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パンとサーカス2

イレブンコードを希望する国民に範囲を拡大した結果、この半年の間に接種率が90%を超えた。

20代~70代までの50年程度だった生産人口も激変を見せた。

メディアと野党が強硬に反発するかと思われたが、関連法案を含め大きな反対はなかった。

財務関連・労働関連・移民関連・年金関連法案を要約すると以下の内容だ。

・実質高齢で働けなくなる事が無くなったため年金を廃止。未接種の高齢者には時限措置で生活保護へ切り替え

・定年の廃止と生産人口が回復した為今後の雇用調整も考えて週労働時間を30時間に改正

・就労人口が大幅に増加したことにより移民の必要性が無くなった為、外国人移民や実習制度の廃止


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内閣総理大臣 長門武雄の決断は早かった。

「来春の衆議員選挙にあわせて解散し同日選挙にうってでようと思う」

「税制は消費税率を下げ、所得税を廃止し一本化して戦う」

閉会後の首相官邸に呼ばれた官房長官と幹事長に否はなかった。

「党内も解散でまとまっています」

「産業界も税制一本化で消費が伸びる事を歓迎していますし、官僚も医療支出が減少した分を他省庁に配分することに協力的です。」

「野党の方も優先的に接種を回して静かなもんだったよ!」


長門は、これまでの連合政権の安定した基盤を背景に、単独政権の確保を狙っていた。彼の頭の中には、次の選挙での勝利のビジョンが描かれていた。


「ところで天田君の扱いはどうなっているかね?」

「来春の叙勲と園遊会は内定しております」

「よろしく頼むよ。各国から引き合いが来ている。これからの為にもまだ囲い込む必要がある。」


その頃、メディアは政策の影響を分析し、国民の反応を探っていた。接種率の向上により、国民の健康が守られ、経済も回復するという期待から概ね良好であった。しかし、野党はこの政策に対して慎重な姿勢を崩さず、反発の声を上げるにとどまった。


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医療費と年金財政負担が無くなったことにより「国の借金」も大幅に改善する。

こうして日本に、何十年来のバブルが発生した。

好景気の中職場に駆り出される若者はたまったものではない。


皮肉な事に寿命が延びたことで結婚出産を先送りしてキャリアを積み重ねることになってしまった。


統計的に好景気と出生率の低下は統計データが示しており政府も重く受け止めず未成年への接種も解禁される。

若さを保ち続けることから義務教育も大幅に転換される。


ウェアラブルデバイス(端末)で仮想空間のライブラリにアクセスできることから詰め込み教育は撤廃され実践型教育へ転換される。

アーカイブの充実や各分野でラーニングが進み技術の蓄積と最適化、仮想現実により通学や授業から解放され教師も大幅に削減、合理化される。


実践と一言で言っても幅は広く多種多様だ。

アメリカで開発されたデバイスを使えばピアノやギター等の楽器を仮想空間上でセッションもできる。

不思議な光景かもしれないが、はたから見ればエアギターをまじめにしている姿はとてもシュールだ。

タクティカルシミュレータやコンバットシミュレータ、ドローンオペレータ等の仮想空間での競技の上位入賞者には賞金が提供され職として成立していたりもする。

教育は場を提供するのみで教師はトップアスリートや文化芸能人、鍵師や話術師、ハッカーの他日曜大工から世界的建築家まで様々である。

一方で国立大学のみ授業料無料で残された一方、私学他は助成制度すべてを廃止した。

遊ぶために大学へ進む、箔付けの為の大学といったものを排除し、優秀な一部を救い上げる教育へ舵を切った形だ。

ゲーム感覚で学習できる環境が子供達には受け入れられ国が定めたカリキュラムをQESTに例えて職業教育プログラム(クラス)を得て技能習得する(アビリティを得る)なんて話を子供たちがしている。

さしずめ、教師の授業をNPCのチュートリアルと呼びカリキュラムを達成する(QEST完了)と電子マネーを得られる。

子供が学ぶ中でも自由に資金を手にすることができる仕組みだ。もちろん一人一人にマイナンバーに紐づけされた口座に報酬が支払われる。

子供と言いはしたが、学習要領の改訂で年齢による区切りは無くなり、大人でも学ぶことは可能だ。

その資金で投資(商業ギルド)も可能だ。

遊びも学びもスポーツも経済も何から何までリアルと仮想世界を重ねている。

教育と娯楽、趣味と職業の境界は無くなった。

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