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Fate of the Flowering Fairies  作者: ソナタ♪
第一輪:ユメヘノトビラ
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とりゃあ〜!





可愛らしい声とは裏腹に振るわれるのは、棍棒の先に鎖で繋がれたトゲトゲ鉄球

いわゆる【モーニングスター】



そんな物騒なモノが、ツノの生えた円らな瞳のウサギのような可愛らしい魔物(大型犬サイズ)【兎角(とにかく)】を一瞬で粉砕し挽肉にする





「悪は、滅びたッ!」






頬に返り血をべっとり付けた武器の使い手である少女が、満面の笑みを浮かべ得意げにナッハッハッと笑う


正義か邪悪かの問題ではなく、どちらかと言えば狂気の沙汰である




「少しは加減しろっ」




武器の使い手、商工会代表の娘の少女【ルフナ】に突っ込みを入れたのはジンであった









冒険者見習いであるウバの娘さんの護衛と冒険の手引き

初心者向けの依頼の代わりに提案されたのは、ウバの個人的な依頼であった




過保護(おやばか)と言われるかもしれないが、私の代わりに頼みたいのだ」


ここを離れる訳にはいかないからね、とウバが付け足す




「俺達でいいんスか?

自分で言うのもアレですが、旅人で登録票しか信用が無い俺達で構わないッスか?」



人間関係の面倒事は御免だとばかりに、ジンの言葉に頷くクロリス




「君ならそう言うだろうと思ったから頼んだのだ」




ウバが冒険者登録票から呼び出したログを映像用の魔石に投影する



君たちの依頼達成率は脅威の80%

確かに簡単な依頼は多いが、時折挟まれる危険が伴う依頼の達成も少なくない


また20%の不達成依頼を見れば、対処出来ないクラスの魔物との偶発的な遭遇だ

その際は詳細な報告書が提出

すぐに人が集められ該当の魔物は討伐されている


無理な依頼を受け再起不能になる者も多い中、上手く逃げる事が出来る者


有り体に言ってしまえば、不可能を早期判断し確実に生きて戻る事を第一にして逃げ帰る事を選べる冒険者は少ないのだよ



だから、娘に生き残るその術を教えてやって欲しいという過保護(おやばか)なのだよ




「私はね、才能がある者はそれを活かすべきだと考えているんだ」



ウバはメアリーが運んできた湯気の立つ紅茶に口を付けると営業スマイルから父親の表情になる



私が冒険者だった頃の話しを幼い娘は楽しそうに聞いていたよ

妻が先立ち冒険者を辞め、商工会の事務仕事を優先してからは、確かに娘と一緒に過ごす時間は増えた

しかし気を使わせてしまったのか冒険者時代の話をせがむ事も無くなってしまった


年頃になり王都の学舎にも行かせた

しかし貴族ばかりで空気が合わず、逆に冒険者への憧れを強くしたばかりだった



自分のやりたいことを仕事に出来れば幸運だ


才能があればそれを活かすべきだ



だから娘に冒険者の泥臭い現実を可能性な限り見せて欲しい


そして客観的に、身内の色眼鏡越しではない視点で、娘に冒険者としての才能があるか見て欲しいのだよ




ジンとクロリスが顔を見合わせる



個人依頼としては破格の金額の提示

便宜的には直属になる権力者からの依頼である


立場としても情としても、ここまで聞かされたら断れない






「と言うわけだメアリー、コチラの依頼の手配を頼む」

「ふえっ!?は、はひっ!承りましたっ!!」




二人の表現を承諾と受け取ったウバが扉の外に声をかけると、そのケモミミで盗み聞きをしていたメアリーが裏返った声で返事し、受付まで走り逃げていく




「無礼を許してやってくれ、娘を妹のように心配しているんだ」

業務上は許される事ではないがと付け加えながらも、ウバは苦笑いを浮かべる






…さて、一つ聞きたいのだが


メアリーの足音が遠ざかるのを確認するとウバはまた営業スマイルに表情を戻す


植物系の依頼に特化した君達が、どうしてこの依頼を引き受けたのか理由を教えてくれないかい?

まさか間違いました、とは言わないだろう?




大量の依頼受注の最後の一枚

一見ミスチョイスのように混ぜ込まれたそれは、とある魔物の目撃情報の調査依頼であった


嫁氏との共同制作です


noteとpixivにも公開中

コチラは嫁氏の手描き挿絵が付いています

返り血の付いたルフナの笑顔のイラストなんていう、難しいリクエストに応えて貰いましたw


note(本人アカウント)

https://note.com/sonate


pixiv(嫁氏アカウント)

https://www.pixiv.net/novel/series/12329720



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