不安と決意
ナレーター視点です。
「あ〜走って行っちゃったぁ〜。かっわいーい!」
テンション高めな凛の隣で天はため息をつくが、彼女はそれに気付かずに喋り続ける。
「中身は本当にラストノフなんだろうけど……あの頃と比べると落ち着きがないって言うか、見た目相応な子供っぽい感じもあるよねぇ〜。ね、天?」
「そうだな。それに……」
「ん?」
「あんな小さな身体で魔王を倒せると思うか?」
「……」
「正直、成人男性が3人揃ったあの時のパーティーでも必死だった」
「天! アイツのことまで思い出させるような言い方しないでよ!!」
「……すまない」
「魔力量は前世の7割くらいしか無さそうだけど、魔力の質は変わらず最高レベル。霊力との相性も問題ないよ。……ねぇ、天。いざとなれば、必ず私達で守るよ! あの時の分まで……勇者様も、あの子も」
「ああ。無論だ」
天は隠しきれない不安を感じながらも、決意に満ちた表情の凛を前に、微笑みを返した。
「と言うか、今世の名前を聞きそびれているよなぁ……」
「あ……」
◆ ◆
しばらく2人で待っていると、彼が仲間達を連れて戻ってくるのが見えた。
彼は一人の少年の手を引いて走っている。
「レイン、急にどうしたんだよっ……」
連れられた少年は、何が何だか分かっていない様子だ。
「「あれは……」」
同時にそう呟いた天と凛は、その身体に力が満ちていくのを感じた。
第2話に割込投稿しました。
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