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Fate of the Flowering Fairies  作者: ソナタ♪
第一輪:ユメヘノトビラ
7/11

7


とてもそっくりな双子のミヤとマヤだが、天界人のその特徴により見分ける事が出来る


青い瞳に桃色の髪

羊のようにクルクル巻いた擬角(ぎかく)の少女がミヤ


桃色の瞳に青い髪

白い鳥の翼のような擬角(ぎかく)の少女がマヤ


普段は天真爛漫な二人だが、冒険者の仕事の予行練習の様相を呈してきた報告に緊張の表情を浮かべていた


麦刈の月

えと、たしか14夜…ダったよね?


・拠点からマルヘラの森へ移動し探索した

・薬草採取:9/40

・ジュレの討伐:13


・薬草採取の途中、討伐対象サイズの【ジュレ】の群れに遭遇

最優先で退治した為に薬草の採取は少なくなってしまった

・ジュレ退治の際に、攻撃魔法の指導を受けた

まだ精度が低いけど今まで上手く出来なかった魔法攻撃が出来るようになる

今後トレーニングをする予定

・森の薬草は草原より育っている物が多かったような気がする

明日は森で採取する事を提案します


ミヤとマヤの報告はたどたどしかったものの、ルフナのそれを踏襲してまとめたものであった


ちなみに【ジュレ】とは不定形の軟体モンスターの総称で、

地域によって「スライム/ゲル/プリン/グチャグチャ」等の呼名がついている

その土地に適応した変異亜種が多い為、細かい分類は成されていない



共通する基本的な生態としては、湿度の高い森や洞窟に生息

生物の呼気に反応し襲い、その対象を包みこんで窒息させてから消化吸収する


その動きは緩慢で、普段は昆虫や小動物を捕食するが、成長したものは人間や家畜を襲う事があるので討伐の対象になる


ミヤマヤの報告は、内容もまとめ方も合格なのだが…


「攻撃魔法!出来るようになったんだね!?やったぁ!すっごーい!!」

ルフナは大喜び


「今まで魔法攻撃が上手く出来なかった…?」

双子の報告とルフナの歓喜

確かに本人達から攻撃魔法が苦手とは聞いていたが、半ば冗談だと思っていた衝撃の真実にジンが頭を抱える


しかしそれは、クロリスや他の冒険者魔法使いが当然のように魔法を使っている姿を見ている為

何事にも初心者時代はある


「ちゃんと出来なかったトいうか…」

「そもそも魔法の使い方ヲ間違っていたトいうか…」

魔法が使えない人にどう伝えるべきか

ミヤとマヤがクロリスに助けを求める視線を送る


専門教育を受けていない者は感覚で処理してしまう魔法なのだが、やはり理論は存在する

その複雑な処理の説明は、魔法が使えない者が理解するのは難しい


双子の視線にクロリスは少し思案した


「…まず最初に、私は安定して魔法を使えているけど、それは魔法学校に通ったから。

冒険者の魔法使いは実戦で会得した人の方が多いから、理論を解りやすく教えられる使い手は少ないと思うわ。

…もしそれが出来たとしても、依頼の競合が起きるから手の内を明かす人は少ないでしょうね」


その言葉にミヤとマヤが頷く

「回復と守りの魔法ならポットの街デも教えてくれる人ガいたけド」

「コッチから攻撃する魔法とその使い方は、ダれも教えてくれナかったよ」


「そうだろうな」

ジンも納得する

技術やノウハウは財産だ

理由無しに安々と人に教えるモノではない

ルフナ達に同行するのも、冒険の手の内を明かすのも、仕事としてそのように依頼を受けたからだ


無償の情報というものは、その程度の価値の情報でしかないのである


実際ジンとクロリスは、ルフナ達にまだ明かしていない手の内もある

切り札とまでは言わないが、情報が広く漏れるとやはり冒険者として不都合な部分はある


「それでそれでっ、どんな風にしたら攻撃魔法が使えるようになったの?」

しかし興味津々のルフナがそんな空気を無視して聞いてくる


「いい機会だから俺も聞いておきたい。使えないとしても、戦闘の時に役立てられるかもしれないからな」

別の理由でジンもルフナの質問に乗る

出来る出来ないに関わらず、知識は身を助く


…ちょっと解りにくいかもしれないけど

と前置きをしてクロリスが解説する


まず【攻撃魔法】と【回復補助魔法】は別物と考えた方がいいわ


【回復魔法】や【補助魔法】

これは味方に直接触れて魔法をかけるわよね?

こういった魔法を【相手にかける】時は、対象に触れている必要があるの

熟練の使い手なら多少の距離があっても味方にかける事が出来るけど、効果は距離によって弱くなるわ


それに対して【攻撃魔法】

回復魔法や補助魔法のようにモンスターに直接触れて魔法をかけるのはとても危険

それに離れれば離れるほど効果も弱くなるし、魔法は相手の耐性によって大きく効果が左右されるの

だから【攻撃魔法を直接相手にかける】事は現実的ではないのよ


そこで、攻撃魔法には二つの方法がある


まず1つ目

魔法で火の玉を【発生】させて投石や矢のように打ち出す

味方に当たらないようにする必要があるし、敵を追尾するようにするなら別の技術が必要になるわ

大雑把にいうと魔法による狙撃ね


次に2つ目

空間や場所に魔法を仕込んでおいて、そこにモンスターが近付いたら魔法を【発生】させる

魔法を仕込んでから発生までどれだけ時間をあけられるか、そこにどう誘導するか、という戦術が求められるの

こちらは魔法による(トラップ)


まあ、大雑把な分類だから例外は沢山あるのだけれど…



「さっきも言ったけド、私たちは回復や補助の魔法は教えてもらったから使えルの」

「でも私たちは回復補助魔法みタいに攻撃魔法を【モンスターにかけようと】していたかラ…」


「だから攻撃が上手くいかなかった…って事か」

「クロリスちゃん、先生みたいっ」

顎に手を当て思案するジン

ルフナは羨望の眼差しをクロリスに向ける


「なあミヤマヤ」

ふと気が付いたジンが質問する


「物理攻撃が効きにくい、例えば今日討伐してきたジュレなんかは、魔法攻撃無しで今までどう対処してたんだ?」


ジュレ等の軟体のモンスターは、切る叩く等の物理攻撃に耐性があるのだ


えと…

うんと…


言い淀むミヤマヤ


はいっ、はーい!

痺れを切らしたルフナが挙手して答え合わせ


「トゲトゲちゃんで、モンスターが倒れるまで叩き続けましたっ!」


…。


「「ち、チカラ技だぁ…」」


ジンとクロリスの脳内に、ナハハハ!と笑いながら楽しそうにトゲ鉄球を振るうルフナの姿が浮かぶ

そしてそれは概ね間違っていない


トゲ鉄球がジュレの防御を無視したとしても、成長していない小型のジュレだとしても、

数十回は叩かないと倒せないはずなのだ

実に脳筋である


「…ま、まあ、魔法の方が効果的だから今後はミヤとマヤ二人に委せることね」


クロリスは引き攣った笑顔を浮かべた

嫁氏との共同制作です

noteとpixivにも公開中


コチラは嫁氏の手描き挿絵が付いています


投稿、遅くなりました

牛歩ですみません(汗


レベルを上げて物理で殴る

殴り続けていれば、いつかは勝てます

反撃されなければですが(笑



note(本人アカウント)

https://note.com/sonate


pixiv(嫁氏アカウント)

https://www.pixiv.net/novel/series/12329720

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