ、驚いているな。』
パヤナークの声が心に響いた。
『これでもまだ、帝国の全力ではない。真の全軍動員となれば、この10倍の戦力が集結する。』
「10倍...」
私は言葉を失った。
【未知の銀河からの援軍】
その時、さらに驚くべき艦隊が現れた。
それは、私が見たことのない形状の戦艦群だった。まるで巨大な水晶のような透明な船体に、虹色の光が流れている。
『こちら、ケンタウルス・ネビュラ連邦艦隊司令官、クリスタリア。』
通信に現れたのは、人間とは思えない美しい存在だった。半透明の身体に、星のような光が宿っている。
『我らは物質と精神の境界を超えた種族。精神攻撃に対する完全な防御力を有しております。』
【機械文明からの支援】
さらに、完全に機械化された艦隊も到着した。
『メカニクス・ギャラクシー第一機械師団、参上。』
この艦隊の「乗組員」は、全て人工知能だった。しかし、彼らもまた帝国の忠実な臣民として戦いに参加している。
『我らロボット種族も、皇帝陛下の理念に共感しております。宇宙の平和のため、全力で戦います。』
【生体文明の戦士たち】
最も異色だったのは、巨大な生物そのものが戦艦として機能する艦隊だった。
『バイオ・コロニー第五生体艦隊です。』
巨大なクジラのような生物たちが、宇宙空間を泳ぐように移動している。その背中には、小さな戦闘機が多数付着していた。
『我らの戦艦は生きています。傷つけられても再生し、敵の攻撃を学習して進化します。』
【帝国の多様性】
これらの援軍を見て、私は帝国の真の姿を理解した。
それは単一民族による支配ではなく、多様な種族や文明が自発的に結集した、真の意味での「連合帝国」だった。
「皆、それぞれ違うのに、なぜ帝国に従うのですか?」
レンが疑問を口にした。
『それは、皇帝陛下の理念に共感しているからだ。』
スフィンクスが答えた。
『征服ではなく、調和。支配ではなく、共存。それが帝国の真の理念だ。』
【皇帝様の演説】
全艦隊が集結したその時、皇帝アクシオム様が全軍に向けて演説を行った。
『我が忠実なる戦士たちよ。汝らは今、宇宙の運命を決する戦いに参加している。』
皇帝様の声が、全ての艦船に響き渡った。
『我らの敵は、破壊と混沌を愛する者たち。しかし、我らは創造と調和を愛する者たちだ。』
『この戦いは、単なる軍事的勝利のためではない。宇宙の未来のためだ。』
【多種族連合の誓い】
皇帝様の演説に、各艦隊から応答があった。
『人類代表として、必ず勝利を!』
『機械種族として、論理的勝利を約束します!』
『生体文明として、生命の勝利を!』
『精神種族として、意識の勝利を!』
それぞれが異なる言語と価値観を持ちながら、同じ目標に向かっている。
【最終戦力の確認】
参謀が最終的な戦力を報告した。
『総戦力確認。戦艦10万5千隻、支援艦艇50万隻、兵員1千200万名。』
『参加種族数、127種族。参加銀河数、15銀河系。』
この数字に、私は圧倒された。
【愛犬ジェットの特殊任務】
『天水よ、ジェットにも特別な任務がある。』
パヤナークがジェットを呼び寄せた。
『彼の感知能力は、原初の意志の在り処を見つけるのに不可欠だ。』
ジェットが誇らしげに吠えた。小さな身体に、宇宙の運命がかかっているのだ。
【特殊部隊の編成】
『天水よ、汝には特別編成部隊が与えられる。』
皇帝様から特別な指令が下った。
『各銀河の最精鋭から選抜された「救世主親衛隊」だ。』
現れたのは、様々な種族から選ばれた12名の戦士たちだった。それぞれが、それぞれの文明の最高の技術と能力を持っている。
【最後の準備】
全ての準備が整った。
『プリモーディアル攻略作戦、最終段階に入る。』
皇帝様の号令と共に、史上最大の艦隊が最終配置についた。
【宇宙の新秩序への第一歩】
私は思った。この戦いが終わった時、宇宙はどう変わっているのだろうか。
『きっと、もっと美しい宇宙になる。』
レンが私の肩に手を置いた。
『みんなが協力し合える、平和な宇宙に。』
【出発の時】
『全軍、プリモーディアルに向けて出発!』
皇帝様の最終命令と共に、宇宙史上最大の連合艦隊が動き出した。
愛犬ジェットが勇敢に吠えた。まるで「みんなで力を合わせて頑張ろう」と言っているかのように。
【運命の戦場へ】
127種族、15銀河系の戦士たちが、一つの目標に向かって進んでいく。
プリモーディアルという混沌の惑星で、宇宙の運命を決する最終決戦が始まろうとしていた。
私たちは一人ではない。宇宙の調和を愛する全ての存在と共に戦うのだ。
【続く】